実は最近、北海道に無印良品のお店が増えていることをご存知でしょうか?2024年4月現在、北海道には20店舗の無印良品がありますが、これまでお店のなかった地域にも出店が広がり、住んでいる場所の近くで買えるようになった!という人も多いのではないでしょうか。
ところがここで気がつくことが一つ。北海道に新しくできたお店は、コープさっぽろと一緒になっていることが多いんです!いろいろな買い物がまとめてできてうれしいと思う反面、「いったいこれってどうしてなの?」と気になる方もいると思います。今回はそんな無印良品とコープさっぽろの関係に追っていきたいと思います!
コープさっぽろの中に無印良品が増えている
コープさっぽろで最近オープンした多くの店舗に、無印良品が隣接していたり、2Fに入っているケースが増えています。その1店舗目が、2021年11月にオープンしたコープさっぽろやまはな店(札幌市中央区)。その後もそうえん店、しずない店、そしてきたひろしま店と新しい店舗のオープンは続き、2023年11月には既存の店舗である藤野店の中にも無印良品が入ったり、今年3月には岩見沢南店の横にオープンしました。
実はそれだけでなく、コープさっぽろの宅配サービス「トドック」でも無印良品の商品の取り扱いが始まっています。こちらは2022年3月にスタートし、食料品から収納用品まで100種類以上のアイテムを販売しています。
いったいどうしてこのような出店が増えているのでしょうか?同じように食品や生活に役立つ商品を扱うという意味では、一見ライバルとも思える両者。協力しあうその理由について、無印良品を運営している良品計画さんにお話を聞くことにしました。
良品計画さんに聞いてみた!
率直な疑問にお答えしてくれたのは、良品計画広報の関根さん。関根さん、教えてください!
―――どうしてコープさっぽろと一緒になった出店が増えているのでしょうか?
それは、無印良品とコープさっぽろさんが実は似たもの同士だからです!私たち良品計画は、無印良品のお店が暮らしの基本を支える商品やサービスを提供するだけでなく、地域に開かれたコミュニティセンターのような存在となり、地域の方々の交流や活性化、課題解決に向けた活動を進めています。北海道に暮らす人と人を「つなぐ」プラットフォームを目指すというコープさっぽろさんの想いと似ていますよね。だからこそ目標に共感し、ともに出店を進めていくことになりました。
―――出店を始めたことによる反響はありますか?
これまでは都市部を中心とした出店になっていたため、北海道内でも「近くに店舗がない」という地域が多くありました。コープさっぽろさんの中や近くに出店し、少しずつ範囲を広げています。日高地方の新ひだか町にもしずない店をオープンしたりする中で、「近くに来てくれてありがとう」といったうれしい声がたくさん届いています。
―――コープさっぽろと一緒に行っている取り組みなどはありますか?
新しく出店したそうえん・やまはな・きたひろしまの中には、「お休み処」というスペースがあります。お客さまが休憩したり、飲食したり、自由に過ごせる空間なのですが、イベントやワークショップなどもできるようにと考えた空間になっています。こちらはコープさっぽろさんと一緒に作ったスペースなんですよ。
―――これから行っていく予定のものはありますか?
商品開発や地域の課題解決など、コープさっぽろさんとともに行っていきたいことは数多くあります。特に防災イベントの共同開催は一緒に取り組みたい活動の一つです。良品計画では「いつものもしもCARAVAN」という、「地域とつながる・楽しく学べる」をコンセプトに、子供から大人まで楽しく防災を学ぶことができるイベントを全国各地で行ってきました。コープさっぽろさんとともに開催することで、地域一帯になった取り組みができたらと思っています。
多目的な休憩スペース「お休み処」
良品計画さんに話を聞いたことでわかった出店の理由。さらにはその中で「お休み処」というスペースのことを教えていただきました。私たちはコープさっぽろと無印良品の取り組みについて知るために、さらにこの場所についても、実際に行ってみることにしました!
やってきたのは、コープさっぽろきたひろしま店内にあるお休み処。店内をまわって、その特徴を探ってみましたよ!
