小さいときに兄から、「”開封後はすぐに”って書いてあるから、急いで飲まなきゃダメだよ!」と騙されて、ジュースをガブ飲みしたことがあります。どうもこんにちは、コープサイクル編集部です。
突然ですがみなさんは、食品を買うときにラベルやパッケージの表示って気にしていますか?次のグラフは、消費者庁が行ったアンケート。食品を買うときに、栄養成分を参考にしているよ!という人の割合です。
※消費者庁「令和4年度 食品表示に関する消費者意向調査」より
これを見ると、3割ほどが「あまり参考にしていない」、1割弱の方が「全く参考にしていない」という結果に。食品の表示に対する意識は、どうやら個人差が大きいようです。
実はこうした食品の表示を分かりやすくすることも、コープさっぽろが力を入れているポイント!食品表示からはさまざま情報を知ることができるので、これまであまり気にしてこなかったという人も、見方を知ることで食品を選ぶ楽しみが広がるはず!?今回はそんな、お買い物のヒントになるかもしれない「食品表示」のお話です。
ためしてみよう!食品表示◯✕クイズ
食品の表示には、いったいどんな意味があるのでしょうか?簡単なものからちょっと難しいものまで、◯✕クイズでご紹介します!自信のある方も、どこまで分かるかぜひトライしてみてくださいね。
1問目:「賞味期限」と「消費期限」
〈問題1〉
すべての加工食品には「賞味期限」または「消費期限」が表示されていますが、どちらもこの日付を過ぎたものは食べることができません。◯か✕か?
〈答え〉 ✕
似ている表示ですが、賞味期限と消費期限はそれぞれ意味が違うのです!
●賞味期限:おいしく食べることができる期限。劣化が緩やかな商品に付けられます。
●消費期限:安全に食べられる期限。生鮮食品など劣化が早いものに付けられます。
どちらの表示かを決めるのは、劣化するスピード。生鮮食品など、だいたい5日以内で劣化するものは「消費期限」、そうでないものは「賞味期限」の表示となります。
そのため賞味期限は日付を過ぎても食べられる場合があるので、日付だけで判断してしまうともったいない食品ロスにつながってしまうかもしれません。とはいえ、「賞味期限は過ぎても大丈夫!」となんでも食べてしまうのも要注意。賞味期限はあくまで適切な方法で、「未開封」の状態で保存されたときのもの。匂いを嗅いだり、加熱してから食べたりと、食品の状態をしっかりチェックすることが大切です。
2問目:「生食用」と「加熱用」
〈問題2〉
生鮮品の中には、同じ食品であっても「生食用」と「加熱用」を分けて販売されているものがあります。この違いは「鮮度」によるもので、新鮮なものが生食用とされています。◯か✕か?
〈答え〉 ✕
生食用と加熱用の違いは鮮度ではなく、雑菌や寄生虫による食中毒の危険があるかどうかの違いとなっています。
例えば鮭の場合、管理された環境で育った「養殖もの」は生で食べられることが多く、「天然もの」は加熱が必要となっています。ちなみに鮭=天然・加熱用、サーモン=養殖・生食可と覚えている方もいるかと思いますが、厳密には異なる場合もあるため要注意!
ちなみに脂の乗りや身のやわらかさなどは、鮭の種類によっても異なります。いろいろな種類を試しながら、好みや料理と相性の良いものを探してみるのも面白いですよ。
3問目:「糖質オフ」と「糖質ゼロ」
〈問題3〉
糖質の量が少ない食品や飲料に、「糖質オフ」や「糖質ゼロ」と表示されているものがあります。これらの表示の基準は、糖質オフ=食品100gあたり糖質が5g以下のもの。糖質ゼロ=糖質が全く含まれていないものとなっています。
〈答え〉 ✕
「糖質オフ」「糖質ゼロ」といった表示は、消費者庁の食品表示基準で次のように決められています。
●糖質オフ:量の基準はなく、比較対象の商品に比べて糖質が低くなっていれば表示が可能です。
●糖質ゼロ:100g当たり(100ml当たり)の含有量が0.5g未満のものは表示が可能です。
つまり、ゼロという表示があったとしても糖質が含まれている場合はあるのです!ちなみに「ノンカロリー」「カロリーゼロ」といった商品も、100gあたり5kcal未満のものであれば表示できます。
また、糖質と似た言葉に「糖類」もあります。糖類とは、ブドウ糖・果糖・麦芽糖などの総称。そのため「糖類ゼロ」と書かれたものでも、多糖類(でんぷん・オリゴ糖等)や糖アルコール(キシリトール等)など別の糖質は含まれている場合があるので注意が必要です。
4問目:「果汁10%」と「果汁100%」
〈問題4〉
さまざまな種類が販売されている、果物を使ったジュース。そのジュースに含まれる果汁の割合によって、パッケージに使用できる写真やイラストは異なります。◯か✕か?
