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フードバンクって知っていますか?

もし「もったいない」を「ありがとう」に変える取り組みがあるとしたら、みなさんは参加してみたいと思いますか? 実はそんな循環を実現している「フードバンク」という取り組みがあります。もしかしたら、耳にしたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。

「フードバンク」とは、安全に食べられるのにやむを得ない理由(包装の破損や過剰在庫、印字ミス)で流通できない食品を、必要としている施設や団体、世帯に無償で提供する活動です。

参考:一般社団法人全国フードバンク推進協議会 「フードバンクとは」

以前コープサイクルの「買い物のセンタク」の記事でもご紹介したように、日本でも問題になっている「フードロス」。フードバンクはフードロスを防ぎながら、支援が必要な人々へ食品を届けることができる取り組みなのです!

実は、コープさっぽろでも「トドックフードバンク」という取り組みを行っています。宅配トドックでは、急な入院や注文ミスによるやむを得ない返品が、2016年時点で年間約2400万円分もありました。返品された商品は、食品の特性上、再販売できずにそのまま廃棄処分されてしまいます。「まだ食べられるものばかりなのに、もったいない」と考えていたところ、2015年に組合員さんから「コープさっぽろでフードバンクをやりませんか?」という声があり、点と点がつながったことで2016年5月に「トドックフードバンク」事業が始まりました。

2022年度のトドックフードバンクの年間提供量は、約7200万円相当となっています。それらすべてを児童養護施設やファミリーホームで生活する子ども達のために提供し、有効活用いただいています。

【2023年度のトドックフードバンクの提供実績】

提供金額:7,286万円/年
提供児童養護施設:22カ所、児童自立支援施設1カ所、ほか全4団体へ提供

フードロスを解消するトドックフードバンク!

本当にそんなうまくいく仕組みがあるの?
そもそもフードバンクは誰がやっていて、どんな風に社会の役に立っているの?

その実態を確かめるため、「宅配トドック 西岡センター」と「羊ヶ丘養護園」をコープサイクル編集部が訪問させていただきました!

本日お話を伺うのは宅配トドック西岡センターの堤亮子さん。堤さん、よろしくお願いします!

プロフィール

堤 亮子(つつみ・りょうこ)さん

生活協同組合コープさっぽろ
宅配トドック 西岡センター センター長
(現在は宅配札幌東地区 地区長)

堤 亮子(つつみ・りょうこ)さん

生活協同組合コープさっぽろ
宅配トドック 西岡センター センター長
(現在は宅配札幌東地区 地区長)

2007年にコープさっぽろに入協。その後、トドックの営業担当、配達員、センター長を経験。2024年4月からは宅配札幌東地区 地区長に。入協前からトドックを愛用しており、お子さんのひとり暮らしが始まったタイミングでは「見守りトドック」を活用。

出発前のトドックのトラックが一列に。

トラックが出発した直後の倉庫。

ーー宅配トドックセンターとはどんな場所ですか?

宅配トドックセンターは、倉庫に集まったコープさっぽろの商品を組合員さんのもとへと配達する「トドック」の拠点です。全道に51拠点あります。

ーー「西岡センター」で集まったフードバンク品はどこにいくのでしょうか?

西岡センターで返品されて集まった食材は、羊ヶ丘養護園さんに提供しています。やむを得ず組合員さんから返品となってしまった商品の中で、賞味期限の長いドライ品(加工食品などの常温食品)と冷凍品のみを保管し、2週間に1度のペースで受け取りに来てもらっています。フードバンクがはじまってから、返品の廃棄量はぐんと減りましたよ。

フードバンクの冷凍品。ピラフやアイスなどさまざまな食材が。

ーー集まるのはどのような商品が多いのでしょうか?

今日は飲料、カレールー、冷凍のお好み焼きなどがあります。バラ売りを買おうとしてケース単位で注文してしまうなど、注文用紙の記入間違いを中心とした飲料の注文ミスは特に多いですね。最近ではトドックの返品だけでなく、協力企業様からの提供品や、店舗の催事で使用した景品も提供することがあります。

想像以上にたくさんの商品が集まっていた。

フードバンクのドライ品と飲料。

ーーどのくらいの量の商品が集まるのでしょうか??

