▼ 目次

ようやく気温も落ち着きはじめた北海道。
いやー、今年は暑かったですね!札幌をはじめ、道内各地で観測史上最高を更新した夏でした。そんな記憶にも記録にも残りそうな夏。私たちはこちらのイベントに参加してきました!

畑でレストラン2023

コープさっぽろの夏のイベントといえばこちら!「畑でレストラン」です。畑の中、自然に囲まれながら本格コース料理を味わうというイベント。
会場となる畑は「コープさっぽろ農業賞」を受賞した生産者さんのもの。農業に真摯に取り組む方々と実際にその食材を収穫した畑を歩き、農業を支える生産者やシェフの思いを知ることで、北海道の食の豊かさを感じられる人気のイベントとなっています。

▼畑でレストランの詳細はコチラへ
「畑でレストラン2023」参加申込み受付中!〜「おいしい」でつながる生産者と料理人〜
▼コープさっぽろ農業賞とは
コープさっぽろ農業賞 公式ページ

そんな「畑でレストラン」は全道各地で開催されるのですが、私たちは2023年8月27日に江別市のアンビシャスファームさんで行われた回に参加させていただきました。
アンビシャスファームの代表である柏村さんには、上記の記事でインタビューさせていただいたのですが、「畑でレストランをやるのが夢だった」とおっしゃられるほど熱心に農業に取り組まれている方。今回もどのようなイベントになるか楽しみにです!

北海道大学の農業サークル「Agees」とともに

そして今回の取材には、2名の学生にもインタビュアーとして協力してもらいました!同行してもらったのは、北海道大学の農業サークル「Agees(アギーズ)」に所属するお二人。Ageesは農家さんのもとでのお手伝いを通して、実際に農業に触れ、学びを深めようという団体。大学の講義や実習だけでは分からないことを、現場に行くことで深く知る!ということを目的として活動しています。
以前にはアンビシャスファームさんでも収穫作業などを行ったことがあるそうです。

プロフィール

祝美友紀さん/岸本一真さん

北海道大学「Agees(アギーズ)」

祝美友紀さん/岸本一真さん

北海道大学「Agees(アギーズ)」

Ageesは生産者さんの元で作業をお手伝いしながら、農業を学び、体験するサークル。
代表を務める祝さんと、岸本さんに参加いただいた。

▼北大部活サークルnavi(Ageesのページ)
https://hubcnavi.net/agees
▼Agees Instagramページ
https://www.instagram.com/agees2023_hokudai/

ファームツアーからスタート

畑でレストランでは、料理を食べる前に生産者さんとともに畑を回るツアーがあるのも見どころの一つ。この日もアンビシャスファームのみなさんと一緒に、畑へと向かうところからイベントが始まります。

プロフィール

柏村章夫さん

Ambitious Farm(アンビシャスファーム)

柏村章夫さん

Ambitious Farm(アンビシャスファーム)

2014年に江別市で設立。「少量多品種」のスタイルで、約100品種の野菜を生産している。週に一度、直売所で「ふたりのマルシェ」という対面販売も行っており、珍しい野菜なども身近に、親しみやすく手に取れるように販売している。
※写真左から2番目が柏村章夫さん

▼アンビシャスファーム公式ページ
https://ambitious-farm.co.jp/
▼ふたりのマルシェ公式ページ
http://futarino-marche.jp/

やってきたのはアンビシャスファームさんの主要作物の一つでもある「とうもろこし」の畑。説明を聞きながら、まずは収穫体験とキレイな剥き方のレクチャーです!
アンビシャスファームでは2種類のとうもろこしを育てているのですが、この日収穫させていただいたのは「恵味ゴールド」という品種。しっかりした甘みと濃厚なうま味がぎゅっと詰まっていて、採れたてを生で食べてもとてもジューシー!お湯でゆでればシャキッと食感が楽しめる、鮮やかな黄色のとうもろこしです。

そしてキレイに皮が取れたら、その場で実食!とうもろこしを高々と掲げて、カンパイならぬコーンパイ!みんなで輪になっていただきます。するとあちこちから、「おいしい!」「甘い!」と驚く声が。とうもろこしも鮮度が大事と言われますから、まさに採れたての味は格別です。

小さなお子さんもガブリ!

いよいよランチコース

ファームツアーを終えたあとは、いよいよ食事の時間!料理を担当されたのはオステリアタッキー二の菊地シェフです。

プロフィール

菊地高章さん

Osteria Tacchini(オステリア タッキー二)

菊地高章さん

Osteria Tacchini(オステリア タッキー二)

2018年5月にオープンした、札幌札幌中心部にあるイタリアン。菊地シェフは、東京にあるイタリア料理レストランでキャリアを積み、イタリアへ渡り、さらに技術を磨く。北海道へ戻り、自ら食べておいしいと思う食材は積極的に取り入れるほか、フランクな気分で過ごせるような店作りにも気を配る料理人。

▼オステリアタッキーニ公式ページ
https://www.salon-grp.co.jp/tacchini/

料理の登場…の前に最初に参加者に配られたのは、「町村農場」の牛乳。せっかく来てもらうのであれば、食材だけでなく飲みものなども「オール江別」でもてなしたい!とアンビシャスファームさんが発案されたそう。
地元産のおいしい牛乳のウェルカムドリンクで、まずは乾杯です!