〈答え〉 ◯
実は果物を使ったジュースに使用できる写真やイラストにも、基準が決まっています!
●果汁5%未満:果実の写真も絵も表示できず、イラストのみ使用できます。
●果汁5%〜100%未満:果物の写真や絵は使用できますが、断面図や果汁のしずくはNG。
●果汁100%:果物の「断面図」や「果汁のしずく」の写真や絵を使えます。
となっているので、すぐに選びたい!という場合は便利かもしれません。
ちなみに、正式には「ジュース」と呼べるのは果汁100%のものだけで、果汁10%〜100%未満の飲料は「果汁入り飲料」に。こうしたルールが決められたのは、1969年に行った主婦連合会(主婦連)の運動がきっかけとなっています。
当時はいかにも果汁がたくさん使われているように見せながら、わずかしか含まれていないという商品が多くあったそう。そこから「果汁100%以外はジュースの名称を使用しない」、「果汁の割合を必ず表示する」といったルールができあがっていったのです。
5問目:「国産牛」と「和牛」
〈問題5〉
牛肉の中には「国産牛」や「和牛」と表示されているものがあります。どちらも日本で生まれた牛の肉で、その中で特定の条件を満たしたものが「和牛」と呼ばれます。◯か✕か?
〈答え〉 ✕
牛肉の産地にまつわる記載では、次のように基準が決められています。
●国産牛:日本で育てられた期間が最も長い牛の肉。品種は関係ありません。
●和牛:「黒毛和種」「褐毛和種」「日本短角種」「無角和種」という4つの品種の牛の肉。産地は関係ありません。
多くの方が意外に思われるかもしれませんが、実はどちらも「生まれは海外」ということがありえます!
ただし日本国内で流通する牛肉には必ず「個体識別番号」が付けられているため、どこで育てられてきたのかを調べることができ、私たちが安全安心に食べられるような仕組みになっています。
ちなみに和牛の9割を占める「黒毛和種(黒毛和牛)」の中には「神戸牛」「松阪牛」「米沢牛」「近江牛」という4大ブランド牛が存在します。これらのブランドにはまた産地や肉質などの厳しい基準が設けられていて、だからこそ高級食材となっている…ということなのですね。
原材料名と認証マーク
ここまでのクイズ、みなさんはどれくらい正解できましたか?なにげなく理解しているつもりでも、改めて聞かれるとそうだったのか!と気がつくこともありますよね。
クイズの中では商品の特徴を表す表示について紹介しましたが、続いては商品の基本的な情報が分かる「原材料表示」と「認証マーク」について。ここには商品を選ぶ上で参考になる、さまざまな情報が書かれています。
原材料名の表示
食品の裏面などに記載されている、こんな表示を見たことはないでしょうか?実はこの部分にも、次のように表示するルールがあります。
●使用した原材料を重量順に表示すること。
●食品添加物は「/」や改行などで食材と区分して重量順に表示すること。
●アレルギーに関する主要8品目を使用しているか表示すること。
つまり原材料名の先頭に書かれているものが、その食品に最も多く含まれているもの。ダイエットをしている方などは、日頃から注目されている表示かもしれません。
見た目は同じような商品でも、その中に何が入っているのかよくよく見ると、大きな違いに気がつくことも。原材料を読み解くのに慣れてくると、表示からなんとなくの味を想像することができるようになるとかならないとか!?
認証ラベルやマーク
商品には文字による表示以外に、「認証ラベル」や「マーク」が付けられていることもあります。
文字による表示では原材料や産地などの情報を知ることができますが、マークからはどんな過程で作られたかを知ることのできるものもあります。
例えば上に並べた4つのマークもその一例です。
●有機JAS:農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として生産された、いわゆる「オーガニック」の認証です。
●MSC(海のエコラベル):水産資源や環境に配慮し、持続可能な漁業で獲られたという認証です。
●レインフォレスト・アライアンス:森林保護や人権尊重などに配慮し、持続可能な農業を行っている農園で生産された作物を使用しているという認証です。
●エコマーク:生産から廃棄までライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つという認証です。
「エシカル」や「サスティナブル」といった観点を大切にしている方にとっては、分かりやすい証。商品を選ぶ際にこれらのマークも気にしてみると、環境や社会にとってうれしい商品の選び方ができるはずです!
