夜間中学校の
お弁当給食

星友館中学校へコープさっぽろが給食をお届け!

▼ 目次

2022年4月、札幌市内中心部に北海道ではじめての公立夜間中学校「札幌市立星友館(せいゆうかん)中学校」が開設しました。
夜間中学校とは、夜の時間帯等に授業が行われる公立中学校のこと。義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方や不登校など、さまざまな事情によって十分な教育を受けられずに中学校を卒業した方や外国籍の方が、義務教育を受けることができます。

星友館中学校では1時間目のあとにお弁当形式の給食が提供されるのですが、この給食はコープさっぽろがお届けしているのだそう。
「お弁当形式の給食ってどういうものなのだろう?」「どんなメニューなの?」など、気になることがたくさん。早速コープサイクル編集部が、星友館中学校の給食時間におじゃまして取材してきましたよ!

給食を学校や施設に届ける!コープさっぽろの「給食事業」

様似小学校のスクールランチの様子。

みなさんが通っていた小学校や中学校に、給食はありましたか?給食があるのは当たり前だと思っている方も多いと思いますが、主食・ミルク・おかず類による「完全給食」が提供されているのは、全道の公立小学校・中学校の98.1%。残りの約2%は、ミルクとおかず類のみ提供される「捕食給食」や、ミルクのみの「ミルク給食」、そして給食を実施していない学校もあるのです。

※参考:北海道の学校給食(令和5年度)北海道教育庁学校教育局健康・体育課

完全給食が全道の小中学校で実施できていない理由には、調理や配食にあたる人材不足や、財政の課題などがあります。そこでコープさっぽろでは、給食がない町の子どもたちにも給食を届けたいという想いから、小中学校の「スクールランチ」や幼稚園給食の提供をスタート。さらに、公立夜間中学校・星友館中学校の開設時から、お弁当形式の給食を提供しています。

コープさっぽろの担当者にインタビュー

コープさっぽろの給食事業について、担当の清水さんにお話を伺いました!

プロフィール

清水 貴之(しみず・たかゆき)さん

生活協同組合コープさっぽろ
配食事業部 グループ長

清水 貴之(しみず・たかゆき)さん

生活協同組合コープさっぽろ
配食事業部 グループ長

札幌市出身、2011年にコープさっぽろへ入協。
星友館中学校や幼稚園給食、スクールランチの調整や、配食事業のWeb戦略などに携わる。

―――コープさっぽろの給食事業について教えてください。

2021年9月から、様似町の小学校と中学校に給食を届ける「スクールランチ」をはじめました。それまで、様似町では給食施設の建設や雇用などの問題から完全給食の提供ができない状況だったんです。そんなときに、様似町から「学校にお弁当を届けてもらえないか」という相談をいただきました。

でも、できることなら子どもたちに温かい昼食を届けたいという想いから、お弁当ではなく温かい給食の提供をはじめました。様似町のスクールランチは様似町から車で2時間以上離れた距離にある帯広工場で作っています。コープさっぽろのこれまでのノウハウを生かして、温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で提供することが可能に。さらに、2022年4月からは、初山別村と愛別町でもスクールランチの提供を始めました。

スクールランチをお届けしている小学校の子どもたちからは、ありがとうの想いがたくさん詰まった手紙もいただいたんです。コープさっぽろの職員も、調理を担当しているコープさっぽろの関連会社「コープフーズ」の職員も、とてもうれしく、励みになりました!

様似小学校のみなさんから届いた手紙。

なおコープさっぽろでは、小中学校のスクールランチのほかに、幼稚園給食も提供しています。幼稚園、小学校、そして中学校とコープさっぽろの給食を食べて育った子どもたちが、大人になってコープさっぽろの店舗や宅配トドックを利用する…。そんなふうに、子どもたちが大人になったときも、コープさっぽろが近い存在でいられたらうれしいですね。

―――星友館中学校ではお弁当形式の給食を行っているそうですね。

札幌にある公立夜間中学校・星友館中学校では、コープさっぽろの関連会社「弁菜亭」が作るお弁当形式の給食を届けています。星友館中学校の給食は注文制で、生徒さんの負担は1食300円。おかずはお弁当容器でお届けし、ごはんは温かい状態で食べてもらえるようにライスBOXでお届けして、給食の時間に器に盛り付けて提供しています。

実は、給食がはじまって間もないころは、ごはんは冷めた状態で届けていました。そんな中、生徒さんから温かいごはんを食べたいというお声をいただいて。少しでもおいしく、そしていっぱい食べていただけるように、ごはんをライスBOXで届ける今のスタイルになりました。

<関連リンク>
▼北海道に広がるスクールランチの輪。学校の「給食」が当たり前になるように!
https://coopcycle.sapporo.coop/media/teaching/teaching_1473/

星友館中学校の給食の様子をご紹介!

星友館中学校のお弁当形式の給食とは一体どのようなものなのか…!?給食の時間にお伺いしてきましたよ!

資生館小学校と併設。

17:20 お弁当をのせたトラックが到着

札幌市東区にある弁菜亭で作られたお弁当をのせたトラックが、星友館中学校に到着。

17:30 生徒さんが待つ教室へお届け

お弁当を各教室に運びます。

おかずが入った容器とお茶、そしてほかほかのごはんをテーブルにセットします。

18:10 いよいよ給食の時間!

