▼ 目次

生活の中で、当たり前のように使われるようになったインターネット通販や宅配のサービス。利用されている方も多いと思いますが、注文した商品がどのようにして私たちの手元に届くのか、考えてみたことはありますか?
コープさっぽろには「トドック」という宅配サービスがあります。これは北海道のほぼ全域を対象に、毎週注文のあった商品を届けてくれるもの。実はこうしたサービスや物流の世界で、人手が足りずものがこれまでのように運べなくなるという問題が近ごろ話題になっています。「2024年問題」とも呼ばれていて、トラックドライバーの労働時間の上限が決められたことに加え、配達する荷物の量が増えていることが背景にあるようです。

ところがこのような問題は、今のところ「トドック」の配達では起きていないようです。北海道は広いし、冬には雪などもあるため、配達にはきっと厳しい環境。それでも全道くまなく、きちんと荷物を届けられるのはどうしてなのでしょう?今回はトドックの裏側にある、配送の仕組みについて調査してみました。まずは、トドックの物流を支えているという「北海道ロジサービス」へと向かいます!

北海道ロジサービスとは?

コープさっぽろの物流を支える大型の配送拠点、北海道ロジサービス。コープさっぽろの「エコセンター」などと同じく北海道江別市にあります。敷地面積20,000坪、従業員数およそ1,800名(2024年3月現在)。1日にトラックが約750台出入りし、食品から日用品までたくさんの荷物で溢れています。

トドックの宅配も、店頭に並べられる商品も、コープさっぽろの物流部門を一手に担うセンター。ここから北海道の隅々まで、たくさんの荷物が運ばれているのです。

トドックで取扱うアイテムは、25,000品目以上。その品目すべての商品が、このセンターから出発していきます。全道の組合員さんからの注文を受け、仕分けして梱包。準備された商品は、翌日には組合員さんの手元に届くというスピード感!元旦を除いて年中休まず稼働して、みなさんの暮らしを支えています。

さらにロジサービスでは、トドックのほか全道のコープさっぽろ店舗へ配送する商品の管理と仕分け、そして「サツドラ」「無印良品」といった提携会社の荷物も請け負っているのです。すべての数を合わせると、1日に出入りする荷物は数万点にもなるそう!そうした商品を、正確に遅れなくお届けするためには、さまざまな機械やロボット、そして人の手による様々な工夫があるようで…?
北海道ロジサービスでそのヒミツを探り、見つかったポイントを3つご紹介していきます。

北海道ロジサービスで見つけたすごいポイント

その1、機械やロボットの活躍がすごい!

商品を管理し、仕分けて、運ぶこと。「物流」の中では重要な作業です。だからこそ、いかに効率化できるかも大きなポイント。人の手間や負担を減らすために、北海道ロジサービスでは先進的な機械やロボットなども導入しています。

その1つが「オートストア」。縦型に組まれた倉庫の中から、ロボットが自動で商品をピッキングしてくれるシステムです。商品を仕分けする上では、「探して・取り出して・持ってくる」という作業が大きな時間のかかる部分。この機械が導入されたことで、常温品の作業効率が大幅にアップ。それまでトドックが取り扱っていた品目は約6,500点から、現在の約25,000点へと拡大することができました。

2つ目が、「キャリロ」という運送支援ロボット。作業しているスタッフや親機を追いかけて走行できるため、一度にたくさんの荷物を運んでくれる頼れる存在。その搬送能力は、なんと人の6倍とも言われているそう!広い倉庫だからこそ、その力はさらに重要なものになりそうですね。

その2、配送の効率化がすごい!

北海道ロジサービスは2022年度の「ロジスティクス大賞」を始め、近年いくつかの物流関係の表彰を受賞しています。どのような点で北海道ロジサービスが評価されたのか。ここでは「効率化」の工夫を知ることができます。

1つ目は、トラックの荷積みや配送ルートに関しての工夫。商品ジャンルごとに行っていたトラックの荷積みを、配送先ごとに変更するなどして無駄なスペースを軽減。トラックの配送ルートも見直すことで、配達距離を短くする改善などを行いました。

2つ目は、アナログからデジタルへの転換がキーワード。私たちがいつも荷物を受け取るときと同じように、商品を運ぶドライバーと受け取るセンターの間では、「伝票」のやり取りが発生します。
どこからどこへ、なんの商品をどれだけ運んでいるのか。そうしたやり取りの多くは、「紙」を基本として行われてきましたが、このシステムをデジタル化することで、待ち時間などを削減する取り組みを行いました。(ちなみに日本で初めての事例だそう!)

