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北海道の長い冬も終わり、外を出歩くのが楽しい季節になりました。おでかけが楽しみである一方で、日本全国のさまざまな地域では、気軽に買い物に行くのが難しい“買い物困難者”と呼ばれる方々が増え続けていて、社会問題の一つにもなっています。(ここでは「①家から近くの店舗までが500m以上ある ②自動車の運転が困難 ③65歳以上の高齢者」に全て当てはまる方を買い物困難者としています。)

北海道内だけでも買い物困難者は約45万人いるそうです。食材や日用品の買い物は毎日の暮らしに欠かせないもの。買い物困難者の問題を解決するために、多くの自治体では解決に向けてさまざまな取り組みを行っているんです。

そんな中、買い物困難者の支援策として、長万部町・黒松内町・豊浦町(はしっこ同盟)の3町では、コープさっぽろの移動販売車「おまかせ便カケル」の運行がスタート!

カケルを導入した経緯や利用している町民の方々の様子などを、自治体の担当者の方に聞きました。

まずは「おまかせ便カケル」をおさらい!

おまかせ便カケルは、コープさっぽろの移動販売車。北海道で暮らす買い物が困難な方をサポートするため、2010年より運行しています。大型冷蔵庫を備えた2t車(ATM搭載車は3t)の中には、鮮魚や精肉、野菜、果物、惣菜、日用品など、約1,000種の商品が積まれています。

カケルは、まさに移動するスーパー!毎週決まった曜日に同じコースを同じ時間で周り、明るい音楽を流してカケルがやってきたことを周辺の方にお知らせします。

現在は96台の移動販売車が北海道内138市町村を走っていますよ!(2024年3月時点)

運行エリアや時間は、こちらからご覧いただけます。

▼コープの移動販売車「おまかせ便カケル」

https://www.sapporo.coop/content/?id=27

「はしっこ同盟」の町に、カケルが走る!

コープさっぽろは2023年7月に、地域が抱える課題を協力して解決していこう!という包括連携協定を、はしっこ同盟と結びました。はしっこ同盟とは、長万部町・黒松内町・豊浦町の3町のこと。それぞれ渡島・後志・胆振の「はしっこ」に位置する町が、北海道新幹線の開通をきっかけに協力する体制をつくったのです。

そこで、まず始まった取り組みが、おまかせ便カケルの運行!豊浦町では以前よりカケルが運行していましたが、長万部町と黒松内町は運行コースには入っていませんでした。カケルはコープさっぽろの店舗から商品を積み込んで、各地域に伺います。そのため、移動する時間や販売する時間などの関係から、距離は半径50km圏内が原則とされていました。

一方、長万部町と黒松内町からもっとも近いコープさっぽろは、伊達市にある「コープさっぽろだて店」。最寄りといっても、長万部町と黒松内町からは60km以上離れた場所に位置しています。そのため、カケルの導入には、高速道路の利用が必要不可欠でした。

そこで2町では、地域で暮らす買い物困難者の方々を支援するために、自治体で高速料金(月間約9万円)を負担することで、2023年11月より長万部町と黒松内町でカケルの運行が実現!カケルの運行ルートに入っていない地域では、初となる試みなのだそう。

通常、カケルでは2t車を使っていますが、まとめ買いなどにも対応できるように、トランクルームを設置した3t車を新たに導入しました。

長万部町役場の方へのインタビュー

カケルの運行が長万部町で始まって約半年。運行が始まるまでの経緯などについて、役場の方にお話を伺いました!

プロフィール

大澤 貴文(おおさわ・たかふみ)さん

長万部町 新幹線推進課 新幹線・政策推進係 係長

大澤 貴文(おおさわ・たかふみ)さん

長万部町 新幹線推進課 新幹線・政策推進係 係長

長万部町出身。1998年に長万部町役場に入職。
趣味はサッカーや野球などスポーツ観戦で、今年の目標はエスコンフィールドHOKKAIDOに行くこと。

―――カケルを導入しようと思ったきっかけはなんですか?

長万部町の中心部はスーパーやコンビニなどがありますが、一方で、中心部から離れた集落では2年ほど前に商店がすべて閉店。近隣に店がなく、生活用品すら手にいれることが難しい状況でした。長万部町では月に2回、集落から中心部まで福祉バスの運行を行っていますが、決して便利といえる状況ではありません。また、近所の住民で車に乗り合って買い物に行く方もいましたが、ドライバーの高齢化により、その回数も減っていたようです。

そこで、長万部町では「このままではいけない!」と、この買い物困難問題を解決するために、さまざまな対応策を検討しました。以前、町長がコープさっぽろに買い物困難者について相談したことがきっかけとなり、今回のおまかせ便カケルの運行に至りました。

―――カケルを導入するにあたって、大変だったことはありました?

まずは、長万部町は最寄りのコープさっぽろからも距離が遠くカケルが運行していなかったので、どのように運行していくかが大きな課題でした。そこで、同じく買い物困難者の問題を抱えるはしっこ同盟の黒松内町に相談したんです。一つの町ではできることは限られていますが、隣り合う町、そしてコープさっぽろとともに協力していけば、解決できるのではないかと。町としても新しい取り組みだったので、庁内での役割分担など、いろいろと調整する必要がありました。そこでまずは、1年間は試験運行という形で始めることになったんです。

―――町民の方の反応はいかがですか?

