▼ 目次

北海道も少しずつ寒さのピークが過ぎて、春の訪れを感じ始めたこの頃。2023年度も終わりが近づき、学生さんにとっては卒業や進級を意識する時期ではないでしょうか。そんな中でこれまで過ごしてきた一年のことを、振り返る機会も増えているかもしれません。

実は私たちコープサイクル編集部はこの数カ月の間、ある高校生たちの取り組みを追いかけてきました。その舞台とは、コープさっぽろが毎年行っている「高校生チャレンジグルメコンテスト」。いったいどんな取り組みだったのか、同世代の方たちにはぜひ読んでほしい内容です!高校生たちが過ごした、挑戦と成長の記録をご覧ください!

高校生チャレンジグルメコンテストとは


〈高校生チャレンジグルメコンテストとは〉

全道各地の高校生が、地域の食材を利用したレシピを考案。地元の企業や大人たちとも協力関係を築きながらメニューを開発し、その成果をコンテスト形式で発表。一連の過程で郷土と社会の理解を深める、体験的な学びの行事です。
公式HP:https://h-challcon.org/

▼2022年に開催した模様はこちら
笑いあり涙ありの料理コンテスト!「第10回高校生チャレンジグルメコンテスト」イベントレポート

北海道内の高校生がオリジナルの料理を競い合うこのコンテスト。2013年に始まり、今回で11回目となりました。
地元の名産品などを食材として活用し、実際に販売することを想定したメニューの開発と、スライドや寸劇なども交えながら行う、メニューの魅力を伝えるプレゼンテーションで競うものとなっています。

毎年参加するたびに、料理やプレゼンのクオリティの高さに驚かされるこのイベント。今回密着したのは、このイベントの出場校…ではなく、イベントの運営に携わった札幌啓北商業高校のみなさん!その始まりは、2023年6月へとさかのぼります。

▼第11回 高校生チャレンジグルメコンテスト ライブ配信動画

札幌啓北商業の生徒たちがやってきた!

涼しい風が流れる、初夏の札幌。2023年6月、コープさっぽろの会議室にやってきたのは札幌啓北商業高校の生徒たちです。緊張した様子の面々はある想いを持ってやってきました。

「私たち、高校生チャレンジグルメコンテストの運営に挑戦したいんです!」

実は2022年にも、啓北商業の3名の生徒さんがこのイベントの運営を手伝ってくれていました。来てくれたメンバーは、その先輩たちの意思を受け継いでくれたようです。

2022年に運営をサポートしてくれた3人。

しかし、よくよく話を聞くと、前回とは少し様子が違います。

「インタビュー動画の制作と、当日の交流会の企画も行いたいんです!」

先輩たちが昨年行った内容より大きな提案に、コープさっぽろの担当者もなるほどという表情。高校生たちにそこまでの仕事を任せられるだろうか、という不安も頭をよぎります。しかし熱意のこもった提案と、みんなのまっすぐな目に、コープさっぽろも腹をくくりました。

「わかりました、一緒にやってみましょう!!」

ここからチーム啓北の7人の挑戦は始まったのです…!

チャレンジ1:インタビュー動画の制作

チーム啓北のみんなが取り組んだ1つ目のチャレンジ。それは、出場する学校へのインタビュー動画の制作でした。
イベントに対して、自分たちにできることはなにかと考えたメンバー一同。まずテーマとして決めたのが「認知度を上げる」ということでした。取り組みを始める上で「高校生チャレンジグルメコンテストを知っていますか?」と全校生徒に対してアンケートを取ったところ、約700人のうち2割ほどしか知らないという結果になったそうです。
(私たちからすると、耳の痛い話ですが…)それならたくさんの人に知ってもらうきっかけを作ろう!と、動画を制作することにしました。

イベントに出場するのは、全道各地にある11校12チーム。直接訪問はできないため、Zoomなどのオンラインツールを活用して、取材を行うことに。質問を考えてインタビューするだけでなく、電話で学校にアポイントの連絡をしたり、撮影した動画の編集を行ったりと、準備から公開までの一通りを自分たちで行っていきます。

慣れない作業に苦戦しながらもできあがった動画がこちら。12本分の大作です!

