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みなさんは「植樹」と聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか?
環境保護のこと?地球温暖化?きっとCO₂の削減に木が重要!というのは、多くの方がご存知ですよね。なんと世界の森林面積は1990年〜2020年の30年間で、178万k㎡も失われているのだそう。(※)これは日本の国土面積の約4.7倍にあたります。

でも大切だとは知っている植樹について詳しく知っている人、またはやったことがある人は少ないのではないでしょうか。例えば「植樹はやり方によって問題が増えることもある」「植樹をする場所がないケースがある」といった話を聞くと意外に思いませんか?
今回はそんな、植樹の取り組みについてのお話です!

NHK政治マガジン「世界の失われた森林 30年で日本の面積の4倍以上に」より

コープさっぽろが行う植樹の取り組み

コープさっぽろは地域の自治体などと協力しながら、道内各地で森づくりの取り組みを行っています。
この取り組みは洞爺湖サミットのあった2008年からスタート。地球温暖化の対策として、お買いものの際のレジ袋の削減を目指し、レジ袋を辞退された方一人につき0.5円を「コープ未来の森づくり基金」として積み立てることにしたのです。

この基金では「森づくり(植樹・育樹)」や「環境教育」、「森づくり団体の応援」を軸に活動を行っています。特に植樹の取り組みを積極的に行っていて、植樹した木は11万9千本を、累計の参加者は2万5千人を越えました。(2008年〜2022年の実績)

コープさっぽろがこうしてみなさんに参加してもらうことを大切にしているのは、「多くの人(特に子どもたち)に、興味を持ってもらえるきっかけをつくるため」。環境問題の話となるとついつい難しく捉えてしまいがちですが、それよりはまず百聞は一見にしかず!楽しみながら自然とふれ合う体験をしてもらうことで、見えてくるものがたくさんあるはずだと考えているからです。

ということで、私たち編集部もコープさっぽろが行う「植樹祭」に参加してみることにしました!道内各地に広がるこの森づくりの活動は、いったいどんなふうに行われているのでしょう?

植樹祭@帯広地区 新得町

北海道内16箇所にある「コープの森」

2023年5月14日。好天に恵まれたこの日、編集部がやってきたのは新得町。北海道の真ん中あたりに位置しており、「新得そば」や「トムラウシ温泉」などが有名なまちです。

地図を頼りに向かいましたが、当然目的地は森の中。ここで合ってるのだろうか…?と不安になりつつ進むと、「コープ未来(あした)の森づくり基金」の看板を発見!

あたりを見渡すと、広がる背の低い若い木々。ここで植樹が行われてきたことと、その範囲の広さを一目にうかがい知ることができます。

植樹祭の開会に先立って、ご担当の方にお話をうかがいました。これまでどんな形で植樹を行ってきたのか?そして当日はどのように植樹祭を行うのか?お聞きしたのは、帯広地区での活動を統括されている長尾さんです。

帯広日高地区本部
帯広地区組織統括
長尾裕行(ながお・ひろゆき)さん

十勝エリアでは2009年から植樹がスタートしました。5年スパンで会場を変えながら行っていて、ナイタイ高原・池田町・新得町と現在の場所は3ヶ所目。コロナ禍は組合員さんの参加を中止していたため、みなさんと一緒にできる植樹祭は2年ぶりです。
今年は50名以上の方が参加予定で、コープさっぽろの職員など他のメンバーも入れたら80名くらいになります。今回植える苗木は300本くらい。多く感じるかも知れませんが、この人数でやればあっという間に終わってしまうと思いますよ。
植樹をする上では、植えたあとの育樹(手入れ)のことや、木が育ったあとの活用のことも考えなければなりません。今回はカラマツの苗木を植えていきますが、そういったことも考慮して今後は植える木の種類も変えていこうと話しています。

この新得町では土壌や植生を考慮してカラマツを植えることが多いらしいのですが、環境に合わないものを植えるとしっかり育たないことなどもあるようです。「今日は天気がいいので、すぐ汗だくになってくると思いますよ」とフレンドリーに教えてくれた長尾さん。熱中症にも気をつけながら、いざ植樹祭スタートです!

いざ植樹スタート!

「植樹祭」というだけあって、開会式もしっかりと行います。「ゼロカーボンシティ」を目指しているという新得町の浜田町長などからご挨拶があり、いよいよ植樹のはじまり!
用意された軍手やスコップを借りて、苗木を植える場所へと移動していきます。

移動ができたら数人ずつのグループに分かれて、担当のエリアに苗木を植えていきます。はじめに植え方のレクチャーもありました!

〈苗木の植え方ポイント!〉
1、土を軽く掘る。深く掘りすぎないように注意。
2、カラマツの苗木を植えて、掘った土を戻す。
3、苗木が抜けないくらいに、足で踏み固める。
4、まわりの草などを上にかける。乾燥を防ぐのが重要!

