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2022.11.30

「コープさっぽろ農業賞交流会」レポート。生産者さんの情熱に思わず感動!

▼ 目次

2022年11月11日、金曜日。
肌に感じる風も冷たくなり、冬の訪れを感じ始めたころ、私たちは札幌パークホテルに行ってきました!なぜかといいますと、こちらで当日「コープさっぽろ農業賞交流会」が開催されたからなのです!

コープさっぽろ農業賞とは

 

「コープさっぽろ農業賞」は、ささやかでも北海道の元気の一助になればと日本で初めて消費者サイドから農業生産者を応援する企画として北海道、札幌市、ホクレン、北海道ぎょれん、北海道生協連、各団体の協力を得て2004年にスタートしました。
※コープさっぽろ農業賞  https://www.sapporo.coop/corporate/content/?id=30

”消費者の目線で優れた第一次産業の生産者を応援する”というコンセプトで2004年に創設されたコープさっぽろ農業賞。野菜や食肉、卵などの生産者さんを対象に、新たな食の価値づくりや循環型農業など、多くの人に知ってほしい取り組みをされている方や団体を表彰してきました。
2021年の第11回ではあすなろファーミング(清水町)、Ambitious Farm(アンビシャスファーム/江別市)、Agricola(アグリコラ/当別町)などが受賞。そんな農業賞の報告会&交流会ということで歴代受賞者の方々が一堂に介し、取り組みなどの報告と交流を行う場が、定期的に開催されているのです。

農業賞報告会(鶴沼ワイナリー・大野ファームの講演など)

会場である3階のパークホールへと向かい、受け付けを済ませると、中にはたくさんの人が。歴代の受賞者以外にも行政や学校関係の方、食の専門家、コープさっぽろ組合員など様々な人が招待され、集まっているようです。
ホテルのホールだけあって、会場は厳かな雰囲気に包まれています。

 

時計の針が16時を指し、定刻通りに報告会はスタートしました。司会の方が手にしているのは『挑む農業』という冊子。農業賞受賞者の取り組みや事例を取材してまとめたもので、当日の参加者には1部ずつ配布されました。
今回の報告会で登壇する2名は、この中で紹介されている生産者さんなのです。

 

▼『挑む農業』についての詳細はこちら。
https://www.sapporo.coop/corporate/content/?id=798

「ワイン造りは農業なり」鶴沼ワイナリー

 〈鶴沼ワイナリー〉
浦臼町に所在する、北海道ワイン株式会社の直営農場のひとつ。直営農場はそのほか後志ヴィンヤード(仁木町)、能登ヴィンヤード(石川県)があり、北海道ワインは製品・原料ともに国内トップの量を生産している。設立当時より「国産の生ブドウだけを使用」「非加熱醸造(生ワイン)」「農家の仕入れ値を下げない」という3つの信念を掲げている。第4回コープさっぽろ農業賞「農業奨励賞」を受賞。
※【第4回】農業大賞(2007年) https://www.sapporo.coop/corporate/content/?id=262

 

〈鶴沼ワイナリー農場長 齋藤浩司さん〉
私たちは浦臼町で1972年にブドウ栽培を開始し、1974年に北海道ワイン株式会社を設立しました。創業当時は土作りから始めるという状況。土をならし、杭を打って、西ドイツから購入した苗木を植えていきました。木を植えても、実がなるまでには3年ほどの月日がかかります。その間は売上がないのでスイカやカボチャなどを育てて、当面の資金稼ぎとしました。
時を経て、現在は北海道に50件以上のワイナリー・ヴィンヤードがあります。最も早く製造を始めた「十勝ワイン」でも創業は1963年。世界と比べると北海道産ワインの歴史は浅く、だからこそ新しい産地として注目を集めています。
今、私たちはさまざまな課題に直面しています。人材の高齢化や担い手不足。エゾシカやクマなどの動物による被害。気候変動やそれに伴う病害虫の発生。その対策としてブドウの運搬を無人車両で行うICT化や、土壌解析などの取り組みを始めています。「こんな天候じゃなかったのに」という想いは、ブドウの樹たちも感じているはずです。ブドウの樹はなにをして欲しいのか?と考えて考えて、作業し続ける。そうして得られた経験と先輩たちから預かった土地を、後輩たちに受け渡していけたらと考えています。
北海道という地域にブドウ作りと、北海道の魚介類・農産品と一緒にワインを飲むという文化を根付かせたい。見返せば1ページにもならない、たった1行の存在かも知れませんが、愚直に北海道産ワインの歴史をつないでいきたいと思っています。

 