チャレンジ2:イベント当日の運営

2023年10月7日。ついにイベント当日がやってきました!これまで行ってきた企画や準備の成果が試される緊張の一日です。

受付でお出迎え

当日はまず、イベントの参加者をお迎えする受付から。元気よく当日の流れを説明したり、必要な書類をお渡ししたりしていきます。
画面越しでのインタビューは行っていましたが、直接では初めての対面。出場する生徒さんたちの緊張もほぐせるように、笑顔でお迎えします!

各校プレゼン/試食の準備

開会式が終わったら、いよいよ審査の時間がスタート。各校の生徒たちは、1組ごとに料理の準備とプレゼンテーションを行っていきます。
そんな中で、各校が登壇する前のサポートもチーム啓北の役割です。スケジュールに合わせて生徒さんを調理場に案内して、作業方法などを説明。時間制限があるため、タイムキープもしながらサポートしていきます。

また、高校生チャレンジグルメコンテストのお昼休憩では各校の開発した料理の試食が振る舞われます。実はこれを準備するのもチーム啓北!
メンバーごとに担当する高校を振り分けて、作り方やレシピを聞き取りしました。せっかく開発した料理を間違えのないように、丁寧に準備。食べた生徒さんやイベントスタッフから「おいしい」の声が聞こえると、ホッと一安心です。

交流会の企画・進行

全てのプレゼンが終わり審査を待つ間、12チームの生徒たちが混ざって交流会を行います。昨年まではイベント実行委員会が行なっていた企画と進行を、2023年はチーム啓北が担当しました。
交流会の内容は、参加校がグループに分かれて、各地域の名産などを生かした新しいレシピを考えるというもの。

チーム啓北は司会と各グループでのファシリテーションを行いながら、生徒さん同士の交流を後押し。プレゼンを終えたみんなは緊張がほどけたのか、笑い声も響く賑やかな交流会となりました。

表彰式/あいさつ

いよいよ審査結果が出揃い、表彰式に!ここでチーム啓北は、審査員に賞状やトロフィーを渡す介添えで壇上に。うれしい結果に涙を流す生徒さんの姿を間近で見ると、思わずもらい泣きしてしまいそうになります…。

コンテストはこれで終わり!というところで、司会の方からチーム啓北の紹介が。緊張の続く一日でしたが、みなさんからの労いの拍手に大きな達成感を感じる瞬間でした。

チャレンジ3:学内での発表会

イベントを無事に終えた3ヵ月後のこと。実はまだ、チーム啓北のチャレンジは続いていた!? そう聞いて私たちは、札幌啓北商業高校にやってきました。
実は今回のチャレンジは、課題探究の授業の一環として行なったもの。学内で取り組んだ内容やその成果を発表するプレゼンテーションが、最後の課題として待ち構えていたのです!体育館いっぱいに並ぶ全校生徒の前で発表とあって、これは大人でも緊張してしまいそう…。

発表用のスライドを作成し、分担しながら読み上げていくチーム啓北。なぜこの取り組みを行なったのか、成果はどうだったのかと、数カ月におよぶチャレンジを振り返っていきます。
力を合わせて、本物のビジネスさながらの発表を見事に務め上げました。

チーム啓北のみんなにインタビュー

学内でのプレゼンも含めて、全てのチャレンジを達成した一同。ホッと一安心というみんなに、最後に時間をいただいてインタビューさせてもらいました。

―――今日の学内発表お疲れさまでした! 終えてみていかがでしたか?

とっても緊張しました!点数でいうと、56点くらいですかね。
もっと簡潔にできたかなとか、スライドももっと分かりやすくできたかなとか…。

自己評価が厳しいね(笑)
僕としては100点です!みんなでやってきた成果はしっかり発揮できました。

―――今回の取り組みの中で、どんなことが大変でしたか?

クラスも別々な7人での活動だったので、連携プレーが難しかったですね。だれがなにを担当するか役割分担したり、進捗を共有したりするのが大変でした。

僕は特に動画の制作が難しかったです。インタビューはもちろん、動画編集も初めてで。パソコンが得意なメンバーがいなかったので、みんなで試行錯誤しながら進めました。

―――逆に楽しかったことや、印象に残っていることは?

本番で食べた料理がどれもおいしかったです! 特に大賞を受賞した、静内農業高校の「日高昆布香るハスカップザンギ」が印象に残っています。みんなのプレゼンを聞いて工夫を知ってから食べると、さらにおいしく感じました。ザンギが商品化されたら絶対買いたいです!

