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突然ですが、みなさん「魚」食べてますか?
海に囲まれた北海道は、漁獲量が全国一!新鮮な魚がたくさん食べられるのも魅力のひとつですよね。夏から秋にかけてのこの時期は、秋鮭や花咲ガニ、サンマなどが美味しい季節。想像するだけでお腹が鳴りそうです。

ですが、最近ふと気がついたことがあります。それは「実はあんまり、魚って人気者じゃないのかも…?」ということ!
私がよくランチを食べる飲食店は、お肉とお魚の定食が選べるスタイルなのですが、圧倒的に「お肉」を頼む人が多いのです。完全にお魚派な私からすると「なぜ!?」「道産子だったらもっと魚好きが多くてもいいのに!!」と思ってしまったのです。

そういえば最近、「魚を食べる人が減っている」なんて話も聞いたことがありますが、実際のところはどんな状況なのでしょう?今回はそんな疑問から、世の中の「魚事情」を調べてみました!

「魚」のことを調べてみた

世界でイチバン魚を食べていた日本人

〈世界の1人1年当たり食用魚介類消費量の推移(粗食量ベース)〉 水産庁「水産白書」より

世界でイチバン魚を食べているのは日本人!そんな風に思っている人もいるかも知れません。
たしかにそんな時代もあったのですが、実はもう10年以上前のこと!ズルズルと消費量が減る一方で、世界の魚消費量は増加。その結果、長く続いていた世界一の座を明け渡すこととなりました。
2001年には約40.2kgあった一人あたりの年間消費量が、2018年には約23.9kgまで減少。この20年ほどの間に、約半分くらいにまで減ってしまっているのです。食卓の変化がうかがえますよね…。

主役はお魚からお肉に

〈日本人の魚類・肉類の年間消費量の推移〉 農林水産省「食料需給表」より

魚の消費量が大きく減る一方で、肉の消費量はジワジワと上昇。
2009年頃からその数は逆転することになっていきました。なるほど、このあたりから食卓の主役が入れ替わっていったのですね。。

これを見て、「お肉ばっかり食べてたらいけないの?」と思ったそこのあなた!このお話は、私が魚好きだから言っているだけではないのです!! ということで、魚を食べるとなにがいいのか?食べる人が減るとなにが起きるのか?魚にまつわるアレコレについても調べてみましたよ。

魚介類は栄養が豊富!

魚介類はビタミンやミネラルなどの栄養素を多く含む、優秀な食材!中でも青魚には生活習慣病の予防にも役立つと言われている「DHA」や「EPA」が豊富に含まれています。
他の食品でも補うことはできますが、魚ほど多くは含まれていないものが多いので、たくさんの量を取らなければなりません。魚は効率よく大切な栄養を摂取できる食材なのです!

食文化がなくなってしまう

もしもっともっと魚を食べる人が減ってしまったら、魚は売れない商品になってしまいます。そうすると魚を獲る人、売る人、調理する人…みんなの仕事がなくなってしまいますよね。
例えば日本から生まれた食文化の一つである「お寿司」も、みんなが食べなくなったらなくなってしまうかも!だからおいしく食べることは、食文化や食に関わる人を守ることにもつながっているのですね。

コープさっぽろの水産部長へインタビュー

もしかしてこのままじゃ、魚ってピンチなのかも…。
魚がもっと人気者になるために、どんなことができるんだろう?そんなヒントをもらえたらと、魚のプロにお話を聞いてみることにしました!
やってきたのは、コープさっぽろの本部です。水産部長の松本さん、よろしくお願いします!

プロフィール

松本邦晃(まつもと・くにあき)さん

生活協同組合コープさっぽろ 水産部部長

松本邦晃(まつもと・くにあき)さん

生活協同組合コープさっぽろ 水産部部長

2007年の入協依頼ずっと水産部門に携わっている、魚のエキスパート。店舗マネージャー、バイヤーなどを経て2023年より現職に。
300人以上が所属する水産部員のマネジメントのほか、全道の店舗管理や、各地での食材視察などを行っている。

ーーー「魚を食べる人が減っている」ことはコープさっぽろのお店でも実感されていますか?

