
村上巧さん
サーフショップTACOO代表 サーファー
村上巧さん
サーフショップTACOO代表 サーファー
オーストラリア在住7年半、
その後2008年に厚真町に移住。
NO SURF NO LIFEをモットーに
次世代の育成にも努める。

松岡将文さん
コープさっぽろ「海のクリーンアップ大作戦!」担当
松岡将文さん
コープさっぽろ「海のクリーンアップ大作戦!」担当
全道46カ所の海岸でごみを拾う
「海のクリーンアップ大作戦」。
職員や組合員さんをはじめ
企業や学校、各自治体のご協力で
2024年は参加者1万人を超えた。
ビーチクリーンは自分のお部屋掃除みたいなものなんです。

こんにちは。サーフショップtacoo(タクー)代表の村上です。

コープさっぽろ「海のクリーンアップ大作戦!」の担当をしています。今日はよろしくお願いします。村上さんはどうしてこの厚真町に移住されたんですか?

厚真町に来る前は、オーストラリアのポートダグラスっていう所に長年住んでいまして、年齢的にもいい年になり、家族にもいろいろと変化があったので、日本に戻ってきました。もともと北海道の出身で北海道っていう場所が好きでした。そして北海道でサーフィンとかスキューバダイビングに関わる仕事を始めたのですが、最終的にサーフィンを生業として生きていこうと決心しました。そこで拠点を探していたところ、いろんな条件面で厚真町が一番よかったんです。そしてもうフィーリングでここに決めました。

実際に厚真町に来てどうでしたか?

厚真町はフレンドリーな方が多くて波もご覧のとおりすごく良くて、いい場所に来たなと思っています。

「海のクリーンアップ大作戦!」の活動は2021年にスタートしましたが、1年目から主に大会場の運営の責任者をさせてもらっています。初めて担当した時は2,000人ぐらいの参加者がいらっしゃったので、ごみや海に集中することができなくて2,000人の方々を誘導するのがまあ大変だったこと。そんな思い出があります。

僕らもサーファーに声をかけて、ビーチクリーンをやっています。月に1回、6月から10月まで毎週第2日曜日にみんなで集まってやっています。ここはサーファーが出すごみというよりは、漂流ごみというか、漁具が結構多く、もちろんプラスチックごみも多いですね。一回、このあたりの流木とかも一掃するために重機でやった年があって、それ以降は大きいごみはそんなにないような感じですけど1カ月経つとそれなりにごみが見受けられて漁具は大型なので大変です。コストもすごくかかるので、厚真町に負担していただいています。あと水質検査もさせていただいています。

やっぱりごみがあるとサーフィンに支障があるんですか?

ごみやペットボトルなどが浮いていると気持ちよくサーフィンできないですね。僕は毎日ほとんどサーフィンをするためにこの海岸に来ているので、もはや自分の部屋みたいな感覚ですよね。だから月1回のビーチクリーンはお部屋掃除みたいなものです。

それ、とても分かりやすいです。

そんな感覚でビーチクリーンをやらせていただいているので「今日はちょっと掃除しようか」みたいな感じでやっています。
一度でも自分でごみ拾うと、ごみを捨てなくなりますよね。

それにしても厚真町の海岸ってキレイですよね。

そうですね。動植物もいっぱい生息しています。

それだけキレイということですよね。波もいいんでしょ?

トレーニングできるぐらいの波は常にありますね。遠方から来るサーファーにもビーチクリーンには協力してもらっています。自分で一度ごみ拾うと、ごみを残さないようになりますよね。

一人でやるのは大変ですけど、仲間でやるのはいいですよね。

自分たちが使っているビーチはキレイにしたいですよね。特に長年サーフィンをされている方々はその辺の意識はとても高いので、キレイに使ってくれています。

自分たちの手でキレイにするって、いいですよね。

どこかに頼むとやっぱりコストもかかっちゃいますしね。
海の次は川。川の次は山。山の次は北海道ぜんぶ。

サーフィンをお仕事にされている中で、課題って何かありますか。

次世代サーファーの育成っていうのを今、一生懸命取り組んでいます。地元の小さい大会もどんどん盛り上げていって、千葉や湘南の選手と渡り合えるようなレベルにどんどん上げていきたいなって思っているからです。

いずれこの厚真から世界的な選手が出てきたらうれしいですね。

そうですね。うまくなるためには、お手本になる人が必要なんです。今頑張ってやっている子どもたちが将来プロになって、その姿を見て、次の世代が育っていくのが理想です。あと数年かかると思いますけど、そういうところまでくるといいのかなって思っています。

「海のクリーンアップ大作戦!」に関する僕の課題は2021年に2,800人からスタートして、2024年は1万1000人まで増えましたけど、北海道の人口からするとまだまだ少ない。だから参加してくれる方をもっと増やしていかなければと思っています。この先、海洋プラスチックの量がさらに増えていくと言われているので、少しでも歯止めになるようにしたいです。例えば海に限らず、すでにクリーンアップを始めましたが川もそうですし、山もそうです。北海道全体をキレイにするという大きい目標を掲げなければいけない。簡単にはいかないでしょうが、北海道の皆さんと一緒に協力しあってできればいいんだろうなと思っています。

ビーチに限らず、道路にもごみは落ちていますよね。何とかしたいなってつくづく思います。

そのきっかけがビーチクリーンになってくれたらと思います。

一度ごみ拾いの経験をすると、意識はきっと変わるんじゃないでしょうか。
健康のためにもビーチクリーン活動はいいですよね。

未来に向かって思い描いているアイデアってありますか。

そうですね。サーフィンってすごくカラダにいいので若い世代にどんどん広めていきたいんですけど、実は2024年で4シーズン目になりましたが、この地区だと上厚真小学校と役場の近く中央小学校でサーフィンの授業をやっています。4年生が対象なんですけど、毎年7月と8月、体育授業の一環でサーフィンをみんなで教えているんです。

