▼ 目次

北海道中からたくさんの資源物が集まる「コープさっぽろエコセンター」。前編ではここで行われている作業のこと、そしてエコセンターの収益が子育て支援に役立てられていることを教えていただきました。その中で気になったことがひとつ!このエコセンターに集まる資源物は、キレイなものが多いのだそう。そこで後編では「どうしてキレイなものが多いのか?」「キレイにするとなにがいいのか?」といったヒミツに迫りたいと思います!
お話しをうかがうのは今回もセンター長の川崎さんです。川崎さん、どうしてエコセンターに集まる資源物はキレイなんですか?

▼1日に樹木840本分の紙が集まる!?コープさっぽろエコセンターに行ってみた〈前編〉
https://coopcycle.sapporo.coop/media/future/future_2018/
▼コープさっぽろ エコセンターの概要
https://www.sapporo.coop/content/?id=3165

どうしてエコセンターに集まる資源物はキレイなの?

こちらがセンター長の川崎さん

川崎:“このエコセンターには、コープさっぽろの店頭などで回収したペットボトルがたくさん集まります。量で言えば、1年間で106トンくらい(2022年度の実績)になりますが、そのほとんどがキレイな状態です。集まったものは石狩のリサイクル工場へと運び、ラベルとキャップを除去して、フレーク状に細かく分解。そこからまた再生ボトル工場へと運ばれて、新しいペットボトルに生まれ変わります。
店頭に持ってきてもらうペットボトルは組合員さんが中をすすいだり、ラベルとキャップを除いて持ってきてくれるのでキレイな状態になっています。そのため洗浄したり素材を分離したりする作業の手間を減らすことができているんですよ。”

川崎:“次にプラスチックについてですね。エコセンターでは、食品に使用されるトレイを回収しています。こちらは店舗のほかにトドック(宅配サービス)でも回収していて、年間で約316トンが集まっています(2022年実績、事業所の発泡スチロールも含む)。
集めたものは、まず白いものと色のついたものに分類。白いトレイは溶かして固め、容量を少なくする処理をして専門業者さんへ。それから製品の原料となる再生プラスチックになります。そこに並べてある板みたいなものが、溶かして固めたあとの状態です。”

各地から集まる食品トレイ

溶かして板状に固められたもの。触れるとまだ温かい

川崎:“色の付いたトレイはというと、そのまま再生することができません。なので、こちらは細かくくだいてペレットにして、エコセンター内のボイラー燃料として使用しています。自治体や工場ごとに持っている機械も違うため、処理の仕方なども異なると思いますが、エコセンターではこのような形になっていますね。
こちらに関しても回収前に組合員さんがキレイに洗ってくれているので、とても作業効率がよくなっているんですよ。”

トレイを細かくする機械

燃料となるペレットに

コープさっぽろの資源物回収サイクル

川崎:“エコセンターに集まってくる資源物は、主にコープさっぽろの店舗とトドックによって集められています。感謝したいのは、先ほどからお話ししているとおり多くの組合員さんがキレイな状態で出してくれることです。
キレイな資源物は、また同じ製品を作るための原料にすることができます。ペットボトルから再生ペットボトルへ…と同じ製品を作る方が効率がいいので、より環境にやさしいリサイクルができるということです。逆にひどく汚れたものは資源にできないので、焼却されることになってしまいます。
私たちは資源物の販売など、リサイクル事業で出た利益で子育て支援の取り組みを行っています。つまりみなさんのおかげで効率を高めることができ、さらにみなさんにも還元することができているということですね。”

なるほど組合員さんたちの協力のおかげで、そんなハッピーなサイクルができていたとは…!エコセンターにはキレイな資源物が集まるからこそ、よりたくさん子どもたちに還元できているということなんですね!
エコセンターでお話を聞いたことで、普段なにげなく考えていた「分別」や「キレイにすること」の大切さが理解できました。私たち自身も日頃のゴミ分別との向き合い方を見直さねば!と感じたので、ここで改めてリサイクルのポイントを整理してみたいと思います!

ステップ1:資源物とゴミを分ける!

ゴミの分別を考えると、「そんなに細かく大変!」とか「これってどうやって捨てたらいいの?」と困ってしまうこともあります。でもゴミを大きく分類すると、「資源になるゴミ」と「資源にならないゴミ」の2種類しかない!と考えることもできますよね。地域などによっても異なりますが、家庭で出るゴミの多くは再生できるゴミ。だから厳密に言えば「ゴミ」ではなく「資源」なんです。福岡県の柳川市ではそんな意識を高めてもらうために、可燃ごみの呼び方を「燃やすしかないごみ」に変更したそうです。
まずは不要になったものはすべて燃やせるゴミに!ではなく、リサイクルできるんじゃないか?燃やすしかないのか?と立ち止まって考えることから始めてみましょう。

ステップ2:資源物の分別をマスターする!