「循環型農業への想い」大野ファーム

〈大野ファーム〉
1986年設立。芽室町で畑作と畜産の兼業農業を行う。和牛交雑種「未来めむろうし」、乳牛「みらい牛」などのブランド商品を道内外へ販売するほか、独自の循環型農業システムを確立。近年は農場敷地内に「COWCOW Village」というレストランカフェを開設し、農業の6次産業化にも取り組んでいる。第5回コープさっぽろ農業賞「農業特別賞」を受賞。
※【第5回】農業大賞(2008年) https://www.sapporo.coop/corporate/content/?id=264

 

〈大野ファーム代表 大野泰裕さん〉
大野ファームでは畑作と畜産を兼業で行っていますが、そこには「循環型農業」という軸があります。家畜から出る堆肥でいい土壌を育み、その土壌から作物や牛の飼料となる牧草を育てる。今では当たり前と思われるかも知れませんが、「農のリサイクル」という考え方でこれまで取り組んできました。こうした循環型の取り組みは、はじめから行っていたわけではありません。
ひとつ目の転機は、1991年に始まった牛肉の輸入自由化。海外から安価な牛肉が続々と入ってくるようになります。そこから北海道の多くの兼業系農家は畜産を廃業し、畑作専門の農業に。もしくは安い牛肉に対抗できるよう、大規模に畜産を行うかのどちらかでした。大野ファームではそのときに、大規模化の道を選ぶことになりました。
もう一つの転機は2000年代前半に話題となったBSE(狂牛病)の問題です。そこで多くの量を生産することから、安心でウソのないものを生産しようという考え方のシフトがありました。そうして現在にもつながる、大規模型から循環型への切り替えを行ったのです。
牛肉を食べて、おいしいと思うのは当たり前。いかにおいしいものを安全安心に提供できるかと、様々なことに取り組みました。抗生物質フリー・NON-GMO(遺伝子組み換え)飼料・生産履歴の記録・再生可能エネルギーの使用・カーボンニュートラルなど本当に様々です。どれも「本当にできるのか?」と壁にぶつかってきましたが、諦めずに続けたことで道が開け、今につながっています。
世界的に牛肉は不足しており、全体に大規模化の傾向があります。日本のイメージは「安心安全」ですから、私たちはそこを守り続けていきたい。うちで作った牛肉はレストランで食べることができます。ぜひ牧場の近くに来られた際には、味わってもらえたら嬉しく思います。

 

それぞれ20分ほどの講演だったのですが、充実の内容。これまでの経緯をはじめ、どのような姿勢で向き合っているかという信念まで知ることができました。
農業賞を受賞するほど先進的な取り組みをされている両社ですが、さまざまな試行錯誤を経て現在の姿があるんですね!

 

トークセッション(小樽商科大学×鶴沼ワイナリー・大野ファーム)

続いて先ほど講演された2名と『挑む農業』の編集に携わった4名の方たちによるトークセッションが行われます。ファシリテーターを務める小樽商科大学名誉教授の李さんを中心に、それぞれ感想などをお話ししていきました。

トークセッション①鶴沼ワイナリーについて


〈小樽商科大学 近藤真弘さん〉

今回の取材で一番印象に残っているのは”農業を起点にワインをつくる”という点。「農家さんのために」という姿勢が創業から今日までぶれていないというのは、素晴らしいことだなと感じました。

〈小樽商科大学 北川泰治郎さん〉
鶴沼ワイナリーさんの特徴は、自社でも農場を持って原料を生産していること。単に調達するだけでなく、作っているからこそ原料の良しあしや適正な価格が分かる。醸造もブドウのことをよく理解しながら作られているのが伝わり、最終的には品質にもつながっていると感じます。

〈鶴沼ワイナリー農場長 齋藤浩司さん〉
お褒めの言葉をいただき、本当にありがたいです。私たちは「北海道ワインは北海道に必要な会社となります。感謝と誠実を心に」という社是を掲げており、常日頃から自社だけでなく北海道全体がよくならなければと思っています。
自社で生産するブドウの量は、全体からすると僅かな量。4分の3以上は地元の農家さんからいただいています。自分たちで農場を持っているから、みなさんの苦労も分かる。上下の関係ではなく、対等なパートナーとして一緒に働けている感覚があります。そんな会社だからこそ、自分も30年以上働いてこれたんだなと改めて思いました。

トークセッション②大野ファームについて


〈小樽商科大学 名誉教授 李濟民さん〉

今日の講演でも話がありましたが、一番印象に残ったのは循環型農業にかなり力を入れ、実現されているというところ。
「健康な人づくり・健康な土づくり・健康な牛づくり」という3点を生産理念に掲げているのも特徴です。ただ生産をするのではなく、そういうことも含めて6次化のスペシャリストだと感じます。

