▼ 目次

北海道内に100以上の店舗があるコープさっぽろ。その店頭で、文字がならんだ変わった商品を目にしたことはありませんか?実はこちら、「なるほど商品」というコープさっぽろのPB(プライベートブランド)商品なのです。
その商品の特徴や開発の裏側、そしてパッケージやネーミングの秘密まで、深掘りするインタビューを行いました。コープさっぽろ商品開発部の高森さん、教えてくださ〜い!!!

高森雄輔(たかもり・ゆうすけ)さん
生活協同組合コープさっぽろ 商品開発部 部長
北海道札幌市出身。2013年入協。
本部長補佐(特命担当)、商品開発室室長、
食品部長(兼務)、店長、デリカ部長、商品開発部長、
食品部長(兼務)を経て現職に。
コープさっぽろのPB商品開発を担う責任者。

なるほど商品ってなんですか?

―――早速ですが、コープさっぽろの「なるほど商品」について教えてください!

「なるほど商品」はコープさっぽろのPB(プライベートブランド)商品で、2012年から販売しています。2023年1月時点で190点ほどの商品がありますが、ラインナップは増えたり減ったりして、多いときは240点ほどを販売していました。

 

―――190点も!商品はどのようなものがあるのですか?

ティッシュペーパーなどの日用品から、お酒やお菓子など幅広いジャンルの商品を販売しています。「売れ筋」というとや牛乳など日常的に消費の多いものになりますが、人気があるのは「ちくわ」ですかね。おいしいと評判で、一度人気投票をしたときに1位になったこともあります。
秋冬限定の商品でいうと、ポテトチップスはいつも反響が多いですね。春先にその年の分が終了したとき「もう売ってないんですか?」と毎年のように問い合わせをいただいています。

なるほど商品の一覧は特設ページで見ることができる https://naruhodo.sapporo.coop/

―――商品開発はどのような流れで行っているのですか?

もともとは組合員さんからの「こういう商品が欲しい」「安心安全なものを食べたい」などの声から生まれたのですが、段々と「この商品をもっと産地を限定して作れないか」などのアイデアから新しい商品ができることも増えてきました。
思いつきがそのまま商品にという訳ではなく、30人くらいのバイヤー・営業担当が集まる会議で話し合いながら開発を進めます。商品を試作しても会議での反応がよくない場合は、販売を中止することもあります。売れないものを作っても、在庫を残してしまったり生産者さんのためにもならないですからね。そういった例もけっこう多いですよ。
新しい商品を作ること自体はみなさん面白がってくれるので、販売に向けて「こういう商品あったらいいね」と前向きに意見を出してくれます。最終的には商品本部長の決済をもらって、発売に至るという流れですね。

開発部長のお仕事について

―――そんな流れを経て商品が生まれるんですね。高森部長の経歴についても教えてください!

入協してからちょうど10年目になりますが、最初は専務(当時本部長)の特命担当として入協しました。変わった肩書きは、当時流行っていた「特命係長」というテレビドラマから専務が考えたようです(笑)。
食品部長や店長を経験したり、デリカ部に行ったり商品開発と食品部長を兼任したり…と転々として、現在は商品開発部長を務めています。名刺が毎年変わっていましたが、ようやく2年続けて使うことができていますね。でもいろいろな部署を回りながら、商品開発自体にはずっと関わってきました。
取引先や工場のことを知ることができたり、結果として様々な業務を担当したことはいい経験になっています。商品開発の立場しか分からないと好き勝手なことを言いたくなりますが、他の部署でできることとできないことの判断が付くようになり、販売している店舗や商品部とのコミュニケーションが取りやすくなったと感じています。

―――仕事のやりがいについても教えてください!

実は新しい商品ができあがったら、毎回必ず協力してくれた生産者さんにお送りしています。先日も「北の覚醒」という日本酒ができあがったので、お米の生産者である横山さんにお送りしました。
この日本酒は無農薬の酒米から作られていて二世古酒造さんで仕込んでいただいているのですが、農薬を使わずにお米を作るのは大変なのです。稲と雑草の見分けがつかなくなるので、人の手で一本一本除草しなければなりません。こんな手間のかかる作業をやってもらえるところはなかなかない。生産者さんあっての商品だ、という感謝の気持ちも込めてできあがったものをお送りするようにしています。自分たちの仕事がこんな商品になったんだ!と感激してもらえることが多く、組合員さんだけでなく、作り手の人たちにも喜んでもらえるのはうれしいですね。

どうして「なるほど商品」なの?

