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奨学金ってどんなもの?

「奨学金」は経済的な理由などで進学がむずかしい方に、学費を貸したり与えたりすることで、支援する制度のこと。「家計状況の悪化」「学費の高騰」「大学進学率の上昇」といった理由を背景に、奨学金を借りる学生は年々増えていて、現在では大学生の2人に1人がなんらかの奨学金を利用していると言われています。

この奨学金制度ですが、利用者と同時に、卒業しても返済に苦しみ「返したくても返せない」人たちが増加していることが問題になっています。現在、利用されている奨学金のほとんどは「貸与型」のもの。簡単に言えば「借金」で、返還が必要なものとなっています。

労働者福祉中央協議会の「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査(2019)」によると、日本学生支援機構の奨学金利用者において、平均の借入総額は324万3,000円。毎月の返済額は平均1万6,880円、返済期間は平均14.7年です。また、借入総額500万円以上という利用者も、12.4%と1割以上を占めています。

貸与型の奨学金制度は、卒業後の安定した雇用が前提となっているものです。不安定な雇用や低賃金労働が拡大している現在の社会状況を考えると、こうしたシステムは限界に達していると言わざるを得ません。高額の教育費を学生本人にのみ負わせる状態が続けば、貧困の連鎖(家庭環境が理由で、大人になっても貧困から抜け出すことができないこと)にとどまらず、多くの人に影響を及ぼします。たとえば結婚・出産・子育てを望む人たちが、経済的な理由でそれらを困難と考えれば、少子化・人口減などはさらに加速していくでしょう。

このような状況を踏まえ、コープさっぽろでは子どもたちの学資金支援の一助として、独自の奨学金制度を設けています。

コープさっぽろが行う支援

経済的事情で進学を断念する子どもたちが一人でも多く進学できるように、コープさっぽろは奨学金の制度を設けています。現在行われている、奨学金関連の支援は以下の通りです。

〈コープさっぽろ(公益財団法人コープさっぽろ社会福祉基金)が行う関連支援〉

1.コープ育英奨学金

対象:道内在住の高校・高専に入学する一年生。ひとり親・両親がいない家庭や、障がいを持つ方。
給付:月額1万円を3年間給付。返還は不要です。

2.コープさっぽろ大学生育英奨学金

対象:大学(短大、大学院を含む)に就学か進学予定、または高等専門学校の4・5年生で就学している方。
条件:コープさっぽろの店舗・工場などで、アルバイト就労していただきます。
給付:年額25万円を支給(最大で4年間、100万円)。返還は不要です。
https://www.sapporo.coop/corporate/content/?id=16

3.職員奨学金返済支援制度

対象:大学・大学院を卒業し、新卒でコープさっぽろに入協した方。
給付:入協3年目までの奨学金返済月額の半分をコープさっぽろが負担。返還は不要です。
https://www.sapporo.coop/newgraduate/recruit.html

※各奨学金制度には条件があります。

1.コープ育英奨学金

特別支援教育の聾・盲・高等養護学校の生徒や経済的に就学困難なひとり親の家庭(母子・父子など)の高等学校または高等専門学校の1年生を対象に、月額1万円の奨学金を卒業までの3年間給付しています。この育英奨学金制度は返済が不要です。2022年度は新型コロナウイルス感染症や社会経済状況を鑑み、募集人数を大幅に増員して全道で230名程度の枠(若干名を不登校生枠)を設けました。

2.コープさっぽろ大学生育英奨学金

大学や短大、大学院など、高等教育を希望する子どもたちの学資金支援の一助として、創設された制度です。コープさっぽろの店舗、工場などの事業所でアルバイト就労していただくことを条件として給付いたします。(アルバイトでの給与は別途支給されます)多くの学生にご利用いただいており、2018年から2022年までの累計受給者数・支援総額は、1,056人・2億6,400万円となっています。