僕は霧多布高等学校の「ハマナカレー」も負けないくらいおいしいと感じました!同じくらいの年の人たちが作ったと考えたら、すごいなって。
本番ではサポートを担当したグループが、受賞が決まった後に自分のところまで報告に来てくれて、それがうれしかったです。

イベントが終わってから、大賞を取った静内農業高校にインタビューを行ったんです。
そしたら「交流会があったおかげで、他の学校の人とも話すことができた」と言ってもらえて。私たちが企画したものを、そんなふうに喜んでもらえたことがうれしかったです。

―――今回の取り組みで学んだことや、来年チャレンジする後輩たちへのアドバイスがあれば教えてください。

計画を立てるときに、自分たちのやれる範囲をきちんと見極めることが大事だと気が付きました。タイムマネジメントの部分で失敗してしまったので…。そこからは細かくスケジュールを決めながら進めていきました。
今日の発表が終わって達成感はすごくあるので、やりきってよかったなと思います。

自分のやりたいことを、妥協せずに相談してみることが大事!コープさっぽろさんとの最初の打ち合わせで、私たちは「これをやらせてほしい」という案をたくさん伝えました。
実施が難しいものもありましたけど、たくさんアイデアを伝えたからこそ自分たちのやりたいことができたと思っています。

やりがいも感じられたし、イベントを通して私は誰かをサポートする役割が好きなんだと改めて実感することができました。最後に審査結果が発表されて、自分の担当した学校が入賞したときは、すごくうれしかったです。

これまで学校外の大人と関わる機会がなかったので、たくさんの人とのやり取りが学びになりました。コープさっぽろさんや他の学校と接する中で、自分の意見をどう伝えるかなども経験することができました。

イベントは開催日(締め切り)が決まっているものです。なのにテスト期間と重なってどうしても動けないとか、予定が狂ってしまったことも。細かくスケジュールを立てる必要性を学びました。
当日は、特に交流会で参加校の方たち一人ひとりを楽しませたいという思いがあって、笑顔で接することの大切さも感じました。

みんなも話しているけど、タイムマネジメントのことが特に学びになりました。予定を守るというのは、約束を守ること。大人と連携する中で、誰かに迷惑がかからないように約束を守るという、当たり前のことの大切さを改めて実感できました。

たくさんの大人の方や、出場した学校の方など、たくさんの人たちと関わる機会になりました。そういう経験は、他にはありません。緊張するかもしれないけど、せっかくだから思い切り楽しもう!という気持ちで、後輩たちには取り組んでほしいです。

終わりに

みんなのインタビューを聞いて、今回の取り組みにずっと伴走してきたコープさっぽろの担当者さんから、こんなお話がありました。

最初の打ち合わせのとき、みんなが本気でこれをやりたいと提案してくれたので、私たちもできる限り応えようという心持ちになりました。「お手伝い」ではなく、自分たちのこととして捉えてくれたからこそ、イベントも成功できたと思います。長い期間お疲れさまでした!

はじめての経験を完璧にやり遂げることは難しくても、熱意を持って取り組めば人の心を動かすこともできる。この言葉はそんなことも感じさせてくれます。

今回チーム啓北のみんなが感じた困難や経験したことは、社会人の私たちも日々感じているようなこと。高校生のうちからそうした経験ができたことは、きっと学校を卒業してからも役立つ学びになったのではないでしょうか。

2024年以降もまた、高校生チャレンジグルメコンテストは開催を予定しています。高校生たちが挑戦できる場づくりを、私たちもずっと応援し続けていきたいと思いました!

〈関連リンク〉
▼高校生チャレンジグルメコンテスト 公式ページ
https://h-challcon.org/
▼市立札幌啓北商業高校 ホームページ
https://www.keihoku-ch.sapporo-c.ed.jp/
▼「高校生チャレンジグルメコンテスト 2023」参加校募集中!地元食材を生かして料理を開発しよう! ※現在は募集終了。2024年度は2024年7月1日募集開始を予定しています。
https://coopcycle.sapporo.coop/media/foodeducation/foodeducation_2965/

北海道で生きることを誇りと喜びに

コープさっぽろの取り組みは、組合員さんのご利用や参加によって「北海道の暮らしを豊かにすること」につながっています。取り組みは組合員さんならどなたでも参加でき、日常を通して気軽に参加できるものもあります。コープサイクルでたくさんご紹介していきますので、ぜひその他の記事もご覧ください。

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