コープサイクルをご覧のみなさん、こんにちは!学生レポーターの野家と谷です。
私たちはこの半年間の取材や記事作成を通して、コープさっぽろのさまざまな社会貢献活動や裏側を知り、働く人たちや社会貢献活動に関わる人たちの思いにも触れることができました。そして、気がついたのはコープさっぽろは「おいしいお惣菜や食材を売っているスーパー」だけではないということ。もちろん、これもまた事実ではあるのですが、「スーパー」以外にもたくさんの社会貢献活動や事業があるのです!
では……コープさっぽろは一体何者…⁉
学生レポーターとして活動する最後の機会。生活協同組合コープさっぽろ組織本部の緒方さんのもとを訪ね「コープさっぽろとは何者なのか」をテーマに、とことんお伺いしてきました。
深堀りすればするほど、おもしろかった…!コープさっぽろについて、私たちが解説します!
緒方 恵美(おがた・えみ)さん
生活協同組合コープさっぽろ
執行役員組織本部長 兼 広報部部長
株式会社コープメディア代表取締役
緒方 恵美(おがた・えみ)さん
生活協同組合コープさっぽろ
執行役員組織本部長 兼 広報部部長
株式会社コープメディア代表取締役
「コープ(生活協同組合)」の仕組みを解説&図解!
「今日は仕事が忙しくて夜ごはんをつくる時間がない!」「新鮮で安心な食材がほしい!」そんなときに心強い味方になる『コープさっぽろ』。北海道内に100以上の店舗をかまえ、さらには北海道全域を対象とする宅配サービス『トドック』を手掛けており、道民なら一度は行ったことや目にしたことがあるのでは。ところで、「コープ」って何の略称かご存じですか?
「コープ」は「co-operative」の略。日本語訳は「協同組合」。
なるほど!……とはならず、次に浮かんでくるのは「協同組合って、なに?」。どこかで一度は聞いたことがあっても、問われるとうまく答えられない。
協同組合のなかにもさらに種類があり、農業協同組合、漁業協同組合、そして生活協同組合(生協)。ここで、生活協同組合の仕組みを解説します。
生活協同組合と株式会社の大きな違いの一つが、その資金の集め方。株式会社は株主が出資しますが、生活協同組合は組合員さん一人ひとりが出し合います。
では、集まったお金を、何のために使うのか。商品やサービスを開発して経営を行い、利益を追求していくのが株式会社。一方で、生活協同組合が追求していくのは、組合員さんの生活の質の向上です。
生協は利益のためではなく、どれだけ人のためになるのかを追求しているんです!
なるほど!行動の基準が「人のためになるかどうか」なんですね。
儲けではなく、人のために。これが生活協同組合の仕組みの、大きなポイントでした。
暮らしをよりよく!「コープさっぽろ」の社会貢献活動
生活協同組合の仕組みがよくわかったところで、コープさっぽろのウェブサイトをのぞいてみると驚くのが、社会貢献活動の多様さ。
なぜこんなにたくさんの社会貢献活動をしているのだろう。そして、それらができるのはどうして?
179個の市町村がある北海道。この大きな北の大地が直面する、地方衰退や人口減少という現状。北海道で暮らす人たちを支えたくても、人や財源が足りない…そんな声が各市町村から聞こえてくるのだと緒方さんはいいます。
各市町村がそれぞれの力だけではできなくても、コープさっぽろにならできることがある。北海道で暮らす人のためにさまざまな活動をして、北海道で暮らす人に還元していく。そこに、”儲け”はありません。北海道という大きなスケールで、行政の代替の役割を担おうと事業を広げています。
例えば、学校給食。少子化が進む中、老朽化する給食センターを維持することは小規模自治体にとっては負担になってしまいます。そこで、コープさっぽろはこれまでの配食サービスのノウハウを生かして、様似町や愛別町、初山別村でスクールランチ事業を展開しているのです。
行政でもなく株式会社でもないコープさっぽろだからこそ、北海道にとってできることがまだまだたくさんあるということです。
そして、コープさっぽろがこうした社会貢献活動を広げていくためのエンジンとなっている大きな2つが、店舗事業と宅配事業。これらから利益(剰余)も確保しながら、地域や社会への支援を継続する仕組みをつくっているのです。事業と社会貢献活動の両輪、これがコープさっぽろの強さです。
安定した事業の利益があるからこそ、さまざまな社会貢献活動ができるんですね。納得!