松本部長

そうですね。世界的な物価高で食品の消費が減っている中でも、特に海産物は大変…というのが正直な印象です。

ーーーどうして食べる人が減っているのでしょうか?

松本部長

大きくは3つの理由があると感じていて、「家族構成の変化」「ライフスタイルの変化」そして「価格の変化」です。
家族構成でいうと食べざかりの若い人が少なくなっているので、食べる量も一般的には少なくなっていきますよね。あとは単身の方や共働きの世帯も増えているので、なかなかゆっくり料理に時間が取れないという方も増えています。
そうなると魚は嫌われ者になりがち。「さばいたり骨を取るのが大変」「ごみの処理が面倒」「調理するときの匂いや煙が気になる」などなどネガティブな声がけっこうたくさんあるのです。

―――なるほど…コープさっぽろとしてはそのような状況をどう考えていますか?

松本部長

魚のおいしさをもっと知っていただくために、「売り場」「商品」「体験」などでいろいろな工夫を始めました。
まず売り場では冷凍品のコーナーを拡大。大きなサイズだけでなく、小さな小分けサイズの販売を増やすなどラインナップも広げました。食べたいときに必要な量を食べられるという方が、組合員さんのニーズに合っていると考えたからです。

商品は、すぐに食べられるものや、簡単に調理できるものを増やしています。皮や骨を取り除いた鮮魚を販売したり、温めるだけで食べられる商品を多く並べたりですね。なかなか時間が取れなかったり、年配の方の中には安全のために火を使った調理をしないようにしているという人もいます。
そのような方たちには喜んでいただいていますね。

―――「体験の工夫」というのはどんなものでしょうか?

松本部長

2016年から魚の調理やさばき方の教室を行っています。他にはお店でマグロの解体ショーを行ったり、北海道でとれないタイを九州から生きたまま輸送して販売したり…というイベントも行ってきました。
さばき方教室に参加した方が、「楽しかった!」と言ってそのまま店頭で魚を買っていってくれたときはうれしかったですね。
コロナ禍になってイベントはお休みしていますが、またどんどんやっていきたいと思っています。

―――魚に興味を持つ人が増えるといいですね。

松本部長

魚離れを象徴する言葉として、「現代の子どもたちは、魚が切り身で泳いでいると思っている」という話を聞いたことがあります。大げさに聞こえるかも知れませんが、私たちが努力しないと実際に起こることだと思っています。
だからこそお店という場所を通して、魚の魅力を伝えるという役割を意識していたいですね。

お話をうかがうことで分かった、コープさっぽろの様々な取り組み。ここまで魚のことを考えてくれているなんて、魚好きの一人からするとありがたい限り!
もっとその取り組みについて詳しく知りたい…ということで、教えていただいたことについて、もう少し詳しく調べてみることにしました。

コープさっぽろが行う「魚の料理教室」

はじめて料理にチャレンジするというお子さま向けから、もっと料理の幅を広げたい!という大人の方向けまで。さまざまな方を対象にコープさっぽろが行なってきた、「魚の料理教室」についてご紹介したいと思います。

魚を知ろう・魚さばきと魚料理

コープさっぽろが定期的に開催している、「はじめてのおべんとう作り」という小学生向けの講座。2023年7月のテーマは「魚を知ろう・魚さばきと魚料理」と題して、コープさっぽろのお魚売り場で日々魚を扱っている「お魚先生」が、魚の話やさばき方を教えるというものでした。

子どもたちはまるごと一尾の魚を見るのが珍しかった様子。背開きを見せてもらってはじめて「お店で見たことある形だ!」という子もいました。
うろこの働き、鮮度のよいお魚はどんな様子か、目の色は…などなど魚について学んだあとは、みんなで3枚おろしに挑戦!さばいたお魚は調理して、みんなでおいしくいただきました。

お魚さばき隊

こちらは大人向けに、魚のさばき方と簡単な料理の仕方を体験していただくもの。帯広のコープさっぽろベルデ文化教室で定期的に開催しています。(2023年8月現在)
当日はホッケを使って、魚の扱い方をレクチャー!ホッケはさばいた時に「小さなウロコが飛び散るのがイヤ」という声も多く、ペットボトルキャップを使うとキレイに取れて飛び散らないというコツなどを紹介。
お一人3尾をさばくという課題も、みなさんしっかりクリアされていました!