長万部町では近隣にスーパーがないことから、宅配サービス「トドック」を利用しているご家庭も多く、町民はコープさっぽろ=トドックというイメージを持っていると思います。現在は、トドックを利用して、さらにカケルで商品を購入しているという方も多いですよ。やはり、カタログで商品を選ぶのではなく、直接商品を見てお店の方とお話ししながら、あれこれ考えて購入できるのはうれしいというお声もいただいています。高齢者の方はスマホを使いこなせず、トドックの注文表を書き間違ってしまう方もいるため、対面販売が安心できるようです。私の両親もカケルを利用しましたが、悪天候で車が使えないときでも買い物ができて便利だと言っていましたよ。

―――長万部町で今後考えている取り組みなどはありますか?

今年から新幹線の工事が本格的に始まるにあたり、工事作業員の方もカケルを利用したいという声がありました。工事現場付近にも商店などがないため、集落の高齢者とは別に買い物困難者が増えることが予想され、何か対策が必要になると考えています。

また、新幹線が開通したら、地方で暮らしながら都会で仕事をするという方も増えるかもしれません。そうなった際には、移動販売車を増車するなどの対策が必要になるでしょう。

そして、近いうちに有珠山が噴火する可能性があるといわれており、早急に備える必要があります。はしっこ同盟とコープさっぽろで連携し、万が一の際には物資を供給していただくなど、噴火をはじめとした災害にも備えていきたいです。

黒松内町役場の方へのインタビュー

黒松内町役場のご担当の方にも、カケルの導入後の様子などをインタビューしました!

プロフィール

鎌谷 耕一(かまや・こういち)さん

黒松内町 企画環境課 主査

鎌谷 耕一(かまや・こういち)さん

黒松内町 企画環境課 主査

西興部村出身。2011年に黒松内町役場に入職。
趣味はさまざまな町や道の駅を訪れて、その土地のおいしいものに出会うこと。

―――黒松内町の買い物困難者の状況をおしえてください。

町内には中心部にスーパーとコンビニが1軒ずつしかなく、買い物できる場所がとても少ないです。車を持っている若い世帯でも、町内での買い物には苦労されている方が多く、休日に伊達市など町外まで出て買い物をして、外食をして帰るという過ごし方をしていますね。

ただ、黒松内町は独居の方も多いので、車を持っていない高齢者は気軽に買い物にはいけません。そのため、黒松内町では外出支援として希望者にタクシーチケットの配布などを行っていましたが、それでも満足に外出はできていないという状態に。

また、特に買い物困難問題が深刻になるのが冬。黒松内町は雪が多い地域ですので、冬は若い世帯でも外出を控える家庭が多い状況にあります。

―――カケルの運行が始まり、町民の方の反応はいかがですか?

新年度の町の施策をお知らせする説明会を春に開催しており、その時点で町長が町民にお伝えしていました。その話が町民に口コミで広がり、カケルへの期待値は非常に高かったですね。運行が決定した際に回覧板で町民にお伝えした際には「待っていたよ」という声も多くいただきました。

利用している方は、実際に商品を見て購入できるのが楽しいとおっしゃっています。また、移動販売車が営業する各停留所では、利用者同士の間で「どうしていた?」「元気にしていた?」など会話がはずみ、一つのコミュニティの場になっています。近年は、集まる機会が減っていたり、高齢者は足腰がつらくて外に出るのがつらかったりと、近所に住んでいても顔を合わせる機会が減ってしまっています。カケルをきっかけに近所の方と話したり近況を報告したりできることに、喜んでいただいています。

―――カケルの導入にあたり、課題などはありましたか?

町内には長年営んでいる個人商店がいくつかあり、個人商店と移動販売車との共存も大きな課題でした。そのため、カケルの運行は商店が少なく買い物に困っている方が多い地域に限定しています。今後はさらなる買い物困難者の減少を目指し、町内全体が連携して快適に買い物ができる仕組みづくりができればと、思っています。

―――黒松内町で今後考えている取り組みなどはありますか?

黒松内町の集落では家同士の距離が離れているため、家からカケルの停留所が遠い方もいて、高齢者の中には停留所に行くのも困難な方もいらっしゃいます。そのため、町内の買い物困難者全員の支援には至っていないというのが現状です。そのような方々へも支援が行き届くように、車を運転するドライバーと足がない方をマッチングするライドシェアなど、新しい支援策も検討していきたいと考えています。

インタビューを終えて

食材や日用品を欲しいと思ったときに、気軽に商品を見ながら、選んで、買う。当たり前に感じる方も多いかもしれませんが、少子高齢化が進んでいる日本では、それが難しい地域が数多く存在しています。北海道の買い物困難者の数は、2005年に37.5万人だったのが、2015年には45.2万人となり、さらに2025年には49.8万人にのぼると言われていて、今後ますます対策を考えていかなくてはいけません。

コープの移動販売車「おまかせ便カケル」は、買い物が難しい方々の日常を支えるために誕生しました。北海道のさまざまな地域で運行をしていますが、まだ運行できていないエリアも存在しています。

今回、長万部町の大澤さんと黒松内町の鎌谷さんにインタビューをして印象的だったのが、カケルを利用しているみなさんが、楽しそうに買い物をしているということ。近所の方と顔を合わせて世間話をして、「今日のご飯はあれにしようかな」と商品を見ながら考える。そんな日常が北海道中に広がり、みなさんにとって当たり前になる日がくることを願っています。

〈関連リンク〉
コープの移動販売「おまかせ便カケル」のご紹介
https://www.sapporo.coop/content/?id=27
▼買い物の楽しさをお届けする「移動販売 おまかせ便カケル」
https://www.youtube.com/watch?v=RGMWMRzchDA&t=2s
▼ATMまで搭載!コープの移動販売「おまかせ便カケル」が運ぶものとは
https://coopcycle.sapporo.coop/media/planning/planning_1606/

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