みなさんは自分が育った地域でどんな作物が育っているか、どんな企業があるかを知っていますか?地域を知るきっかけとして、農業体験ができるファームステイや、フードツーリズムに参加するなど、その地域ならではの食事や食文化を楽しむ機会が増えています。
同じように地域を知るきっかけをつくろうと、今年で12年目を迎えた、高校生が地元食材を使ってグルメを開発し競い合う、「高校生チャレンジグルメコンテスト」というコンテストがあります。
高校生チャレンジグルメコンテストとは?
高校生チャレンジグルメコンテストは、全道各地の高校生が地元食材を生かしたオリジナル商品を、地元企業や飲食店などと協力して開発し、その成果を発表して競い合うコンテストです。
おいしさだけでなく、地域の特色や食材、食文化やその町を支える地元産業など、さまざまな視点から地元を学び、その町らしいグルメ開発をします。
さらに、原価計算なども見られるという本格的な審査内容。コープさっぽろはこのイベントを実行委員会として協力し、審査員である北海道の食品会社やシェフ、大学教授、コープさっぽろ商品本部デリカ部部長などと一緒に、高校生の戦いを応援しています。
今年は過去最多の19校36チームからの応募があり、見事本選に進むことができたのは11チーム。
今回は本選出場が決まった後にインタビューさせていただいた、帯広農業高校「帯農リベンジャーズ」のみなさんへのインタビューや、本選当日の様子などお伝えします!
〈関連リンク〉
▼高校生チャレンジグルメコンテスト公式サイト
https://h-challcon.org/
本選に出場する、帯広農業高校「帯農リベンジャーズ」にインタビュー
今年卒業した先輩が高校生チャレンジグルメコンテストに参加し、本選出場するも、入賞はできなかった。そんな先輩たちの悔しい思いを引き継いだ、現在高校2年生のチーム、帯広農業高校「帯農リベンジャーズ」にインタビューしました。
―――出場しようと思ったきっかけはなんですか?
学校の授業で私たちが所属する研究班では、超強力小麦「ゆめちから」の研究をしています。同じように昨年まで3年かけてゆめちからの研究・開発をしていた先輩たちがこのコンテストに参加し、入賞できなかったということを聞きました。そこで、先輩たちのリベンジをしようと思い、出場を決めました。
―――今回のコンテストの作品はどのように開発されましたか?
昨年先輩たちは、「ゆめちから」の食パンを使用した「あんかぼサンド」というサンドイッチで高校生チャレンジグルメコンテストに出場しました。昨年の高校生チャレンジグルメコンテストの後、先輩たちの思いが詰まったこの作品をブラッシュアップしてもう一度挑戦したいと思い、先輩たちと一緒に、地元で100%十勝産の小麦を使っているパン屋「満寿屋商店・麦音」さんに相談に行きました。大会への思いを伝えると、「一緒に考えよう」とおっしゃっていただいて、その中で、時間の経過とともに硬くなってしまう食パンではなく、時間が経ってももっちり食感のベーグルで商品開発をしていきました。
(中央)協力してくれた麦音・天方さん。
―――今回のコンテストに提出された作品のこだわりは何ですか?
一番は食パンをベーグルに変えたこと。そして、中に入れたカボチャはスライスではなくペーストに変更しました。さつまいもも餡にする意見もでましたが、食感の違いを出すためにオーブンで焼いてスライスにして加えることにしました。前回も同じ食材を使っていますが、加工方法を変えることで、より十勝産食材のおいしさを感じられるように工夫しています。
―――作品をつくるにあたって、特に大変だったことは何ですか?
普段から学校の授業などで食品の調理や加工をしているわけではなく、食材の生産について勉強しています。そのため、調理や加工の知識はないので過去のレシピを参考にしたり、イチから調べたりしながら調理をするのがとても大変でした。
カボチャの加工中。
―――今年も本選出場が決まりましたね!意気込みを教えてください。
先輩たちの悔しい思いを引き継ぎ、優勝してもっと多くの人にと十勝産小麦の魅力を届けたいです!
本選出場に向けて、昨年よりもさらに地元企業や生産者さんとのコミュニケーションをはかりブラッシュアップされた様子を教えてくださりました。帯広農業高校「帯農リベンジャーズ」のみなさんありがとうございました。
ドキドキの「高校生チャレンジグルメコンテスト」本選当日
本選前に帯農リベンジャーズのみなさんの意気込みを聞いていた編集部スタッフも、その思いを見守る形で取材に参加した高校生チャレンジグルメコンテスト。本選当日の様子をお伝えします!