〈小樽商科大学 後藤英之さん〉
牛肉を仕入れている愛知県のスーパーに「なぜ大野ファームの牛肉を選んだのか?」と取材したところ、大野の牛肉じゃなきゃダメなんだと返事が返ってきました。安心安全をまじめにやっている生産者を、流通業者は応援して支えないといけない。だから価格じゃなく、大野さんを選んでいるということでした。
掲げている循環型の理念というものが従業員はもちろん、取引先にも浸透し、ファンが増えているのだと感じます。

〈大野ファーム代表 大野泰裕さん〉
お二人ともありがとうございます。安心安全な牛肉をまじめにずっと作っていくという信念でこれまでやってきました。きちんと自分たちのできることを正直にやってきた結果、きちんと理解して、協力してくれる人がいる。それが信用になり信頼になったのだと思います。
今のお話を聞きながら改めて、いろんな人の協力や支持の上で成り立っていると感じました。これからはたくさんのお世話になった方々へ恩返しをして、みなさんのお役に立てたらと考えています。

 

最後には李さんから改めてこれからについてのお話が。

”『挑む農業』は第2回目の発行になりますが、「3、4回目と今後も続けていきたい」とコープさっぽろの大見理事長からも強いメッセージをいただきました。私も農業賞の事務局長という立場になったので、活動を拡大しながら、北海道に根ざす運動として続けていけたらと思っています。”

こうして先進的な取り組みをされている生産者さんの話を知ることができるのは、私たち消費者はもちろん、ほかの生産者さんにとっても大きな学びとなるはず。第3回・4回の発行、そして報告会も楽しみだと感じました。

農業賞報告(コープさっぽろ)

トークセッションのあとは、コープさっぽろや農業の現状について紹介する農業賞報告です。

 

〈コープさっぽろ常務理事 小松均さん〉
コープさっぽろの店舗では、野菜や果物の構成比がほかのスーパーの平均より高い数字になっています。農産物に強いと言えますが、それでも有機野菜の割合はまだまだ少ないです。政府では「みどりの食料システム戦略」として、”2050年までに有機農業の面積を耕地全体の25%に拡大する”という目標を掲げています。それに対してまだ大きなギャップがあるというのは、事実としておさえておきたいところです。
地元のとれたて野菜が店頭に並ぶ「ご近所やさい」の取り組みに対するニーズも高まっています。生産者の顔が見えるものに対する需要は増えている一方で、今年は商品の値上げの問題があります。いいものであっても高すぎると買えないという人はいるので、こだわりの商品をどう販売していくかを考えなければなりません。地域のブランドとして魅力を高めたり、組合員さんとの交流を深めながら、その良さを地道に伝えていかなければと思います。
また農業賞からの発展として、コープさっぽろでは様々な取り組みを行っています。月に1度発行している広報誌『Cho-co-tto』では、受賞生産者を特集で紹介。アニマルウェルフェアの取り組みとして、平飼い卵も店頭で取り扱いをはじめ、人気の高い商品となっています。
交流活動としては畑でレストランなども今年はフル開催することができました。農業賞に関してもまた、来年10月から受付をスタートする予定なので、みなさまからもぜひ周りの方にご紹介いただけたら幸いです。

▼参考:鶴沼ワイナリーが特集された『Cho-co-tto2022年11月号』(PDF)
https://www.sapporo.coop/common/img/chocopdf/2022.11.pdf

 

ここで前半戦の報告会は終了。会場を移して、ここからは交流会のスタートです!

 

農業賞交流会

大きなホールには円形のテーブルが並び、さながら披露宴のような会場。ステージも前方にあります。
入場のウェルカムドリンクはなんと、あすなろファーミングの牛乳!これには小さなお子さんも喜びの表情です。

 

開会あいさつ(コープさっぽろ 大見理事長・札幌市 高田部長)

〈コープさっぽろ理事長 大見英明さん〉
報告会を聞いて、優れた生産者のみなさんというのはどこかにきちんと筋を持っていて、社会状況の変化にも自ら克服するという姿勢で望んでらっしゃるのだなとつくづく感じました。コープさっぽろは2015年に50周年を迎えましたが、これからの50年はますます見通すことが難しい時代になっていきます。
ご存じのとおり物の値段がどんどん上がっていますし、輸入する飼料・肥料もみんな上がっている。国内品と輸入品の構成比なども考慮すると、これからは北海道内で循環型の農業生産を進めて行かなければなりません。コープさっぽろはそういったことに取り組む農業や生産者を、次の50年応援していきたいと考えています。
今日は優れた生産者が集っています。お互いに交流していただき、切磋琢磨しあい、次のステップに進むきっかけの場にしていただけたら嬉しく思います。