今回は少ない方です。多い時だと、ドライ品だけでカゴの台車が2・3台分ありました。トドックアプリの導入と、返品削減のチラシを配布したことで、1日の返品量が減ってきています。返品削減にもつながる取り組みとして、一人での注文が難しい高齢者には、「トドックサポート」というサポートサービスがあります。一緒に記入したり、回収後に後日電話で確認したり、一人一人に合わせたサポートによって、組合員さんが安心して注文できるようにしています。フードバンクによってドライ品や冷凍品の廃棄は減りました。しかし、生鮮品や賞味期限の短いものは廃棄せざるを得ないのが現状です。こういった食品ロスを減らすために、返品削減の取り組みはこれからも続けていく必要がありますね。

ーーフードバンク品は、どのように役立てられているのでしょうか?

主に養護園で給食などの材料として活用されているみたいです。詳しくは、このあと養護園の方にぜひ聞いてみてください。季節やイベントごとに、園の皆さんがお礼の手紙をくださるんですよ。子ども達の文字を見ていると、届けることができて良かったなと心が温まります。小さい子も多いみたいなので、こういうものなら喜びそうかな、今回は高校生向きかなと、想像しながら用意するようになりました。廃棄されるものが減ることが一番ですが、廃棄されてしまう食材がある以上、せっかくなら子ども達に喜んでもらえると嬉しいですね。

フードバンク品を追って、羊ヶ丘養護園へ!

お話を伺っていると、羊ヶ丘養護園の栄養士である坂井さんがフードバンク品を受け取りに来られました。

養護園の車はフードバンク品でいっぱいに。

たくさんのフードバンク品を車に詰め込み、いざ出発です!

車で約8分、羊ヶ丘養護園に到着。フードバンク品を保管場所に置いて、まず今日のお昼ごはん作りの様子を見学させてもらいました。

プロフィール

坂井 友美(さかい・ともみ)さん

社会福祉法人 羊ヶ丘養護園
栄養士

坂井 友美(さかい・ともみ)さん

社会福祉法人 羊ヶ丘養護園
栄養士

岩見沢市出身。羊ヶ丘養護園で10年間、栄養士として給食の献立づくりを担当している。好きなトドックの商品は「町村農場特選牛乳ドーナツ」。

ーー羊ヶ丘養護園はどんな施設なのでしょうか?

ここではさまざまな理由から、保護者がいなかったり、家庭での養育が困難になったおおむね2〜20歳の子どもが暮らしています。子どもひとりひとりに寄り添った家庭的な養護を目指して、少人数のユニット(部屋)ごとに生活する子ども達を養育しています。朝昼夜の給食は、栄養士が献立を立てて、50人から多い時で80人分を、調理師を含め、5名で作っています。

一枚一枚、オムライスの卵を手作りする様子。

昼食の完成品。とっても美味しそうです!

ーーフードバンク品はどのように役立てられていますか?

給食や、間食を中心にさまざまなタイミングで活用しています。今日のお昼のメニューのオムライスは「お米」「ハヤシビーフ」をつかってますし、「ピザ」や「コーンスープ」はそのまま使用しました。このように立てた献立の中で食品を代替したり、豊富に食材があればバイキングメニューを立てることもあります。今日の夕食にもふんだんにフードバンク食品を使用する予定ですよ。コープさんからの食材のおかげで、成長期の子ども達にさまざまな食材や味付けを味わってもらえています。子ども達は、大きくなって園から巣立ったらスーパーでこれらを目にすることでしょう。

フードバンク品の中にはだし・油などの調味料も。

給食以外の活用方法としては、通学している子のお弁当のおかずや、運動系の部活に入っている子たちの栄養補助食に。飲料はお部屋の常備品や、非常時の備蓄品に。里親や卒園生におすそ分けすることもあります。なるべく消費していますが、やむを得ず賞味期限が迫った食材が出た場合やコーヒーなどは職員もいただき、無駄なく活用しています。

この日の夕食に使う予定のフードバンク品。

完成した夕食の様子。

ーーどんな食品が子ども達には人気ですか?

白米がダントツで人気ですね。白米が美味しく食べられるおかず(お肉やカレーなど)も大好きです。米は部屋ごとに自分達で炊いてもらっています。幼児の部屋は2.5合、高校生男子の部屋は6合と多めにしたりと量を変えていますが、成長期の子ども達ですので、歳を重ねるごとに食べる量は増えていきます。

調理風景を取材させていただきながら、「このお皿は〇〇のものだね」「〇〇にはエビフライひとつ増やしてあげて」と家庭と同じように、食べる子の顔を思い浮かべながら、ひとりひとりに合わせてご飯を用意する姿が印象的でした。

 

最後に羊ヶ丘養護園 理事・施設長の大畑和子さんにもお話を伺いました!

