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突然ですが、皆さんの「給食での一番の思い出」はなんですか?
あれがおいしかった、これが好きだったなどの記憶もあるでしょうし、おかわりを争ってじゃんけんしたこと、友だちと会話をしたことなど、いろいろな思い出があるのではないでしょうか。私はというと給食はデザートが楽しみで、特に冷凍みかんがお気に入りでした(と書いていたら無性に食べたくなってきました…)。
今日はそんな「給食」にまつわる話をしていきたいと思います。早速ですが、皆さんに見ていただきたい数字があります。

97.7%。これは、全道の公立小学校・中学校で「完全給食」が行われている学校の割合。完全給食とは主食・おかず・牛乳で構成されている給食のことで、多くの方が食べてきたものだと思います。
逆にいうとここに含まれない2.3%(36校)では、給食が実施されていなかったり、牛乳だけ提供(各自でお弁当などを持参)などの形で給食が行われています。生徒の数でいうと、約1,500人が完全給食の提供を受けていないという状況です。
※参考:北海道の学校給食(令和3年度)北海道教育委員会

《学校給食の分類》

○完全給食/主食(米飯、パンまたは麺)と、ミルクおよびおかず類による給食
○補食給食/ミルクとおかず類による給食 (各自で主食を持参)
○ミルク給食/牛乳のみ提供(各自でお弁当などを持参)

日本の学校給食は安全性や栄養バランス、施設の条件などが「学校給食法」という法律により定められています。給食は上記の3つに分けられていて「完全給食」を望む声が多いのですが、調理や配食にあたる人材不足、財政の課題などもあり、全てに行き渡っていないというのが現状なのです。

課題先進地域とも言われる北海道では、過疎化や少子化などが深刻な問題となっています。学校の統廃合も進む中で、給食の維持も難しくなってしまうところがあるかも知れません。そうした未来のことも考える中で、ある取り組みが始まりました。それがコープさっぽろの「スクールランチ」です。

スクールランチが生まれた背景

スクールランチは、2021年9月にコープさっぽろが開始した“学校へ昼食を届ける事業”です。きっかけとなったのは様似町から寄せられた「学校にお弁当を届けてもらえませんか?」という相談でした。
最初はお弁当の宅配を検討したものの、「せっかくなら子どもたちにもっと喜んでもらいたい!」とプロジェクトが進行。全道で配食サービスを展開しているコープさっぽろのノウハウを生かして、お弁当ではなく温かい食事をお届けすることになったのです。

2021年9月の様似町から始まり、2022年4月からは初山別村と愛別町でも提供を開始したスクールランチ。今回はその取り組みについて、初の実施校となった様似小学校の様子とともにレポートします!

様似小学校の前校長にインタビュー!

現在は様似中学校で校長を務められている松田先生。

スクールランチが始まったときに様似小学校で校長を務められていた、松田陽一先生にお話を伺いました!

様似町はこれまでミルク給食のみで、完全給食の実施歴はなく、過去の卒業生にもいわゆる“給食”の思い出はありませんでした。長年、町民や保護者の方から望む声は多かったものの、なかなか実現できずにきましたが、コープさっぽろさんとの提携によりスクールランチという形で、小・中学校の子どもたちに温かい昼食を提供していただけることとなり、感謝しています。
“日本一の給食”で知られる管理栄養士・佐々木十美さん監修の献立は、栄養面はもちろん味が良く、私を含めて毎日食べる教員にも好評です。また年に一度、ブランド秋サケの『銀聖』を特別メニューに取り入れるなど、貴重な地元食材を味わう機会も。バランスのとれた食での体作りや食育に加え、スクールランチが生徒の新たな思い出になってくれたらうれしいですね。

様似小学校のみんなにスクールランチが届くまで

そんな様似小ではどのようにスクールランチが行われているのでしょうか?実際にお邪魔して、お届けの舞台裏とランチタイムを見学させてもらいました。

AM11:00 トラックが到着

スクールランチの調理を担当しているのは「コープフーズ」というコープさっぽろのグループ会社。コープフーズの帯広工場から食事を乗せて、2時間以上かけて様似町へと運びます。
それだけの時間をかけても、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく提供できるのがスクールランチの特徴。加温カート(65℃以上を保持)と、冷蔵カート(10℃以下を保持)を使いながら運び、トラックから配膳室に移した後も、加温庫に入れてギリギリまで温かさをキープしています。

「スクールランチの人」こと、配送担当の橋本さん

安全運転で毎日おいしいメニューを届ける橋本さんは、様似小の子どもたちに「スクールランチの人」と親しまれているそう。

AM11:45 みんなの待つ教室へ

あつあつのごはんをみんなの待つ教室へ移動!学年ごとにワゴンをのせて、担当スタッフさんが教室の前まで運びます。

PM12:00 みんなでいただきます!