1)飲食や小休憩などが自由にできる
無印良品やコープさっぽろで買いものをした方が休憩したり、ちょっとした飲食をしながら過ごせるオープンなスペース。趣の異なる椅子とテーブルがならび、好きな形で過ごせる空間になっています。無印良品のお菓子やドリンクをおともに、読書を楽しむ…なんてカフェのような利用のしかたもいいですよね。
2)北海道の木材を使用
木材が多く使用され、あたたかな印象の空間。きたひろしま店の内装には、北海道産のトドマツや道南杉が使われています。その中でもベンチなどに用いられているのは、「ワケあって市場に出せない道南杉」。
根曲がり材と呼ばれ、その名のとおり根元にかけてゆるやかにカーブが広がる木材です。雪の重みで根元が曲がってしまった木で急斜面や積雪の多い地域でよく見られるのですが、まっすぐではないため市場ではあまり流通せず、ウッドチップなどとして使われることが多いもの。この根曲がり材を活用し、捨てる部分を最小限にしながら、木材のカーブを生かしたベンチやスツールに生まれ変わりました。
3)イベントなども開催
きたひろしま店ではイベントやワークショップもできるように、余裕を持った空間設計がされています。
現在は不定期に「つながる市」というイベントを開催。「ヒトとつながる、マチをつなげる」をコンセプトに、地域の菓子店やフラワーショップ、パン屋さんなどが出店するマルシェを行っています。
おまけ)同じフロアにトドックステーションも
お休み処と同じフロアには、お子様のためのフリースペース「トドックステーション」があります。授乳室や簡易キッチンなども完備しているので、大人がゆっくりと過ごすだけでなく、小さなお子さまと休みたいというときには、こちらもあわせて利用することができます!
利用者さんにインタビュー
自由にゆったり過ごすことができそうな、「お休み処」。実際に来ている方は、どんなふうに感じているのでしょうか?きたひろしまの店内で、利用者さんにお話を聞いてみました。
今日は学校の部活が終わってからここに。放課後とか、特に冬休み中はほとんど毎日みんなで集まっていました。特になにをするってわけじゃないけど…一日にあったことをしゃべったりして過ごしています。
もともとはそんなに遊んだりしていたわけじゃなくて、コープさっぽろきたひろしま店ができてから自然と集まるようになりました。同じ学校の人もよく利用しているので、たまたまここで会うこともあります。(中学生)
10年くらい前から北広島に住んでいるけど、最近は街の変化が大きいね。ボールパークとかができた反面、小さな個人商店なんかは無くなっちゃうところも多い。80歳になって免許も返納したから、歩いて来られる場所にコープさっぽろができて便利になったよ。
今日は買いもののついでに、お昼を食べるのにお休み処を使いました。こういうスペースがあるのも、ゆっくりできてありがたいね。(80代男性)
落ち着いて過ごせるので、友人と一緒に来ました。自宅はすこし離れているんですけど、もう何度か利用しています。思い立ったらすぐ、コープさっぽろや無印良品で買い物できるのもいいですよね。(高校生)
週に一度くらいは買いものに来て、ついでにこのお休み処を使っています。ここができる前は違うコープさっぽろのお店を利用していたけど、今はこちらに来ることが多いですね。
パークゴルフの帰りに友だち同士で来ることもあるんです。前はカフェとかに行っていたけど、ここは無料で利用できるからいいですよね。あっちのベンチの木とかもすごいですよね。家の花を飾る台に使いたいなんて思って見ています(笑)。(ご夫婦)
地域をつなぐお店
北海道内各地に出店し、コープさっぽろの中にもオープンが増えている無印良品。いったいどうして?とここまで追いかけてきましたが、その裏には「地域の暮らしを豊かにしたい」という共通の思いがあることが分かりました。
利用者さんへのインタビューで聞こえてきたのは、「この場所ができて友だちと集まるようになった」「買い物のついでにゆっくり休むことができて助かる」といった声。
お店=買い物する場所だというふうに考えてしまっていましたが、それだけではない、人と人のつながりや楽しみを増やしてくれる場所でもあるんですよね。今後さらにイベントなどの取り組みが充実していけば、地域が一体となったつながりはさらに増えていくのかもしれません。
これからも増えていく店舗と、そこでの取り組みがさらに楽しみになってきました!コープさっぽろと無印良品の「似たもの同士」の取り組み。これからも見逃せませんよ。
〈関連リンク〉
▼無印良品の空間設計 生活協同組合コープさっぽろ|コープさっぽろきたひろしま お休み処
https://www.muji.com/jp/space-design/works/024/
▼コープさっぽろの店舗一覧
https://www.sapporo.coop/shop/
▼コープさっぽろの宅配トドック
https://todok.sapporo.coop/
北海道で生きることを誇りと喜びに
コープさっぽろの取り組みは、組合員さんのご利用や参加によって「北海道の暮らしを豊かにすること」につながっています。取り組みは組合員さんならどなたでも参加でき、日常を通して気軽に参加できるものもあります。コープサイクルでたくさんご紹介していきますので、ぜひその他の記事もご覧ください。