初心者向け商品や、お魚惣菜も充実

松本部長のお話にあった、なかなか料理時間が取れないという方などにおすすめの商品。たとえば次のようなものがあります!

骨取りさばの味噌煮

魚を扱うのが苦手!という方でも食べやすい、生協オリジナルの商品。コープさっぽろの店頭や、宅配のトドックで購入することができます。
ノルウェー産さばを小骨までとりのぞいて味噌煮にしているので、湯煎するだけで簡単に食べることができます。1切れずつ個包装になっているので、保存にも便利!

お魚惣菜も充実!

そのほか、店頭のお惣菜コーナーにもたくさんのお魚料理が並んでいます。コープさっぽろでは2020年からお店で販売されている食材を店内調理して販売する「大惣菜化プロジェクト」という取り組みを行っているのですが(一部の店舗を除きます)、その中にあるのが「魚屋のお惣菜」というコーナー!

煮付けや焼き魚に「うをめし」というおにぎりなど、新鮮なお魚を使った料理がたくさん並び、手軽にお魚を味わうことができるのです!コープさっぽろのお惣菜は不定期で新商品も登場し、2023年8月からは「サバサンド」が発売されています。
ノルウェーの水産団体と協力しながら、脂乗りのいいサバをおいしく食べてもらうには?という試行錯誤から生まれたそうなので、魚を普段あまり食べないという人にも、ぜひ試していただきたい商品です。

さらにさらに、今まさに「魚」を使った新しい商品開発も進んでいるそうです。こちらは秋頃の販売予定とのことなので、続報を楽しみにお待ち下さい!

食べることは守ること

これまでコープサイクルでは、「海のクリーンアップ大作戦」などに参加して、海洋汚染の現状などについて触れてきました。
「2050年の海では、魚よりプラスチックごみの方が多くなる」という衝撃的な予測もありますし、気候変動による取れる種類の変化なども大きくなってきています。
そうした環境問題の一方で、「私たちが魚を食べるか」ということも、魚や海にとって大きな問題の一つ。みんなが魚を食べなくなったら、海より先にお店から魚が消えてしまうかも?

それでも、よくよく調べてみるとネガティブなことばかりではないことも分かりました!魚と真摯に向き合って、コープさっぽろが行っている様々な取り組み。この魚愛に溢れた活動を続けていけば、魚がもっとみんなの人気者になってくれるのでは…と感じられました。

お店には簡単においしく食べられる魚の商品があることを知ったので、私ももっと探してみよう!と感じました。魚を食べることは、魚や食文化を守ること。そんな意識でみなさんも、お店をまわってもらえたらうれしいです!

〈関連リンク〉
▼海のクリーンアップ大作戦 2023年 募集開始〜北海道の海洋プラスチック問題って実際どうなの?〜
https://coopcycle.sapporo.coop/media/future/future_2391/
▼コープさっぽろ「大惣菜化プロジェクト」
https://www.sapporo.coop/content/?id=2778
▼コープさっぽろ文化教室(調理教室などの情報はこちらから)
https://www.sapporo.coop/culture/

北海道で生きることを誇りと喜びに

コープさっぽろの取り組みは、組合員さんのご利用や参加によって「北海道の暮らしを豊かにすること」につながっています。取り組みは組合員さんならどなたでも参加でき、日常を通して気軽に参加できるものもあります。コープサイクルでたくさんご紹介していきますので、ぜひその他の記事もご覧ください。

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