苗木は2年目くらいのものを使用しているらしく、まだまだ「木」とも呼べないような小さくてかわいいサイズ。なので作業自体は小さなお子さんでも簡単にできそうです。
やり方を教わったら、みなさん自分の担当エリアに次々と取り掛かります。広いスペースでしたが、さすがにこれだけ人がいるとはやいはやい。あっという間に苗木が植えられていきます。

参加者の方にインタビュー

作業が一段落したところで、参加している方々にお話をうかがいました!

会場がナイタイ高原のときからなので、もう10年近く参加しています。やりたいなと思ってもなかなかこういう機会はないのでありがたいですよね。ひとりだと大変だけど、みんなとだと和気あいあい楽しみながらできますよね。年に一度、地球のためにと思って参加しています。

去年はじめて参加して、お母さんと一緒に今年も来ました。
植樹の作業はとても楽しいです。ひとりでもどんどん植えられます。

組合員理事の佐藤さんにも

帯広地区でコープさっぽろの組合員活動を担当されている、佐藤さんにもお話をうかがいました!

コープさっぽろ 組合員理事
帯広地区委員長
佐藤 智恵(さとう・ちえ)さん

理事になってからは4年目になりましたが、これまでコロナ全盛期を過ごしてきたという印象。なので久しぶりにみなさんに参加いただけてうれしいですね。
帯広地区での植樹祭にははじまりから関わっていますが、組合員活動に参加するとコープさっぽろの職員さんと仲良くなれたり、ほかの組合員さんが覚えてくれたりします。そういうのが励みになって活動してこられました。来ていただく方にもそういう思いを提供できるように、「楽しかったよ」という一言を持って帰ってもらえるように心がけています。

植樹に関しては、新得町さんにも協力してもらえてありがたい限り。植樹できる場所がなくなってしまって、こうしたイベントができないという地域も出てきている中、「ここにはまだまだできる場所があるよ」と町長は言ってくださっています。みんなで集まれる場所があると思うとありがたいですね。

植樹祭の楽しさと大事なポイント

苗木を植えたあとは、みんなで集合写真を撮って終了です!
参加して印象的だったのは、参加していたみなさんが楽しげだったこと。青空のもと、自然に囲まれて行う作業は、私たちも体験して「気持ちいい!」という感覚がありました。

一方で気になったのは、佐藤さんが話していた「植える場所がない地域もある」という話。それを聞くと、森林面積はどんどん減っているんじゃないの?と思ってしまいますよね。
たしかに日本国内に木のない土地はたくさんありますが、その多くは私有地(個人所有の土地)だと推定されています。そうなると外部の人が勝手に植えることはできません。そしてもう一つ大事なポイントが、植えた木を管理していける体制が地域にあるか?ということです。

植えられた木は数十年という歳月をかけて成木へと成長します。その過程でCO₂を吸収して蓄えていくわけですが、樹齢を重ねて老いた状態になると吸収効率が下がり、逆にCO₂の方を多く排出することになっていきます。そのため、木は植えたあとにも適切なタイミングで伐採し、木材として活用すること。そして、また新しい木々を育てるというサイクルを守ることが重要なのです。

老いた木々が立ち並ぶ手つかずの森林が、各地にあると言われています。だからこそ森づくりにおいては、植樹だけでなく「育樹」や「管理」など植えた木を手入れするのも大切なこと。レジ袋辞退で集まった「コープ未来(あした)の森づくり基金」の積立金は、植樹祭の開催だけでなく、各地域の団体に管理していただくための助成金としても役立てられているそうです。

新得町でのイベントには、地元の西十勝森林組合さんや子どもたちが多く参加していました。50年・100年先に続く森づくりに、みんなが協力しながら取り組めるつながりを北海道に広げていけたら。植樹祭に参加して私たちもそんなことを思いました。

植樹祭は来年以降も開催予定なので、ぜひお近くの地域でご家族いっしょに参加してみませんか?また、コープさっぽろでは、森づくりについて楽しく学べるイベントや施設も用意しています。以下の関連ページもぜひご覧ください!

〈関連リンク〉
▼コープさっぽろの森づくり活動
https://www.sapporo.coop/content/?id=2426
▼コープさっぽろの環境への取り組みがわかる「エコセンター」の見学
https://www.sapporo.coop/content/?id=1022
▼思いを繋げ、100年先への森づくり。コープさっぽろ「Fの森」(くらしごと)
https://kurashigoto.hokkaido.jp/report/20220809100000.php

北海道で生きることを誇りと喜びに

コープさっぽろの取り組みは、組合員さんのご利用や参加によって「北海道の暮らしを豊かにすること」につながっています。取り組みは組合員さんならどなたでも参加でき、日常を通して気軽に参加できるものもあります。コープサイクルでたくさんご紹介していきますので、ぜひその他の記事もご覧ください。

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