では、コープさっぽろの具体的な社会貢献活動について深堀りしていきましょう!
社会貢献活動のきっかけから実現まで
ここからは、コープさっぽろが取り組む社会貢献活動がどのように誕生しているのかについて、説明していきます。
基本の流れ
STEP1.北海道のみなさんから生活の課題を聞く
コープさっぽろは、地域の課題と向き合っていくために、あらゆるところに耳を傾けています。課題を聞く相手は組合員さんであったり、取引先の企業の方であったり、行政だったり。
1人が思っていることは、北海道の中のたくさんの人が思っていることである可能性が高いです。いろいろなところへ直接行ったり、頻繁にアンケートを取るなどして、困っていることや課題などの情報を集めています。
STEP2. コープさっぽろだからこそできる解決方法を考える
コープさっぽろのもとに集まった地域課題を解決するための方法を考えます。生活協同組合だからこそできる資金調達と運用、人と人とをつなぐ力を最大限活用して、全力で課題解決に取り組んでいきます!
実は、「海のクリーンアップ大作戦」も「ファーストチャイルドボックス」も、こうした流れの中で実現した社会貢献活動だったんです。
こちらは、社会貢献活動が実現するまでの流れに2つの実例を当てはめた図です。
これらの実例をもとに、事業が実現するまでの流れを詳しく説明していきます!
実例① 海のクリーンアップ大作戦!
実例の1つ目では、海のクリーンアップ大作戦!が誕生した経緯をご紹介します。
「2050年には、海洋プラスチックごみが魚の量を超える」という話に危機を感じたコープさっぽろの組合員さんは、マイボトルアクションという取り組みを始めました。
▼マイボトルエコアクションについての詳細はこちらから
https://mybottle-eco.com/
そして、マイボトルを持ち歩く取り組みをもっと広めたい!と思いコープさっぽろが考えたことは、他の企業と協力すること。
コープさっぽろが飲料メーカーに相談したところ、彼らはまた別の問題を抱えていました。
「海洋プラスチックごみが深刻になって、ペットボトル製品への風当たりが強くなっているんです…」
ペットボトルを使うこと自体は、悪いことじゃないのに…。問題なのは、ごみが正しく分別されないことで、適切に処理されないごみがたくさんあること。
それならば、みんなで集まって海の環境をきれいにする取り組み始めよう!と思い至ったコープさっぽろ。こうして海のクリーンアップ大作戦!は始まったのです。
▼2024年の海のクリーンアップ大作戦!の様子についてはこちらから
https://coopcycle.sapporo.coop/media/environment/environment_7178/
地域課題の解決も、企業が抱える悩みも、組み合わせ次第で同時に解決を目指せるとは!なるほど、勉強になります。
きっかけは個人レベルの声でしたが、話はどんどんと大きくなり、今年は11,416人もの人が参加する超ビッグイベントにまで成長しました。
一つの思いに共感し、カタチにしていく。コープさっぽろが大切にしている姿を感じられる事例ですね。
実例② ファーストチャイルドボックス
2つ目の事例として、ファーストチャイルドボックスが誕生した経緯をご紹介します。
みなさん、実は北海道の出生率が全国で45位なことをご存知ですか?これにはさまざまな背景が考えられますが、理由の一つとして挙げられるのは低所得による子育ての不安です。コープさっぽろは、北海道の子育て環境を支援するべく何かいい方法はないか…!と模索を始めます。
そこで、コープさっぽろは、子育て家庭を増やすための策よりもまず、現在子育てを頑張っている家庭に目を向けて支援を始めることにしました。
そして、子育て支援に力を入れている事例を世界の中から探してみると、社会福祉先進国 フィンランドの「育児パッケージ」を見つけました。育児パッケージとは、フィンランド社会保険庁事務所から無料で支給される母親手当の一つで、産後に必要な育児グッズがたくさん詰まったパッケージです。そして、これこそがコープさっぽろのファーストチャイルドボックスの原型となるものです。
育児パッケージについて教えてもらうために、まずはフィンランド大使館に相談をしました。そこから担当の方につないでもらって、育児パッケージを実現するための方法を学ばせていただきました。
ファーストチャイルドボックスは、コープさっぽろだからこそ実現できた事例でもあります。