生協が目指した食の安全
これまで紹介してきた原材料名や栄養成分の表示。以前は、食品衛生法やJAS法といった複数の法律で基準がありましたが、食品表示法として基準が一本化され、それが義務化されたのは2020年とまだ最近のことです。
かつては商品に表示がされていなかったり、実際に入っている中身と異なるものにごまかして表示されているものもあったそう。そんな中で生活協同組合は、消費者の立場に立って、分かりやすい表示と品質保証を進めてきました。
1960年代の日本は、高度経済成長期。食品の大量生産・大量消費がされたことで、国は食品添加物の使用許可を拡大していきました。そうした中で、消費者の間では不安の声が高まることに。
組合員からの「安全な食品がほしい!」という声を受けて、全国の生協で初めての商品検査室がコープこうべ(当時は灘神戸生協)に設立され、品質管理の取り組みを広げていったのです。
こうした背景をうけて、1977年にコープさっぽろ(当時は札幌市民生協)も「食品添加物自主基準」「生鮮食品表示基準」などの自主基準を作成。これらは国決められている基準以外にも対象品目を増やしたり、国より厳しい自主基準を定めることで、より安全な食を提供することを目的にしています。
例えば食品添加物については、「1日に摂取していい許容量が分かっていないものは使用しない」、「懸念される毒性が指摘されているものは、科学的な試験結果をもとに評価する」といったこともそのひとつ。
基準は時代の変化や組合員さんの要望をもとに絶えず見直ししながら、「コープさっぽろで買うものは安心だ」と思ってもらえるようなお店づくりを目指しています。
コープさっぽろの選びやすい表示の工夫
コープさっぽろでは、商品のことを「分かりやすく伝える」ことにも力を入れています。
店頭に行って探してみると、私たちが安心してお買い物できるようなさまざまな工夫が分かりました!
売り場のPOP
コープさっぽろのお店で特徴的なのが、商品のコーナーが分かりやすく表示されていること。お店に入るとまず目に飛び込んでくるため、こんな商品があるのか!と発見にもつながります。
オーガニックの商品や、アレルギーに配慮した商品。他には肉や魚の惣菜、骨を取り除いた魚…などちょっと珍しいようなラインナップも並んでいます。
オリジナルの「なるほど商品」
コープさっぽろのプライベートブランド「なるほど商品」をご覧になったことはあるでしょうか?店頭でもひときわ目立つ、商品の特徴がひと目に分かるネーミングがその特徴。前面に「エネルギー」「タンパク質」といった栄養成分も大きく表示しています。
中身もなるべく北海道製造にこだわり、シンプルながら良質なものを届けたいと商品開発を行っています。
商品の特徴と、リピートしたくなる味わいに、「なるほど!」と思っていただけたらうれしいです!
カーボンフットプリント
コープさっぽろのなるほど商品には、栄養成分のとなりにもう一つ大きく表示されたものがあります。右側に視線をずらすと、ありました矢印と数字が書かれている「カーボンフットプリント」。
この数字は商品の原料が作られ、加工されてからお店に並ぶまでのCO2排出量を計算したもの!どのように作られてきたか、コープさっぽろだからできる情報発信として表示しているものです。
▼カーボンフットプリントについて詳しくはこちらもご覧ください。
「カーボンフットプリント」ってなんですか?コープさっぽろのオリジナル商品について聞いてみた(後編)
選んでおいしく食べよう
見た目だけでは分からないさまざまな情報がつまっている、食品のパッケージやラベル。これまで関心がなかったという人は、まずはいつも買っている商品の表示を気にしてみるのも面白いかもしれません。
どんな原材料が使われているのか?どんな栄養が含まれているのか?どんな過程で作られたものなのか?表示の見方をマスターして、自分の好みに合った商品を選べるようになると、食に対する満足度が上がっていくかも!?毎日のお買い物が楽しくなるような食品表示のセンタクを、ぜひ試していただけたらうれしいです!
〈関連リンク〉
▼コープさっぽろのプライベートブランド「なるほど商品」
https://naruhodo.sapporo.coop/
▼コープさっぽろの5つの自主基準
https://www.sapporo.coop/content/?id=22
▼コープ商品のエシカル消費とは(日本生協連)
https://goods.jccu.coop/ethical/
北海道で生きることを誇りと喜びに
コープさっぽろの取り組みは、組合員さんのご利用や参加によって「北海道の暮らしを豊かにすること」につながっています。取り組みは組合員さんならどなたでも参加でき、日常を通して気軽に参加できるものもあります。コープサイクルでたくさんご紹介していきますので、ぜひその他の記事もご覧ください。