1時間目が終わったら給食の時間です。ごはんの盛り付けは教職員の方が行い、「大盛りで!」「ちょっと少なめに」など、生徒さんの希望にあわせて容器に盛ります。

この日のメニューは「鶏と大根の旨煮」や「揚げ餃子」など。おいしそ〜!

JPOPをBGMに給食を楽しんでいました♪ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました!

星友館中学校の校長先生にインタビュー

今回お伺いした星友館中学校の校長先生に、学校の概要や給食についてお話を伺いました!

プロフィール

工藤 真嗣(くどう・まさし)さん

札幌市立星友館中学校
校長

工藤 真嗣(くどう・まさし)さん

札幌市立星友館中学校
校長

社会科が専門。昼間の中学校の教頭や札幌市教育委員会の夜間中学担当課長などを経て、2022年4月の開設より初代校長に就任。

―――星友館中学校はどんな中学校ですか?

星友館中学校は北海道で唯一の公立夜間中学校です。これまで札幌では中学校に通えなかった方をフォローする制度がなかったため、民間の方が自主夜間中学を開設し、学びの場を提供してきました。しかし、正規の中学校ではないため卒業証書をもらうことはできないこともあり、自主夜間中学の方から長年にわたって、公立夜間中学の開設要望が出されていたんです。さらに、近年国では夜間中学の設置・充実に向けた取組を進めており、それも相まってこの星友館中学校が開設されることになりました。

さまざまな理由で中学校を卒業できなかった方や十分に学べなかった方など、義務教育の年齢を超えている方であればどなたでも入学が可能です。現在は不登校だった方や外国出身の方など、10〜80代の110名が通っています

授業は月〜金曜の1日4時間授業で、1コマ40分。生徒さんは自身の学力にあわせてカリキュラムを選ぶことができます。希望があれば小学3年生くらいからの学習も可能です。スポーツ交流会や校外学習などの行事も昼の中学校と同じようにありますよ。

―――生徒さんの給食への反応はいかがですか?

現在、32都道府県・指定都市に53校の夜間中学校が設置されていますが、給食の提供ができていない学校もあります。星友館中学校を開設する際も給食の有無については議論があったのですが、友人と一緒に給食を食べる時間も学校生活の一部なんですよね。だから、ここでは給食を実現したいという想いがありました。当校では一緒に教室で給食を食べる職員もいて、生徒さん同士はもちろん、職員とのコミュニケーションの時間にもなっています。

生徒さんは幅広い年齢の方がいるので、例えば「さばの照り焼きとコロッケ」「ハンバーグと鱈フライ」といったように、主菜が「魚だけ」「揚げ物ばかり」とならないよう、偏りのない献立になっています。
コープさっぽろに生徒さんの「温かいごはんが食べたい」という要望を叶えていただき、給食は生徒さんからもとても好評です。温かいごはんの給食への感謝の想いを作文につづった生徒さんもいました。ここは生徒さんの学校ですし、義務教育を十分に受けられなかった方の最後のとりででもあるので、今後も生徒さんが希望することは可能な限り叶えていきたいと思っています。

取材を終えて

校長先生へのインタビューで印象的だったのが、「給食は学校生活の一部」という言葉です。給食はお腹を満たすだけではなく、食を通して多くの学びを得ることができます。そして、それは“誰かと一緒に食べる”という、コミュニケーションの場にも。
給食が必要なものの、行き届いていない地域や場所がこの北海道にもまだあります。誰にとっても、給食が当たり前になる。そんな未来になるように、私たちに何ができるのか、自分ごととして考えていきたいですね。

給食に関する悩みを抱えている教職員の方や保護者の方がもしいらっしゃれば、ぜひコープさっぽろまでご相談ください!

▼お弁当形式の給食・スクールランチについてのお問合せ先
0 5 0 ・ 1 7 5 1 ・ 7 0 4 4
(コープさっぽろ配食事業部)

〈関連リンク〉
▼札幌市立星友館中学校
https://www16.sapporo-c.ed.jp/seiyukan-j/
▼【コープさっぽろの挑戦】「給食がない町」に温かい食事を!「スクールランチの取り組み」【STV放映】
https://www.youtube.com/watch?v=Y_ThYsmKKZ4

北海道で生きることを誇りと喜びに

コープさっぽろの取り組みは、組合員さんのご利用や参加によって「北海道の暮らしを豊かにすること」につながっています。取り組みは組合員さんならどなたでも参加でき、日常を通して気軽に参加できるものもあります。コープサイクルでたくさんご紹介していきますので、ぜひその他の記事もご覧ください。

組合員への加入はこちらから

関連記事
地域の「教育」を一緒に支えよう!
コラム 教育

地域の「教育」を一緒に支えよう!

学びの可能性を広げる「コープさっぽろ大学生育英奨学金」
ムービー 教育

学びの可能性を広げる「コープさっぽろ大学生育英奨学金」

北海道で奨学金を探している人に朗報!「コープさっぽろ大学生育英奨学金」2025年受付スタート!

北海道で奨学金を探している人に朗報!「コープさっぽろ大学生育英奨学金」2025年受付スタート!