▼ 目次

ここ最近耳にすることが多くなった、「フードロス(食品ロス)」という言葉。フードロスとは、売れ残りや期限切れなどによって食べられるのに廃棄されたり、食べ残しなど食べきれないことで食品が廃棄されたりするのことをいいます。

コープさっぽろではフードロスを減らすために、児童養護施設などで生活する子どもたちへ食品を届ける「トドックフードバンク」という取り組みを行っています。さらに、トドックフードバンクでつながりのある施設では、「トドックフードキャラバン」という食をつくる喜びを伝える食育活動も行っているんです。

今回は、札幌市の児童養護施設で行われたトドックフードキャラバンにおじゃましてきましたよ!

トドックフードバンクでフードロスを解消!

「フードロス」は日本だけでなく世界中で問題になっています。日本の2022年度のフードロス量は472トン(※)。フードロス量が643トンだった2012年度とくらべると3割ほど減少してはいますが、まだまだ継続して向き合わなくてはいけない問題なのです。

もちろん、まだ食べられる食品を廃棄することが「もったいない」というのもあります。でも実は、フードロスはごみとして出された食品を焼却する際などに二酸化炭素を排出するため、環境にも影響を与えるという問題も。

このようにさまざまな問題を抱えるフードロスを解決するために、日本だけでなく世界各国でさまざまな取り組みを行っています。
※参考:農林水産省「食品ロス量の推移

コープさっぽろではフードロスの問題解決を目指し、2016年から「トドックフードバンク」を行っています。トドックフードバンクは、宅配トドックで受発注ミスなどによって返品された「もったいない食品」を、北海道内の児童養護施設やファミリーホームで生活する子どもたちのために提供し、有効活用いただいているという取り組み。フードロスの解決とともに、子どもたちの支援を目的としています。

ちなみに、日本では季節ごとにさまざまなイベントがありますが、季節商品は時期を過ぎると売れなくなり、フードロスにつながるという問題が。そこでコープさっぽろでは、店頭でお正月の飾り物として販売された鏡餅も、トドックフードバンクを通じて提供したのだそう。有効活用してもらうことで、季節商品のフードロス減少に努めているんですね。

ほかにも、コープさっぽろではフードロス削減への取り組みとして、食品工場から出る野菜くずなどを羊のエサにする取り組みや、家庭でのフードロスを防ぐために必要な分だけを購入できる「バナナの量り売り」や「たまごのバラ売り」なども、一部店舗で行っています。

<関連リンク>
▼フードロスを防ぐトドックフードバンクに密着したら、やさしさの循環を見つけた。
https://coopcycle.sapporo.coop/media/food/food_6396/
▼カイモノのセンタク~vol.4 「量のはなし」編~食品ロスを防ぐコープさっぽろの工夫って?
https://coopcycle.sapporo.coop/media/food/food_5105/
▼「フードロス対策部長」はひつじさん!? コープさっぽろエコツアーを開催しました!
https://coopcycle.sapporo.coop/media/food/food_3669/

トドックフードキャラバンとは?

トドックフードキャラバンは、先ほどご紹介したトドックフードバンクの食品を提供している児童養護施設などで行う食育活動。コープさっぽろの職員が施設に赴いて調理実習を行い、子どもたちに料理の基本や食の楽しさを伝えています。

児童養護施設は最長22歳で退所して独り立ちをします。しかし、日々の暮らしの中で、ごはんを作る様子を見たり、自分で作ったりする機会はなかなかありません。そこで、コープさっぽろでは「調理実習を通して子どもたちの自立を応援したい!」との思いから、トドックフードキャラバンの取り組みを行っています。2016年からはじまり、これまでに800人以上のお子さんが参加されているそう…!

トドックフードキャラバンに潜入!

トドックフードキャラバンの魅力をしっかりみなさんにお伝えするには、実際の活動の様子を見てもらうのが一番…!ということで、今回は札幌市にある児童養護施設・興正学園で行われた、トドックフードキャラバンに密着取材をしてきましたよ!