3.職員奨学金返済支援制度

社会のスタートラインに立ったばかりの新入職員の負担を軽減し、安心して働ける環境にしたい。こうした思いから、導入された精度です。大学・大学院を卒業した新卒入協者を対象に、奨学金返済月額の半分を入協3年目までコープさっぽろが負担します。月の自己負担額の上限を1万円とし、超過分は全額支給するなど、返済に追われずに安心して働ける制度です。2019年度の制度開始から2022年までの3年間で、累計91名の職員が利用しています。

 

利用者からの声

コープさっぽろがこれまで行ってきた奨学金の取り組み。実際に利用された方の声をご紹介させていただきます。
〈2020年度 卒業生(奨学生)からの感謝の言葉〉

夢は小学校の先生

はじめに、3年間奨学金を送ってくださり本当にありがとうございました。このお金は学校生活で必要なものや部活動の遠征の費用に使わせていただきました。私は高校でたくさんの事を経験しました。特に部活動では人間関係に悩まされたり、練習量と自分の技量との釣り合わなさに苦しみました。しかし、そうした試練にぶつかるたびに家族や友人の支えが大きな力になることに気づきました。私自身はとても弱く、1人では生きていけませんが、多くの助けを受けながら勉強や部活動に励み、目標の国立大学に合格することができた事をうれしく感じます。
(私は1人ではありません。たくさんの方に感謝の気持ちを忘れずにこれからも頑張っていきます。)

家族に思いを返す番

まず初めに3年間ありがとうございました。3年間奨学金をいただけたことで、定期代や学校で必要なもの、検定代にあてることができ感謝しています。正直に言って、自分の家計が裕福ではないということは、重々承知していることではありました。だからこそ、奨学金の補助がどれだけ良いことなのか、人一倍、いや、人二倍も理解していました。無事に卒業できたことを、心から嬉しく思います。昔から僕が家族に迷惑をかけているのに、自分はもらってばかり。今度は僕が家族に思いを返す番です。今もっている自分の夢を必ず実現させ、お世話になった人たちや家族に、堂々と胸を張れる人間に、成長していこうと強く思いました。

夢としてきた看護の道

この学校に入学してから、楽しい事や大変な事もあったけれどなんとかやり続け卒業をむかえる事ができました。今の世の中はコロナなど大変な時で進学するにしても迷いや色々ありました。でもだからこそ夢としてきた看護の道へ向かうため勉強をし合格する事ができて良かったと思います。これから先大変なことだらけだと思います。それでも世のため、人のため、病気の人のため頑張っていきたいと思っています。3年間奨学金をいただけた事で学校での生活もしてこれました。してもらえた事を違う形で返せたらと思いながらこれからも学業に専念し世の中のために頑張ります。3年間ありがとうございました。
※2020年卒業感想文より一部抜粋

これからの奨学金のあり方

公益財団法人コープさっぽろ社会福祉基金は1989年に発足し、30年以上にわたって心身障がい児やひとり親家庭の高校生に対する育英奨学金事業を行ってきました。この記事のはじめにお伝えしたように、現在の社会状況では奨学金を必要とする学生はどんどん増加しています。さらには新型コロナウイルスなどの感染症や自然災害など、さまざまな要因で日本のみならず世界の状況は目まぐるしく変わり続けています。

しかしどんな状況であっても、教育はだれにとっても等しく平等に受ける権利があるもの。コープさっぽろ社会福祉基金の理事長の木村純さんは「奨学金は単に経済的な支援というだけではなく、『私たち大人はいつも君を応援しているよ』という気持ちを伝えるもの」と、その意義を語っています。

コープさっぽろは今後も、奨学金をはじめとした学生支援の活動を続けていくだけでなく、さまざまな情報発信を行っていきたいと考えています。これから進学される学生のみなさんや保護者の方など直接的に関わる方だけでなく、ぜひ多くのみなさんに、「奨学金」や「教育のあり方」について考えてみて欲しいと思います!

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