―――ところで、どうして「なるほど商品」という名前なんですか?

それぞれの商品に「なるほど」と思えるこだわりを持つことと、そのこだわりが一目で「なるほど」と伝わるパッケージにしたいという思いからです。なるほど商品は「良質なものをなるべく北海道製造で」と考えて開発していますが、そうした特徴を商品名や情報表示で分かりやすく伝えたいと考えています。またパッケージの表面には、栄養成分がわかりやすく伝わるように、各栄養素の一日の摂取量に対する割合まで掲載しています。
海外ではこのように前面にカロリーや栄養成分表示が載ったものも多くあり、それを参考に大きくて分かりやすい表記を始め、手に取る方がイメージしやすいように工夫しています。栄養成分はどの商品にも記載されていますが、このように%の表記までしているのは、おそらく国内でコープさっぽろだけだと思います。

―――それはすごいですね!なぜそこまで商品の情報を伝えようとしているのですか?

まずは食を届けるものの責任として、しっかりと情報開示をしなければというのが一つ。もう一つは商品についてより理解を深めてもらうためです。私は商品が売れるか売れないかは、商品そのものより、売り手の影響が大きいと思っています。商品の魅力を伝えられていないのに、商品のせいにするのは作っているメーカーにも生産者にも失礼ですよね。
先日、他社のバイヤーさんと話をする機会があったのですが、自分たちの商品を説明するのがとても上手で驚きました。どういうところがよくて、どこに価値があるのかをわかりやすく伝えてくれる。
例えば飲食店で料理を食べるときも、食材について説明を受けてから食べると、味わいが違って感じられますよね。商品の背景や情報を知るというのも、おいしさの元だと思っています。つまり、私たちもそれを伝えていかなければなりません。

―――そういう理由からだったのですね!ちなみに、端に記載されている「カーボンフットプリント」ってなんですか?

よく気がつきましたね!これは商品ごとに、原材料の生産から店頭に並ぶまでのCO2排出量を計算しているものなのです。これもコープさっぽろだからできる情報発信として、パッケージに記載するようになりました。商品を通じて環境問題まで考えてほしいと思って取り組んでいます。

 

―――この数字にはそんな意味があるんですね!商品のCO2排出量なんて、調べられるものなんですか…?

コープさっぽろ独自のやり方で計算をしているのですが、そのあたりはもっと詳しい方に聞いていただくといいかも知れません。算出に協力いただいている室蘭工業大学さんをご紹介するので、ぜひ行ってみてください!

続きは後編へ

商品のことからご自身のことまで、なんでも気さくに答えてくださった高森さん。関心しすぎて「なるほど!」というダジャレのような相槌を連発してしまい、ひっそり恥ずかしくなった筆者でした。。
そしてあれこれと質問する中で、なんと「カーボンフットプリント」という新たな疑問が出てきてしまいました。これはさらに深掘りするしかない…ということで、話は後編へと続きます!
舞台を室蘭工業大学へと移し、コープさっぽろの「なるほど商品」について、さらにお話をうかがいました。ぜひ後編もご覧ください!

▼「カーボンフットプリント」ってなんですか?コープさっぽろのオリジナル商品について聞いてみた(後編)
https://coopcycle.sapporo.coop/media/food/food_1771/

関連記事
カイモノのセンタク〜vol.6 「食べる幸せ」編〜”おいしいお店”のヒミツに迫る!
プロジェクト

カイモノのセンタク〜vol.6 「食べる幸せ」編〜”おいしいお店”のヒミツに迫る!

カイモノのセンタク〜vol.1 「ご近所やさい」編〜生産者の顔が見える新鮮野菜!
プロジェクト

カイモノのセンタク〜vol.1 「ご近所やさい」編〜生産者の顔が見える新鮮野菜!

「コープさっぽろの店舗」まとめ! 気になる名前の由来も調査してみた
コラム

「コープさっぽろの店舗」まとめ! 気になる名前の由来も調査してみた