調理実習に向けて準備

今回は小学生から高校生までの23名が参加。トドックの絵柄がかわいいバンダナをつけて準備をします。ちなみにこちらのバンダナは、トドックフードキャラバンに参加してくれた子どもたちにプレゼント!学校の給食ナプキンとして、長く愛用してくれる子も多いそうです。

トドックフードキャラバンで調理を教える先生は、栄養士の資格を持つコープさっぽろの職員。今回のトドックフードキャラバンでは、「ジャムでつくるカラフルラッシー」と「フライパンでつくる トマトパスタ」の2品を作ります。それでは調理スタート!

1品目「ジャムでつくるカラフルラッシー」

まずはラッシー作りから。先生のデモンストレーションを見て、作り方を覚えます。

みんな真剣!

トドックフードキャラバンでは料理の楽しさを知ってほしいというのはもちろんですが、子どもたちの自立をサポートできるよう、軽量スプーンなど調理器具の正しい使い方もレクチャーします。

先生の作り方でポイントを覚えたら、次は子どもたちの出番!さっき先生に教えてもらった方法で軽量スプーンやキッチンスケールを使って材料を計ります。
「ぴったり30g!」
「量が少しオーバーしちゃった…」
と、子どもたちの楽しそうな声が飛びかっていましたよ!

2品目「フライパンでつくる トマトパスタ」

ラッシーを冷蔵庫で冷やしている間に、2品目のトマトパスタを作ります。次はいよいよ包丁や火を使った調理。包丁を使うときの食材の押さえ方や、包丁の動かし方、ピーマンの種をきれいに取る方法なども、一つひとつ説明しながら進めていきます。大人の私も知らない便利な技がいっぱい。私も子どものときに知っておきたかった〜!

ちなみにトドックフードキャラバンでは、子どもたちが独り立ちした時に活用してもらえるように、フライパンやお鍋ひとつで作ることができるメニューにしているそう。何度も作れるように、身近な材料で手軽に作れるメニューになっていますよ。

グループごとに各テーブルで調理していきます。先生から教わった包丁の使い方を早速実践。慣れない包丁に試行錯誤していたものの、「包丁うまいね!」と子どもたち同士で声をかけ合ったり、「じょうずに切れたよ〜!」と切った食材を見せあったりと、ワイワイと楽しみながら取り組んでいましたよ。

先生たちがしっかり見守っているので、子どもたちも安心して調理していました。

上手に切れたね!

食材を切ったら、次は火を使って調理していきます。子どもたちの調理の様子を取材していて印象的だったのは、「私が炒めるね」「じゃあ、俺がトマトジュースを入れる」と、どのグループも自然と役割分担をしていること。慣れない調理でも、みんなで協力すれば楽しさや達成感もひとしおですね!

トマトパスタが完成!おいしそう♪

みんなでいただきます!

トマトパスタが完成したら冷やしていたラッシーとともに、みんなで実食!「すごくおいしい!」という子どもたちの声が、ホールのあちこちから聞こえてきます。

参加した子どもたちにインタビュー

トドックフードキャラバンに参加した子どもたちに、調理実習の感想を聞いてみました!

「パスタを煮込むときにどんどんパスタが重くなるから、混ぜるのが大変だった。でも、おいしくできて良かった!」
「パスタを半分に折ったり、ピーマンを切ったりするのが楽しかった」
「包丁で野菜を切るのが難しかったけど、先生が丁寧に教えてくれたからできた」

興正学園の先生にインタビュー

今回、トドックフードキャラバンでお伺いした興正学園の先生に、トドックフードキャラバンの魅力や子どもたちの反応についてお話を聞きました。

プロフィール

増川 みゆき(ますかわ・みゆき)さん

太陽の子の家 興正学園
保育士

増川 みゆき(ますかわ・みゆき)さん

太陽の子の家 興正学園
保育士

札幌市出身、釧路市・千歳市育ち。
30年以上、興正学園にて指導員を務める。

―――今回は多くのお子さんが参加されていましたね!