〈高校生チャレンジグルメコンテスト2024年開催概要〉
▼日時:2024年10月5日(土) 9:30~16:00
▼場所:TKPガーデンシティPREMIUM札幌大通〈関連リンク〉
▼第12回 高校生チャレンジグルメコンテスト当日のLIVE映像はこちら
https://www.youtube.com/live/uWuGikPs7ms?si=kGV_yLXkj55U6MCm
各校のプレゼン
緊張感が伝わってくる中、開会式が終わり11校のプレゼンが始まります。
各校の生徒たちは、1組ごとにプレゼンテーションを行っていきます。用意してきた資料や視覚提示を使い、作品の魅力をプレゼンをしていました。
今回出場していた学校と作品名は
- 北海道夕張高等学校「めろんくれーぷ」
- 北海道芽室高等学校「モナコーンミニ」
- 北海道静内農業高等学校「僕、ポーク。昆布とハチミツと一緒に美味しく煮込まれました。」
- 北海道石狩翔陽高等学校「ニシ狩玄米スコップコロッケ」
- 北海道池田高等学校「白樺ジュエリー(琥珀糖)」
- 北海道登別明日中等教育学校「かなぼう餃子」
- 北海道北見綠陵高等学校「白花豆のモンブラン」
- 北海道遠別農業高等学校「羊肉まん」
- 北海道網走桂陽高等学校「かまっ天ちゃん」
- 北海道上士幌高等学校「魅力ぎゅうぎゅう!上士幌クッキーBOX」
- 北海道帯広農業高等学校「あんかぼベーグル」
※順不同
でした。
▼各出場校の作品一覧はこちら
https://h-challcon.org/2024/08/19/528/
プレゼン前の審査員への配膳も高校生で行います。
魅力的に見えるデザインなども作品審査の対象です。
「地元の事を調べると、冷凍すり身の発祥の地だった」「近年の猛暑により、豚が食べるためのエサの発育が悪く、エサ代が高くなってしまったことで豚自体の価格も上がってしまった」など、各校それぞれが高校生チャレンジグルメコンテストを通して地元の課題や魅力を知ることができた様子。それだけでなく、「レシピを考えるためにチャットGPTを活用し、実際にそのレシピで作ってみたら、うまくいきませんでした」というような、調べて知ったことを実際に形にする難しさを感じるなど、各校の苦労や学びがたくさん伝わってくるプレゼンでした!
休憩・試食
全校のプレゼンが終わると、ほっとした表情もチラホラ。休憩時間では他校の生徒さんがつくった作品を試食することができます!
各校の思いが詰まった料理がワンプレートに。
他校の生徒さんのプレゼンを聞き、「あの高校の気になっていたから食べよう!」と話をしながら選んでいましたよ。
高校生交流会
高校生チャレンジグルメコンテストは一生懸命考えた地元グルメの発表の場でもありますが、同じように取り組んできた他校のみなさんと交流できる場でもあります。審査発表前の少し緊張した表情が見える中、「まんまカルタ」という食について学べるカルタで交流していました!
みんなで楽しくカルタ交流。
表彰式
いよいよ、表彰式。今回は前回の表彰内容に「ISHIYAグループ賞」が追加された全部で7つの賞でしたが、当日の審査員の話し合いでさらに、「審査員特別賞」が追加となり全部で8つの賞での表彰となりました。
今年の受賞校は…
わがまち発信賞 北海道北見緑陵高等学校「白花豆のモンブラン」
味の匠賞 北海道石狩翔陽高等学校「ニシ狩玄米スコップコロッケ」
ISHIYAグループ賞 北海道夕張高等学校「めろんくれーぷ」
HTB賞 北海道静内農業高等学校「僕、ポーク。昆布とハチミツと一緒に美味しく煮込まれました。」
コープさっぽろ賞 北海道帯広農業高校「あんかぼベーグル」
審査員特別賞 北海道上士幌高等学校「魅力ぎゅうぎゅう!上士幌クッキーBOX」
チャレンジグルメ準大賞 北海道登別明日中等教育学校「かなぼう餃子」
チャレンジグルメ大賞(北海道知事賞) 北海道静内農業高等学校「僕、ポーク。昆布とハチミツと一緒に美味しく煮込まれました。」
今年のチャレンジグルメ大賞(北海道知事賞)を受賞した北海道静内農業高等学校のみなさんは、なんと3連覇。北海道で一番消費量の高いお肉である豚肉に着目し、地元産のブランド豚「健酵豚」のPRをしました。
審査員からは「プレゼン資料がとてもわかりやすかった」「そのまま商品にできるほど、パッケージデザインが優れている」などの声があがるほどの完成度でした!