畑での中でどのように調理を?と思われるかも知れませんが、実は専用のトラックに秘密が。畑でレストランの専用トラックにはガステーブルや冷蔵庫などを完備。まるでお店の厨房のように調理することができるのです。

目の前で作り上げられるおいしそうな一皿…。思わずお腹が鳴りそうになってしまいます。こんな光景が見られるのも、畑でレストランの魅力の一つ!
そして一品ずつ提供するタイミングで、シェフが料理の説明をしてくれました。

▼提供されたメニューはこちら
・とうもろこしと鰻のテリーヌ
・きたあかりのフリコ、ミートソース
・お米のサラダ カラフル人参と積丹のマグロのマリネ
・北島ポークのカツレツ フレッシュトマトのソース
・アロマレッドとブラッドオレンジのムース 人参エキス

一品目のメニュー。先ほど収穫したのと同じとうもろこし(恵味ゴールド)が使われている。

彩り豊かな料理たち。

どれをとってもおいしそう!
Ageesの二人は「こんな料理は食べたことがありません!」と終始感動の様子。呼吸するように「おいしい」を連発していました。

料理に感動するAgeesの二人

アンビシャスファームで働くみなさん

会場にはお客さまに混ざってアンビシャスファームで働いているスタッフの方たちも参加していました。
昨年は柏村さんや生産部門のリーダーなどが参加されたそうですが、今年は長く勤務されているパートさんや、来年入社する新卒生の方が食事することになったそう。

〈スタッフの方のコメント〉
自分たちで育てたものが、こんな風に生まれ変わるのかと驚きます。本当にシェフの力やアイデアはすごいですね。でも同時に、自分たちで育てたニンジンやとうもろこしって、やっぱりおいしい!と改めて感じられました。そんな風に思える機会をもらえて、とてもありがたいです。

終了後にはマルシェ販売も

デザートまであるフルコースを食べた参加者は、みなさん満足いただいた様子。イベントはこれで終わり…ではなく、最後に即席のマルシェが開催されました。普段は江別の直売所で、週末1日だけオープンしている「ふたりのマルシェ」の特別版!
今さっき食べた食材を自宅でも味わえるとあって、みなさん野菜を見比べながら手に取られていました。

参加者の声をご紹介

ここでイベントに参加された方々の声も、ご紹介します。

ファームツアーでとうもろこしをその場で収穫して食べる体験が印象に残りました。よくテレビであのような光景を目にしますが、「ウソじゃないかな?」って思っていたんです(笑)。でも実際に体験したら本当においしくて驚きました。そのあとの料理でも、「同じ味がする!」と感じることができて感動しました。

飲みものにビールをオーダーしたら、アンビシャスファームで採れた「ホップ」も添えて提供してくださいました。グラスにホップを入れて一緒に飲むという「追いホップ」をはじめて味わいましたが、香りが広がってはじめての感覚。産地ならではの楽しみ方ですよね。

ホップをビールに追加して楽しむ「追いホップ」

アンビシャスファームさんへインタビュー

ファームツアーにコース料理にさらにマルシェと、「畑でレストラン」の一日が無事に終了。最後に少しだけお時間をいただき、北海道大学Ageesの二人と、アンビシャスファームの柏村さんにインタビューさせていただきました。

―――今日一日を終えて、いかがですか?

柏村さん

充実していました!楽しかったですね。昨年ははじめてだったこともあってお客さま気分になってしまいましたが、その分今回はもっと自分たちにできることはないかと工夫を凝らしました。
自らサーブをして参加された方と話したり、マルシェで野菜を手にとっていただいたり、昨年より近い距離で関わることができてよかったと感じています。

アンビシャスファームさんも配膳に参加

―――コース料理で使用された作物の選定はどのように決められたのですか?

柏村さん

開催日である8月末にどのような作物が採れるか?というリストを事前に菊地シェフに提供していて、そこからメニューを考えていただきました。
ところが今年はこの猛暑。開催が近づいてから、予定していた料理に必要なものが取れない事態になってしまいました。例年なら絶対に採れているような野菜が用意できず、最終的には開催1周間前まで料理メニューの調整をしていただいたんです。そんな流れで今日に至っているので、菊地シェフにはご迷惑をかけてしまったなという思いです。

アンビシャスファームで開催するということは、シェフにとってもいろいろな食材が使えて想像が膨らむ機会のはず。ですが今回はスタンダードなものが多くなってしまったので、もっと期待に応えたかったですね。

―――農作業をお手伝いする中で、丁寧に取り組まれているという印象が強くありました。特にどのような点にこだわって育てられているのですか?