興正学園は0歳から自立生活ができる年齢になるまでの子どもたちが暮らす、児童養護施設です。札幌市内に興正学園のほか、5つの小規模児童養護施設(興正チャイルドホーム)があり、今回はそれぞれの施設で暮らす小学生から高校生の子どもたちが参加させていただきました。

―――「トドックフードキャラバン」はいかがでしたか?

施設で調理の経験がある子どもたちもいますが、トドックフードキャラバンのように最初から最後まで自分たちで料理を作って食べるという機会はなかなかありません。子どもたちだけで協力しながら作っている姿は、とても楽しそうでしたね。
そして、調理のやり方を一つひとつ丁寧に教えていただけるのも、子どもたちにとってとても学びが多かったと思います。私自身も「ピーマンの種ってこんなにきれいに取れるの?」って驚きました(笑)。

できた料理を食べているときに、子どもたちがみんな「おいしい」と話しながら食べているのも印象的でしたね。普段ごはんを食べるときに「おいしい」と思っていても言いながら食べるということはあまりないのですが、自分たちで作った経験や流れが、よりごはんをおいしくしてくれたのだと思います。
いつもはきらいな食材を抜いてって言ってくるのに、今日はみんな完食していたのでびっくりです。普段あまり食べない子もいつもよりもたっぷり食べていて、私たちも驚きの連続でした。

―――トドックフードバンクで人気の食品・お気に入りの食品はありますか?

子どもたちには、やはりジュースやお菓子が大人気ですね!私が所属している施設は職員が調理も担当しているのですが、干ししいたけや出汁などがとてもありがたくてお気に入りです。あと、レトルト品をいただくこともあるのですが、施設レクや外出などで料理を作る時間がないときもあるので、そのような時にとても助かっています。

調理の経験が、子どもたちの自信と笑顔につながる

トドックフードキャラバン後に、子どもたちからコープさっぽろに届いた手紙の数々。

今回の取材を通して印象的だったのは、子どもたちの笑顔。料理を作るのが楽しみだったり、おいしい料理が楽しみだったりと、みんなトドックフードキャラバンの開催が待ち遠しかったのだそう。準備のときから食べ終わるまで、みんなが笑顔で「たのしいね」「おいしいね」と話している姿がとても素敵でした。

みんなで協力しながら料理を作ることで、調理の楽しさを知ってもらうトドックフードキャラバン。「食べる」ことは、だれもが当たり前のように経験をする身近なものです。だからこそ、その料理がどのようにできているのかや、作る時の大変さなどを知ると、また違った食との向き合い方ができるのかもしれません。

レシピ付きのフォトブック。

トドックフードキャラバン終了後には、くり返しチャレンジできるように、レシピ付きのフォトブックをプレゼントしています。料理を作ったという経験やおいしくできたという自信が、子どもたち一人ひとりの胸に刻まれて、自立の一歩につながる。食を通して子どもの成長を応援するトドックフードキャラバンの活動に、今後もぜひ注目してみてくださいね。

〈関連リンク〉
▼コープさっぽろ CSRレポート・SDGs BOOK
https://www.sapporo.coop/about/csr/
▼コープさっぽろ 暮らしお役立ち情報 「食品ロス」について
https://www.coopsapporo-cs.jp/premium_service/detail/949

北海道で生きることを誇りと喜びに

コープさっぽろの取り組みは、組合員さんのご利用や参加によって「北海道の暮らしを豊かにすること」につながっています。取り組みは組合員さんならどなたでも参加でき、日常を通して気軽に参加できるものもあります。コープサイクルでたくさんご紹介していきますので、ぜひその他の記事もご覧ください。

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