プロフィール

大畑 和子(おおはた・かずこ)さん

社会福祉法人 羊ヶ丘養護園
理事・施設長

大畑 和子(おおはた・かずこ)さん

社会福祉法人 羊ヶ丘養護園
理事・施設長

夕張市出身。1969年に羊ヶ丘養護園に入社し職員を経験、2017年に5代目園長に就任。40年以上に渡り、子ども達を見守ってきた。好きなトドックの商品は鮭の切り身。

ーー施設を見させていただきましたが、いろいろな子達が共同生活しているのですね。養護園において、食事はどんな存在なのでしょうか?

将来のことも考えると、子ども達にとって毎日3度の食事を食べることは、生活の中でいちばん大事なことですよね。食べさせるではなく、自分達が食べたいと思ってもらえるように、食事の場が楽しいと感じられる環境づくりを心がけています。あたたかい料理を提供することはもちろん、食器を工夫したり雰囲気づくりの甲斐あってか、よく食べてくれる子が多いです。

子ども達は、社会に出てからの方が人生は長いので、食事でずっと子ども達が元気でいられることがいちばんの目的です。小さいうちの体づくりが健康につながると思います。やはり食は大切ですよね。習慣は大人になっても続いていくので、それまでに子ども達にたくさんの食体験をさせてあげたいと思っています。養護園では、月に4回、自分達でご飯を作る日を設けています。米を炊くと湯気が出るということを、知らずに驚く子どもがいたこともありました。匂いや音など五感で感じる、食事づくりの当たり前のことを当たり前に感じるという小さな経験の積み重ねは、大人になった時の記憶や経験としてつながっていくのかなと思います。卒園してからも「養護園のあのメニューが好きだったな」と思い出して作ってみたりしてほしいですね。

養護園内の掲示物。夕食の献立に加えて、フードバンクの紹介が。

ーー卒園生とも交流があるのですか?

たまに養護園に顔を出しに来てくれています。この間は卒園生同士の忘年会に呼んでくれたりしましたよ。卒園後もできるかぎり、いつでも頼ってもらえる居場所でありたいと思っていますが、卒園生同士で支えあったり遊んでいる姿を見ると安心します。養護園のお正月料理の作り方を聞いてくれて、自分の子どもに作ってみたという子もいました。自分がしてもらった経験があるから、自分もそうしてあげたいと思えたことが、嬉しかったですね。

ーー羊ヶ丘養護園に個人からの食材の支援はできますか?

ありがたいことに、個人で食材の寄付をしてくださる方もいらっしゃいます。近所で無農薬野菜を育てている方が、時々届けてくださったりしますよ。ただせっかく持ってきていただいても、生鮮品や消費期限の短いものといった食材の種類やタイミングによっては、受け入れられない場合もありますので、事前にお問い合わせいただけるととてもありがたいなと思います。

経験が人生をつくる。やさしさはつながっていく。

言葉は耳にしたことがあっても、実感としてなかなか掴めずにいた「トドックフードバンク」。フードバンク品を用意するトドックの職員さん、子ども達のためにご飯を作る養護園の職員さん、手紙や言葉で感謝を届ける子ども達、経験を自分の子どもに繋げていく卒園生達。コープさっぽろの取り組みを追いかける中で、届ける先を感じる距離にあるからこそ生まれる、やさしさの循環をたくさん実感することができました。

堤さんからお聞きしたように、「フードバンク」だけでは「フードロス」を完璧に防ぐことはできません。ひとつの企業や団体で解決できるのは、環境問題の一部です。だからこそ、私たちがちょっとした心がけやアクションで、その輪を広げていくことが大切なのだと感じました。明日からできるアクションが、きっと身近にもひそんでいるはずです。例えば、注文ミスや買いすぎに気をつける。食材をすべて使い切るようにする。やさしさの循環をつなげるために、私たちにもできること。まずは小さなことから、一緒にはじめてみませんか?

〈関連リンク〉
▼羊ヶ丘養護園 公式ページ
https://hitujigaokayougoen.or.jp/ 

▼過去のフードロス関連記事
「カイモノのセンタク〜vol.4 「量のはなし」編〜食品ロスを防ぐコープさっぽろの工夫って?」
https://coopcycle.sapporo.coop/media/food/food_5105/

北海道で生きることを誇りと喜びに

コープさっぽろの取り組みは、組合員さんのご利用や参加によって「北海道の暮らしを豊かにすること」につながっています。取り組みは組合員さんならどなたでも参加でき、日常を通して気軽に参加できるものもあります。コープサイクルでたくさんご紹介していきますので、ぜひその他の記事もご覧ください。

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