柏村さん

作物の幼少期、つまり苗の段階でいかに栄養を与えてあげられるか。そしてそのあと順調に育つようにしてあげられるかというところですね。逆に手をかけられるのはその時しかなくて、畑に行ってしまうと「お天道様お願いします!」と祈るしかない部分もあります。

当初はよそから苗を購入して育てていたのですが、そこから自分たちでコントロールしないと作りたい野菜は作れないという考えに至って、育苗ハウスを建てて力を入れ始めました。

―――気候変動もある中で大変だと思うのですが、「多品種」を作るスタイルは今後も広げていくのですか?

柏村さん

実は今年、作る品目を少し減らしたんです。限られた面積でしっかり製品になる量を作れたらいいのですが、そうとは限りません。例えば今年のような天候になったときに、「3割しか採れなかった」となってしまうと多くの方に届けることができませんよね。だからこそある程度の規模で生産しなければ、お客さまとの約束を守れなくなってしまいます。

ですがそこには葛藤もあります。今は「大量消費・大量生産」の時代ではないと思っているのですが、不足の事態に備えていると、豊作の場合は作りすぎてしまう。つまり食べものを余らせてしまうことになります。それは農業業界全体のジレンマですね。

「農業ってそういうこともあるよね」「ないときはないよね」と寛容になってもらえたら、私たちも作りすぎずにすむことになる。そういったお話も、このようなイベントをきっかけにして知ってもらえたらうれしいなと思っています。

畑でレストランに参加して

これまでに農作業をお手伝いしたことはあったAgeesの二人も、畑でレストランでの体験は新鮮なものだった様子。じっくり生産者の方とお話ししたり、シェフのコース料理をその場で味わったり。イベントを終えてどのようなことを感じたのか、最後に二人にも話を聞いてみました。

祝美友紀さん

参加する前は親子連れが多いのかなと想像していましたが、実際には幅広い年齢層の方が参加されていて、みなさんの農業と食に対する意識の高さを感じました。イタリアンのコース料理を食べるのは初めてでしたが、とてもおいしかったです。プロの手にかかるとこんなにも華やかな料理に変貌するのか、と驚きつつおいしさを堪能させていただきました。

今後の当サークルの活動では、農家さんに向けた活動報告をもっとしていきたいと感じます。柏村さんは直売所でのお客さまとの交流を大事にしているとおっしゃっていました。お世話になっている農家さんは、「学生目線の意見を知りたい」と活動を受け入れくださっています。そのため、今後は農家さんへの報告をさらに増やし、感謝を忘れずに活動していきたいと思います。

岸本一真さん

コース料理は自分にとって非常に新鮮で、どの料理も色鮮やかでとてもおいしかったです。また、アンビシャスファームさんのこだわりで、野菜以外にも江別産の食材が使われており、これ以上ない地域への貢献だと強く思いました。

ファームツアーで、お客さんが楽しそうにとうもろこしを収穫してるのを見て、農業の楽しさは実際に体験してみてなんぼだと思いました。
また、新鮮なとうもろこしを生のまま食べるという、実際に畑に来ないとできない体験ができて良かったです。柏村さんのお話では、ここ数年の暑さなどの気候変動にかなり困られているというのを聞き、農家の苦労の一端を知ることができました。農業について学んでいる身として微力ではありますが、サークル活動や社会に出てからの仕事を通して農業に貢献したいと強く思いました。

柏村さんのお話を聞くと、今年の暑さは生産者の方々にとっても大きな影響があったそう。それでもそのような苦労を感じさせず、参加された方に楽しんでもらおうとするアンビシャスファームさんの姿。そして特別な料理で応えようとする菊地シェフの思いが感じ取れました。

改めて普段は何気なく口にしている“食”と、それを生産する人、手掛ける人たちへの感謝が深まった一日でした!

〈関連リンク〉
▼コープさっぽろ「畑でレストラン」公式ページ
https://www.sapporo.coop/content/?id=3276
▼「コープさっぽろ農業賞」第11回受賞者一覧
https://www.sapporo.coop/corporate/content/?id=694
▼「 畑でレストラン 2023 」参加申込み受付中!〜「おいしい」でつながる生産者と料理人〜 ※現在受付は終了しています。
https://coopcycle.sapporo.coop/media/food/food_2559/

北海道で生きることを誇りと喜びに

コープさっぽろの取り組みは、組合員さんのご利用や参加によって「北海道の暮らしを豊かにすること」につながっています。取り組みは組合員さんならどなたでも参加でき、日常を通して気軽に参加できるものもあります。コープサイクルでたくさんご紹介していきますので、ぜひその他の記事もご覧ください。

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