ファーストチャイルドボックスには、ベビー服、ブランケット、シーツ、おむつ、石鹸など、さまざまな用品が詰め込まれています。さらに、ボックス自体も工夫が!赤ちゃん用ベッドとして活用できるように、とても丈夫に作られているのです。こんなにも立派なドリームボックスなだけあり、ファーストチャイルドボックス1つにつき、2〜3万円ほどの予算が必要となっています。
これをまるまるプレゼントだなんて、なんて太っ腹なコープさっぽろ…。
そして、なぜこうしてプレゼントが実現できるのか?それには、エコセンターのリサイクルの取り組みがありました。コープさっぽろはエコセンターリサイクルでの収益(剰余)を子育て基金に充当しています。すでに持っている組織内の流通網を活用し、効率的に資源を回収、細かく分別することで年間5億円もの収益を生み出しています。この収益をファーストチャイルドボックスをはじめとした「子育て基金」として、組合員さんに還元しているのです。
また、コープさっぽろと行政が連携することで、より多くの方の子育て支援を実現しています。行政が母子手帳を発行する時、そこを窓口としてファーストチャイルドボックスについても紹介してもらっているそうです。
そうすると、より多くの方にファーストチャイルドボックスを知ってもらうことができ、北海道全体の子育て支援につながる、というわけです。
コープさっぽろだけでなく、みんなで協力して動くこと。これは、人のためになることを実現していくために大切なことだと思っています。
▼ファーストチャイルドボックスについての詳細はこちらから
https://www.sapporo.coop/children/child-box/first-child-box/
私たちが辿り着いたコープさっぽろの正体
どうしてコープさっぽろはこんなにいろいろな取り組みをしているのだろう。コープさっぽろって、一体何者?この記事の出発点は、こんなふとした疑問でした。
そして、各取り組みの背景を深掘りしてみて分かったことは、「徹底して“人のため”を追求している」ということ。これが生活協同組合としてのコープさっぽろなのだな、と深く納得しました。きっと、ここまで記事を読んでくださったみなさんも「コープ=スーパー」のイメージはなくなっているのでは?
最後に、緒方さんに、コープさっぽろを一言で表すなら何と言いますか?と聞いてみました。
「北海道の生活インフラ」「共助」「相互扶助」とかですかね。あとは、コープさっぽろのロゴマークにも入っている「つなぐ」もいい表現なんじゃないかな。
私たち学生レポーターは、「コープさっぽろ=地域のお助けマンである」という仮説を立てていました。しかし取材を通して、コープさっぽろは、地域のお助けマンなだけでなく、「人と人、人と未来をつないで北海道の将来を明るく照らしてくれる、行政と民間企業の仲介役」なのだと分かりました!
緒方さんのお話しはとても興味深かったです。人口減少や地方衰退が進んでいる北海道において、コープさっぽろは未来を照らしている存在なのだなと思いました。私にとってコープさっぽろは、おいしい玉子焼きを求めに行く「スーパー」でしたが、これからはもっと頼れる存在になりそうです!
こんなにも多種多様な社会貢献活動がある中で、根本にはすべてに一貫した「北海道のために」という思いが込められていることが分かりました。コープさっぽろらしい着眼点と、コープさっぽろだからこそできる実現力は、まさに唯一無二の魅力だと思いました!
この記事を通して、みなさんにも、コープさっぽろがどのような思いを胸に社会貢献活動をしているのかが伝わっていたら幸いです。
これからも、みんなの思いをつないで、みんなで北海道を盛り上げていきましょう!
〈関連リンク〉
▼生活協同組合コープさっぽろ公式サイト
https://www.sapporo.coop
▼コープさっぽろについて
https://www.sapporo.coop/about/
▼SDGs BOOK
https://www.sapporo.coop/about/docs/SDGs2024.pdf
北海道で生きることを誇りと喜びに
コープさっぽろの取り組みは、組合員さんのご利用や参加によって「北海道の暮らしを豊かにすること」につながっています。取り組みは組合員さんならどなたでも参加でき、日常を通して気軽に参加できるものもあります。コープサイクルでたくさんご紹介していきますので、ぜひその他の記事もご覧ください。