〈札幌市経済観光局農政部部長 高田洋さん〉
報告会・交流会に参加させていただき、農業賞は生産者と消費者の架け橋として根付いているのだなと実感しています。昨今、食の安全保障がこれまで以上に認識されるようになってきました。世界的に気候変動が激しくなり、食料を安定的に確保することの不安が高まっています。
こうした時代だからこそ地域の一次産業を守り、育てていこうという取り組みが大切です。札幌市は大消費地ですが、同時に情報を発信するという役割も持っています。豊かな北海道の食材を積極的にみなさんと盛り上げていきたいと考えています。

 

乾杯のご発声で、交流会がスタートします。

お料理紹介

ごあいさつのあとは、美味しい料理とともにご歓談。はじめに札幌パークホテル総料理長の舟橋さんからお料理の紹介がありました。なんと当日のメニューは、過去の受賞生産者さんの食材がふんだんに取り入れられたものになっていました!

 

 

 

 

アミューズ

アグリコラのオーガニック卵のスクラブルエッグムース
あすなろファーミングのラクレットチーズと
藤井ファームのキタアカリと共に

オードブル

北海道産炙った帆立貝とサーモンマリネ
佐々木ファームの野菜たち
黒にんにくのバーニャカウダ仕立て

スープ

アンビシャスファームの菊芋のスープ
カプチーノ仕立て

お魚料理

アグリコラの亜麻仁卵を纏った白身魚のピカタと
アンビシャスのリーキ
当麻有機農業の有機トマトジュースとバターピーナッツソース

お肉料理

当麻有機農業のエゾ鹿ロース肉のロースト
アンビシャスファームの根セロリ
藤井ファームのキタアカリドフィノワーズ

デザート

当麻有機農業のホオズキジュレと
あすなろファーミングヨーグルトのクレムダンジュ

 

みなさん食事を楽しみながら、各々の取り組みなどについてお話しされている様子。普段は関わりのないような人とも同じにテーブルになるので、お互いに新鮮な会話の場となっているようでした。

 

第11回コープさっぽろ農業賞 受賞者からのコメント

お食事の合間には、第11回受賞者の方たちによるコメントも。

〈Ambitious Farm(アンビシャスファーム)代表 柏村章夫さん〉
私たちが農業賞に応募しようと思ったきっかけは、自分たちの農場で畑でレストランをやりたいと思ったから。ずっと夢に持っていましたが、ようやく今年実現することができました。
「次世代に魅力的な農業をつなぎたい」というのが当社の設立の理念です。畑でレストランを通して、自分たちの作った野菜をさらに魅力的に伝えていただき、夢のような時間を過ごせました。自分たちだけではできなかったこの貴重な経験を、今後の自分たちの農業に活かしていきたいと思っています。

〈あすなろファーミング 村上佳奈さん〉
農業賞への応募について、はじめはコープさっぽろさんから届いた案内をずっとそのままにしていました。ですが「このままじゃ私ダメだ!」と思い立ち、消印有効の最後の1日に慌てて書類などを準備。夜12時の帯広郵便局に滑り込みで出しに行きました。なにか引っかかれば嬉しいな…くらいに思っていたのですが、まさかの大賞をいただくことができ、会社の中を大喜びで走り回ったことを私は人生で忘れることがないと思います。
今年は畑でレストランも開いていただくことができ、まさに夢のような一日を過ごしました。ここ数年のあすなろファーミング史上、最大のできごとだったと思います。たくさんの人に支えられてこの日を迎えられたという実感と、義父母が守ってきたこの会社をつないでいくバトンを受け取ったと感じられる1日になりました。これからも支えてくれたお客さまや地域の人、関係している人に恩返しができるように進んでいきたいと思っています。

 

ここでもう一組、サプライズでのコメントも!
11月にウェールズで行われた国際チーズコンテストでスーパーゴールドを獲得した、しあわせチーズ工房さんにもお話いただくことになりました。

 


〈しあわせチーズ工房代表 本間幸雄さん〉
11月2日にウェールズで行われた、「World Cheese Awards ワールドチーズアワード」という世界でも権威のあるチーズコンテストで、上位2%ほどに贈られる「スーパーゴールド」を受賞することができました。今まででも一番いいチーズができたという自信があったので、なんとか引っかかってくれ、という思いで出品しました。チーズづくりには、酪農家さんがつくるミルクもとても大事な要素。このミルクとチーズが世界に通用したということを嬉しく思っています。