大会を通して
1つの商品をつくりあげるということは簡単なことではありません。さらに地域の課題や魅力を見つけて商品の中で紹介するというとても高度な取り組みをしてきた高校生チャレンジグルメコンテストに参加したみなさん。どの高校も完成度が高く、審査員からは審査も難しくなっているという話も。
事前インタビューさせていただいた帯広農業高校「帯農リベンジャーズ」のみなさんは、今回コープさっぽろ賞を受賞し、入賞を聞いてホッとした様子。昨年高校生チャレンジグルメコンテストに出場していた先輩が後輩の様子を見に会場に来ていたため、さっそく報告する姿も。「コープさっぽろ賞をとると、コープさっぽろのお店で販売してもらうことができ、たくさんの人に十勝産小麦のおいしさを届けられるのが嬉しい」「帯広に帰ってからは、協力してくださった『満寿屋・麦音』の方々に大会の結果を報告するのが楽しみ」と教えてくれました。
コープさっぽろ賞を受賞した帯広農業高校の「あんかぼベーグル」は、さらに磨きをかけて、コープさっぽろの商品としてコープさっぽろ63店舗で販売される予定です。販売されるのも楽しみにしています♪※販売店舗数は変更になる場合がございます。
帯広農業高校「帯農リベンジャーズ」のみなさん
高校生チャレンジグルメコンテストを始めた、西野功泰さんにインタビュー
高校教師をされていた時に高校生チャレンジグルメコンテストを始められた、現在大会の副会長も務める、札幌市教育委員会の西野功泰さんにインタビューしました。
西野功泰(にしの・よしやす)さん
―――高校生チャレンジグルメコンテストをつくったきっかけは何ですか?
当時教師として生徒と一緒に、札幌・大通で開催されている食の祭典「オータムフェスト」ではちみつの販売などを行っていました。その隣のテントで江別高校の生徒が「えべつちゃんぽん」を販売しており、加工品とは違い、その場でお客様に食べてもらっていたため、お客様からの反応がすぐに返ってきていました。一見同じ販売実習でも、加工品販売とその場でお客様の反応がわかる料理販売では、得られる学びもお客様との触れ合いもより深いものになると、生徒と一緒に実感しました。そこから、「北海道で食の甲子園を開催すること」を目指し、同じ志をもつ教師と一緒に活動を始めたのがきっかけです。
―――高校生チャレンジグルメコンテストは高校生たちにとってどんな機会となりますか?
教師をやっていた中で、生徒に「本物の体験」をしてもらいたいと考えていました。学校内での学びだけでなく、よりリアルに近い体験をしたことで「自分がどんなことを感じたか」ということを大切にしてもらいたいと思っています。私自身も教師しかやってきていない中で、教えられえることは限られていました。高校生チャレンジグルメコンテストは、生産者さんに会って食材の話を聞いたり、地元で飲食店をやっている方に調理方法を聞いたり、実際に日々向き合われている人から学ぶことができる機会が得られ、社会につながる1歩を知ることができると考えています。
―――高校生チャレンジグルメコンテストの魅力はどんなところですか?
この活動をするにあって、地域による機会の格差を無くしたいと思っておりました。北海道は各市町村への移動距離も長いため、生徒たちにとって良い機会となりそうなコンテストがあっても、移動費や滞在費などもかかります。そのため、地方の高校生が参加できないということを目の当たりにしてきました。高校生チャレンジグルメコンテストはさまざまな企業の方に協力してもらって、商品開発のための開発費や本選出場にかかる旅費交通費を学校で負担する必要がないというのも魅力だと考えています。コープさっぽろさんが運営に入ってくださるようになってからはコープさっぽろさんの信頼を通して、協力企業や参加校が増加し、広報や運営などのさまざまな面でも高校生がチャレンジしやすい環境になっていると感じます。
高校生チャレンジグルメコンテストの取材を終えて
インタビューさせていただいた西野さんからは、「各地域が、学校を中心に協力・連携関係を結ぶ。そして、コンテストを通じて交わり、これまでになかった地域同士のつながりや学び合い、「学校の価値」や「北海道の価値」の高まりを期待できる」というお話がありました。
まさに、高校生の熱い思いがたくさんの地域の大人たちをも熱い気持ちにさせ、地域一丸となって盛り上がり、地域の新たな価値を創造するコンテストだと感じました。先輩の思いを引き継いでの挑戦や、先生やチームのメンバーとの絆ができるなど、高校3年間の限られた時間の中で学校内だけではない活動でできた経験は、今後のみなさんにとってたいせつな社会経験のひとつになると感じました。編集部スタッフの私もみなさんのチャレンジに、胸が熱くなりました。
参加された高校生のみなさん、本当にお疲れさまでした!
〈関連リンク〉
▼笑いあり涙ありの料理コンテスト!「第10回高校生チャレンジグルメコンテスト」イベントレポート
https://coopcycle.sapporo.coop/media/foodeducation/foodeducation_940/
▼「 高校生チャレンジグルメコンテスト 2023 」参加校募集中!地元食材を生かして料理を開発しよう!※現在は募集終了。
https://coopcycle.sapporo.coop/media/foodeducation/foodeducation_2965/
▼「高校生チャレンジグルメコンテスト」の裏にあった、札幌啓北商業高校の熱いチャレンジ!
https://coopcycle.sapporo.coop/media/foodeducation/foodeducation_5853/
北海道で生きることを、誇りと喜びに
コープさっぽろの取り組みは、組合員さんのご利用や参加によって「北海道の暮らしを豊かにすること」につながっています。取り組みは組合員さんならどなたでも参加でき、日常を通して気軽に参加できるものもあります。コープサイクルでたくさんご紹介していきますので、ぜひその他の記事もご覧ください。