へぇー、そうですか。

そこから「サーフィンやりたい!」っていう子どもたちも何人か出てきています。毎年4年生になったらこの授業を受けるので、このあたりに住む子たちは1回はサーフィンしたことがあるということになります。

それは、いいですね。

授業でサーフィンをやるってなかなかないでしょ。しかも北海道で。

聞いたことないですね。スキーとかスケートはありますけどね。

子どもたちにとっても自慢になるかなって思っています。

なりますね、確かに。

海に来て、裸足で歩くだけでも、気持ちいいんですよ。

確かに。そうやってビーチを歩くとごみも気になるはずです。そこからごみを拾うことにもつながるかもしれないですね。

まずは海に来る機会を増やすことがビーチクリーンにつながってくのかなという気はしますけど。

確かに。「海のクリーンアップ大作戦!」に参加される方は年々増えていますけど、年齢も広範囲で、小さい子どもから高齢の方もいらっしゃいます。高齢の方だと自分で車を運転して一人で参加するのも大変なので、私たちは無料のバスもご用意していますが、「そうか、送迎があるんだったら、じゃ、行くわ」と来ていただけるんです。80代の方とか普段歩くのも大変な方が、海に来た時には頑張って歩いてごみ拾いをしていただいているので「海のクリーンアップ大作戦!」は「健康」につながるとアピールできるかもしれませんね。

そうですね。ビーチクリーンやると、きっと海岸を1キロぐらい歩きますからね。ごみを拾いながら歩く。ウオーキングをする機会にもなる。砂浜は膝に優しいし気持ちいい。そういう意味で、いろんな方に参加いただいたらいいのかなっていう感じがします。

お友達と話ながらだと、結構な距離を歩けたりしますよね。

みんなで協力しあってやるっていうのが楽しいですし。

海もきれいになって体もリフレッシュされる。

いろんな方にも出会えますし。

そうですね。

楽しいんじゃないかなと思います。はい。
海岸掃除をした後に、サーフィン体験なんてどうでしょう?

ここ浜厚真は2024年に初めて「海のクリーンアップ大作戦!」をやった会場ですけど、これから村上さんたちサーファーと私たちコープさっぽろで何か協力しあえることとかってありますか?

そうですね。岸の近くだと比較的波のパワーも落ちるので、そういった波に乗るサーフィン体験なんてどうでしょう?希望者がいれば僕らのサーファーの仲間で協力できるかなとは思うんですけど。

いいですね、それ。海岸を清掃してキレイになったその後にサーフィン体験するって。「海のクリーンアップ大作戦!+サーフィン教室」というセットでね。すごくいいですね、それ。

海をきれいにして、海を楽しんで、健康にもつながる。ぜひぜひ、実現させましょう。
「海のクリーンアップ大作戦!」は、食にもつながっていく。

未来に向かって何か考えていることとかってありますか。

ありがたいことに、ここ浜厚真はサーフィンという点ではベストな環境だと思っています。とはいえ、海というのは、海流や人工物などで海の状態が結構変わるんです。普段ずっとサーフィンができていたにもかかわらず、波がなくなってしまったサーフポイントも数多くあります。それは自然の力なので仕方がないのですが、この環境をできるだけ僕らで維持して、次の世代の子どもたちが大きくなっても、ここ浜真でずっとサーフィンできればいいなあと願っています。展望的なことはいくつかありますが、人間のできることなんてそんなにないので、まずはこの浜のクリーンアップを続けて、この環境をみんなで大事に守っていくことがやっぱり必要だと思います。

そうですよね、大事ですよね。確かに。僕も「海のクリーンアップ大作戦!」を通じて、ごみをなくすという意識を持った人たちの輪がこの先ますます広がって、最終的には北海道の人たちみんなに参加していただけることを望んでいます。最近は地球温暖化や環境汚染がより深刻な問題になっています。今まで採れなかった魚が採れたり、逆に今まで採れた魚が採れなくなってきたりとか、ごみ問題も根深いところで影響しているかと思います。食の宝庫でもある北海道のためにもみんなで知恵を出し合って、まずは自分たちができることから始める。足元のごみを拾うというのもそのひとつ。大事なことだと思っています。ひいてはそれが最終的に北海道の食のインフラにもつながっていくのかなと思います。コープさっぽろは特に食を大事にしています。「人と食をつなぐ」という使命がありますので「海のクリーンアップ大作戦」は結果的には食につながっていくのかなって思っています。

そうですね。この先地球がどんなふうになっていくのかなんて予測もつかないですけど、自然が相手のサーフィンというスポーツをやっているので、まずは身近な所から自然を大切にするというのが大事ですよね。

拾うのも大事ですけど、そもそも出さないのが肝心ですね。将来の若い人たちに対してメッセージはありますか?

サーフィンって、海に入っているみんなと波を共有しあって楽しむことが大事なんですね。そういうお互いを思う気持ちっていうのが海に限らず今の世の中では必要じゃないかと思います。次世代のサーファーにはその気持ちを忘れずに大きく育ってくれたらなと思っています。松岡さんはどうですか?

そうですね。「海のクリーンアップ大作戦!」は、小学生から大学生まで、ボランティアの一環としていろんな所から参加してくれて、そこからいろんな輪が生まれています。そんな彼らを見て、こういう機会を提供するのはコープさっぽろとしてとても大事なことだと感じています。これからも「海のクリーンアップ大作戦」だけではなく、コープさっぽろはそういう場を提供して、みんながコミュニケーションを取りながら、互いに思いやりの気持ちを持てる若者がこれからどんどん社会に出てきてほしいなあと、僕は思います。