お昼になったら、お楽しみの時間!午前中の授業が終わるやいなや、トレーを手に並ぶ生徒たち。今回見学させてもらったのは3年生クラスですが、上級生は自分たちで配膳も行っているそうです。

気になるこの日のメニューはこちら。

・ごはん
・ポトフ風スープ
・ハニーチキン
・洋風きんぴら
・牛乳

違う学年でもメニューは同じですが、量は適切なものに変えて盛り付けているそうです。

 

いっただっきまーす!と元気よく食べる子どもたち。たくさん頭を使ったら、お腹空きますもんね。みんなの笑顔にこちらもうれしくなってしまいます。

ハニーチキンが子どもたちに人気で、自分でスープをおかわりする子もいました。食後は先生と一緒に自分たちで片付け!トレーもキレイにして戻します。

保護者からの声 

中にはアレルギーの関係などでお弁当を持参するお子さんもいますが、様似小・中学校の9割以上の方がスクールランチを利用しているそうです。それでは実際に利用されている保護者の皆さんはどのように思われているのでしょうか?こちらもお話を伺ってみました。

 家庭で作ったことのない献立もあり、ありがたく思っています。

 普段から食が細く、お弁当ではほとんど食べずに帰ってきていたのが、スクールランチになってからは「あったかいから食べやすい」と、食べているみたいです。

 お弁当を作っていた時間を朝食作りに使えるため、朝ごはんをしっかり用意できるようになりました。

 お友だちも注文している子が多く、毎日「今日はメニュー何だっけ?」と楽しみにしているようです。

みなさん好意的な意見!お子さんの楽しみが増えるのはもちろん、毎日お弁当を作らなくて済むというのも大きなことですよね。教職員の皆さんの間でも、負担が減って助かるという声があるようでした。

スクールランチの特徴/佐々木十美さんのお話

改めてここで、コープさっぽろが提供するスクールランチの特徴をご紹介!さまざまな想いのもとに、実施されている取り組みなんですよ。

食育に貢献

毎月の献立表を兼ねた「食育だより」を発行。コープさっぽろの栄養士が学校を訪れ、食育授業も今後行っていく予定です。食を通じた子どもたちの心身育成への貢献も目指しています。

食材のこと

コープさっぽろ店舗の仕入れネットワークを活用し、地元の食材を積極的に使用。また、保護者の方にアンケートを取って、一人ひとりに合った“アレルギー代替食”にも対応しています。

温度管理

一番の特徴は「温かい昼食」。配食サービスの加温庫などを活用し、長距離でも冷めることなく、また、冷たいものは冷たいまま、適温の状態での提供をかなえています。

献立・栄養のこと

「給食の母」と呼ばれる佐々木十美さんが献立を監修。佐々木十美さんは置戸町に生まれ、72年から地元の学校給食センターで栄養士を務めました。現在は食のアドバイザーとして活動し、コープさっぽろ・配食サービスの献立や、店舗で販売の“十美さん惣菜シリーズ”など多数の監修を行っています。

 

【佐々木十美さんのお話】
長く学校給食に携わってきた経験で学んだのは「数字ありきの献立では子どもは食べない」ということ。どんなにバランスが考慮されていても、食べなければ栄養はとれません。
私は栄養価計算を前提に「子どもたちがおいしいと思うもの」を出してあげたい。献立も同じものは出さない。できるだけ地元の旬の食材を取り入れる。だしはイチからとって調味料も“本物”を使う。これらをモットーとしています。
味覚は食歴で決まります。未知の食材や味付けを体験したり、みんなと一緒なら苦手なものも食べられたり。学校での食事は、楽しいだけでなく社会性を養う上でも大切な時間です。
スクールランチで舌の記憶を豊かにし、生産者さんや調理する人、運んでくれる人など、たくさんの頑張りがあってみんなの元へ届くことを知って、食への感謝のキモチも育んでもらえたらと思います。

スクールランチの今後

様似町に続いて、初山別村と愛別町の小・中学校でも提供が始まったスクールランチ。とはいえ、まだ北海道の学校すべてで給食が実施されている訳ではありません。小中学校だけではなく、特別支援学校や夜間定時制高校なども足せばその数はさらに増えます。

今後スクールランチは、さらに北海道各地でその輪を広げていく予定!給食に関する悩みを抱えている教職員の方や保護者の方がもしいらっしゃれば、ぜひコープさっぽろまでご相談ください。
そして直接的には関わらない皆さまも、この取り組みを応援していただけたらうれしいです!

▼スクールランチについてのお問合せ先
0 5 0 ・ 1 7 5 1 ・ 7 0 4 4
(コープさっぽろ配食事業部)

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