次に、ゴミを分類ごとに分けてみましょう。分類はお住まいの地域や回収方法で異なりますが、たいていは自治体のHPなどでルールが公開されています(参考:札幌市「ごみ分けガイド」)。この分類を守ることは、しっかりとリサイクルする上でとても大切。例えばペットボトルの袋に大きなプラスチックが混ざっていると、まとめて可燃ごみに回されてしまうという場合もあるそうです。
キャップを付けたままペットボトルを出すと、回収車で圧縮したときに破裂して危険!ということもあるそうなので、まずは「きちんと分けて出す」を心がけてみましょう。

ちなみに…「ペットボトルの口にある取れないプラスチックはそのままでいいの?」と思ったことはありませんか?実はこのような細かい異物は、工場でペットボトルを粉砕したあとで取り除くことができるようです。完璧にしよう!と一つ一つ考え出すと辛くなってしまいますが、基本的には「決められたルールどおりに出す」が最も適切な分別方法なのです。

ステップ3:資源ゴミはキレイにして回収してもらう!

分別ができたら、最後に資源物を「再生しやすい状態に変える」ひと手間を加えてみましょう。たとえば「ペットボトルは中身を出して水ですすぐ」「トレイや紙パックは固形物が残らない程度に洗う」などもその一つです。
このひと手間を加えると、資源物のリサイクル率が高まります。ゴミの回収やその後の仕分けは多くが人の手で行われているので、その負担を減らせるということです。どんな捨て方がいいのか?というのは地域などで決められたルールがあるので、いちどチェックしてみましょう!ここまでできたら、あなたもリサイクルマスター!?

ステップ4:コープさっぽろの回収に出す!

最後に、キレイにした資源物をコープさっぽろの回収に出してみましょう。エコセンターでは利益を子育て支援に還元しているので、キレイな資源物を出すほど自分たちにいいことが返ってくるということでもあります。
例えばコープさっぽろの店頭では「ペットボトル回収機」が設置されているので、お買いもののついでに出すことができます。また宅配サービスのトドックではダンボール・新聞紙・紙パック・食品トレイ・古着など様々な資源物を回収しています。こちらは宅配日に配達員さんにお渡しするだけなので、とっても便利!ぜひそれぞれ利用してみてくださいね。
ちなみにペットボトル回収機はこんな感じで利用ができます!

機械で圧縮されてぺちゃんこに

そもそも分別ってなんで必要なの?

ここまで資源ゴミのことをお話ししてきましたが、そもそもなんで分別って必要なの?って思う方もいますよね。
軽くて、丈夫で、自由に形が作れる。便利だからこそ年々使用が増えているプラスチックやペットボトルは、実は環境汚染の大きな問題の一つでもあります。適切に捨てられなかったものが海に流れ込んで生物の生態系を脅かしたり、2050年には海の生き物よりゴミの方が多くなってしまう、とも言われているんですよ。じゃあどんどん燃やしてしまえばいいのか?と言えば、そうでもありません。ゴミを燃やせばCO2排出が増えて、地球温暖化などにつながってしまいます。
資源物を適切にリサイクルできれば、ペットボトルやプラスチックは再生利用することもできます。まずは私たちが「ゴミ」ではなく「資源」なのだと意識を持つこと。そして、使う量を減らしていくことが大切なのです。

エコステーションは見学も可能です!

今回たくさんの学びを得られた「コープさっぽろエコステーション」、実は一般の方の見学も可能な施設です!同じエリアにリユース・リサイクルの仕組みが学べる「トドックエコステーション」、五感で植樹や森づくりの大切さを学べる「あすもり資料室」も併設しているので、夏休みの自由研究や学校での社会科見学などにもおすすめですよ!
またコープさっぽろでは「海のクリーンアップ大作戦」という海の清掃イベントも行っています。実際に北海道の海の現状を見ながら、ゴミのことに理解を深めるきっかけにもなるはずなので、こちらもぜひチェックを。

普段深く考えることのない「ゴミ」のこと。その先を追いかけていくと、私たちの生活へとつながっていることが分かりました。自分たちの住みやすい生活に返ってくると思って、「資源を適切に分別する」小さな一手間を、私も続けていきたいと思います!

〈関連リンク〉
▼1日に樹木840本分の紙が集まる!?コープさっぽろエコセンターに行ってみた〈前編〉
https://coopcycle.sapporo.coop/media/future/future_2018/
▼コープさっぽろエコセンターの概要
https://www.sapporo.coop/content/?id=3165
▼コープさっぽろエコセンターの見学
https://www.sapporo.coop/content/?id=1022
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