 

コメントのあとには花束の贈呈も行われました。
2020年の「ジャパンチーズアワード」ではグランプリを受賞した、しあわせチーズ工房。世界に認められる生産者さんが北海道にいることを、誇らしく感じますね。

登壇者インタビュー(大野ファーム・鶴沼ワイナリー)

ご歓談の合間にお時間をいただき、今回の報告会で登壇された2名にお話をうかがいました。


〈大野ファーム代表 大野泰裕さん〉

北海道の生産者を応援し、情報交換の場ともなる機会を作っていただき、ありがたく感じています。私自身も「北海道に貢献しなければ」と最初から思えていた訳ではありません。はじめはむしろ、自分自分自分…という意識だったと思います。
30代のあるとき、北海道の経営者の方とお話しする機会がありました。「経営は売上ではなくいかに人に貢献できるか、社会に必要とされるかが大事なんだ」と言われたのですが、正直に言ってそのときはよく理解ができなかった。でもずっとその言葉は頭に引っかかっていたのです。
それからいろいろな取り組みをする中で自分一人ではなにもできないと実感し、いろんな方たちに協力していただく中で、少しずつ考えが変わってきた。あの日の言葉をしっかり理解できるまでには、15年くらいかかってしまったかも知れません(笑)。これからもみなさまに必要とされることを、真摯に続けていきたいと思っています。


〈鶴沼ワイナリー農場長 齋藤浩司さん〉
毎回この交流会が開催される度に、出席をしてきました。最先端の取り組みをされている方や、強い意志を持っている方。いろいろな方から話を聞いて、学びを得られるのがこの交流会です。
みなさんの現状や将来の夢などを聞くと、自分もこんなことを言えるようにしないとと思います。刺激を受けるというよりは「俺なにやってんだろう…」と打ちのめされるような感覚ですね(笑)。でもこうしちゃいられない!と普段の生活に戻ってからまた頑張ろうとも思える。自分にとっては切り替えのスイッチとなるような、大切な場になっています。

 

お二人の話を聞いて驚いたのは、登壇されるような方たちであっても、交流会を「学びの場」と捉えていることでした。齋藤さんは「スイッチとなる場」とおっしゃっていて、生産者さん同士がさまざまな影響を与えあっているのだなと感じました。

 

閉会あいさつ


〈コープさっぽろ農業賞事務局長 李濟民さん〉

小樽商科大学に平成元年から2022年の3月まで務め、定年退職。4月から農業賞の事務局長になりました。
今となっては北海道が一番長く住んでいる土地になりましたが、感じるのは食の豊かさです。魅力的な食が自分の住む地域にあるということ、食料自給率が高いというのは暮らしの安心につながります。コープさっぽろの力も借りながら、生産者と消費者を密につなげて、北海道の農業を一層盛り上げていきたいと思っています。

エンドロール

ご挨拶のあとには、大きなスクリーンにエンドロールが。出席者一人ひとりの名前とともに、当日の模様を写真で振り返るものです。映像の最後には、コープさっぽろからのこんなメッセージがありました。

”真摯に、誠実に、農業漁業に向き合う受賞者の方に出会える機会が農業賞交流会です。年に一度、北海道の食を良くするために、ひたむきに頑張る皆さんと同じ時間を過ごせて本当に、本当に、ありがたいと思っています。コープさっぽろ農業賞受賞者の皆さんは、わたしたちの誇りです。これからも、どうぞよろしくお願いします。”

 

「北海道は食の豊かな地域である」というのは日本中で認識されていることですが、元からそうだった訳ではありません。知識や経験もない中から、厳しい気候環境にも負けずに、真摯に努力を続けた人たちがいたからこそ、現在の北海道の姿があるのだと思い知らされます。こうした事実に改めて触れる機会となりましたし、いち消費者としても、こういった生産者さんたちを応援したいなと素直に思いました。
「コープさっぽろ農業賞交流会」。大きな会場でどんなことが行われるのかと思っていましたが、そこには生産者さんたちの熱い志と、食についての大きな学びがありました。来年は10月に受付開始する農業賞。ぜひこれを読まれた生産者さんも、応募を検討されてはいかがでしょうか!

▼コープさっぽろ農業賞
https://www.sapporo.coop/corporate/content/?cat=7

写真ギャラリー

最後に当日写真をご紹介。みなさん美味しい料理とお酒を楽しみながら、交流を深められていました。なによりみなさんが笑顔で会話されていたのが印象に残った1日でした。

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