一見当たり前のように思える改善かもしれませんが、このどれもがたくさんのメーカーや企業とともに取り組まなければ実現ができないもの。そうした壁を乗り越えた点を評価されたからこそ、先ほどの表彰にもつながったのだと思います。

その3、「組合員さんのために」がすごい!

こうしたさまざまな効率化の工夫や仕組みは、組合員さんのためにと改善を重ねてきたからこそできたもの。
北海道ロジサービスでは、2023年に「フローズンセンター(冷凍倉庫)」を新設。それにより、これまで以上にたくさんの冷凍商品を扱うことが可能になりました。コープさっぽろの店舗でも同様なのですが、近年、冷凍食品の需要が広がっています。これは共働きでなかなか調理に時間が取れないというご家庭や、頻繁に買い物に行くのが難しい高齢の方が増えたりと、社会的なライフスタイルの変化による影響があるそう。

今後ますますニーズが広がることも予想される中で、より充実した商品を届けるためにはなにができるか。そうした考えからこの設備投資が始まりました。
ちなみに今回行われた設備改修では、冷却設備に「フロンガス冷媒」ではなく「自然冷媒」のシステムを採用。リスクが懸念されている従来のものではなく、環境にも配慮したより安心・安全なシステムに変更を行ったそうです。

北海道ロジサービス専務の高橋さんにインタビュー

北海道ロジサービスの取り組みについてさらに詳しく知るため、インタビューも行いました。お答えいただいたのは、専務取締役の高橋さんです。

プロフィール

高橋 徹(たかはし・あきら)さん

北海道ロジサービス株式会社
執行役員 専務取締役

高橋 徹(たかはし・あきら)さん

北海道ロジサービス株式会社
執行役員 専務取締役

2013年の事業開始時のメンバーとして
北海道ロジサービスに入社。
前職からコープさっぽろの商品管理など
物流の世界に携わり続けている。

―――普段はどのような業務を担当されているのですか?

高橋さん

商品在庫や入出庫、配送や機械の管理。そして設備を拡充する投資のプロジェクトや、M&Aなど、幅広く業務のマネジメントを行っています。
みなさんのご家庭も影響を受けていると思いますが、この数年はさまざまなところで物価の上昇が起きています。物流の世界にも大きく関わってくるので、頭を悩ませながら日々対応をしているような状況ですね。

―――物流業界の表彰をいくつか受賞されているようですね

高橋さん

2022年に「ロジスティクス大賞」。2023年には「物流環境大賞(低炭素物流推進賞)」「物流パートナーシップ優良事業者表彰(物流構造改革表彰)」という3つの賞をいただくことができました。物流の世界では3冠と言われるような表彰なので、ありがたく感じています。
物流に関わる仕組みを大きく変えることは、取り引きをしている数百社と足並みを揃えなければならないため難しいもの。それでも何十回と説明会などを重ねながら理解をいただき、改善後には「無駄な時間が削減された」などとうれしい声もいただいています。

こうした賞をいただいてからは、社内からも「毎年なにか受賞できるくらいの取り組みを続けたいですね!」というリアクションありました。そこまでは難しいかもしれませんが、従業員のモチベーション向上につながったことを実感していますし、さらに取り組んでいきたい改善の計画も進めているところです。

―――センターで使用している「オートストア」はどのような経緯で導入したのでしょう?

高橋さん

「オートストア」はもともとノルウェーのIT企業が開発したもの。国内では2016年にニトリホールディングスさんが導入したのが最初で、その事例を参考にコープさっぽろも2018年に導入しています。ちなみに北海道では私たちが初めてだったようです。

これまでは人が行っていた「商品を探してピックアップする」という部分を担うことができるため、業務の大幅な効率化と省スペース化を実現できました。導入前は約6,500種類だったトドックの取り扱い品目が、約25,000まで増やせたのはこのオートストアのおかげ。より幅広い商品を組合員さんに選んでいただけるようになりました。

―――オートストアの導入後まもなく胆振東部地震があったそうですね

高橋さん

震災があったのは、オートストアの稼働が始まった2週間ほど後のことでした。地震そのものの被害だけでなく、その後の「ブラックアウト」による停電状態が続いたこともあって、センターは混乱状態に。従業員は出勤できない、在庫管理のシステムなどはストップし、メーカーさんからも商品が届かない。完全にもとの状態に復旧するまでは、数ヶ月も時間がかかりました。

地震が発生した後も、倉庫内にはおにぎりやパンなどの食品があったためコープさっぽろの各店へ配送することに。幸いグループ会社のエネコープが江別までタンクローリーを出してくれ、トラックの燃料は補給することができました。その経験から非常用の電源であったり、緊急時の対策は改めて見直しを行っています。

―――今年は「2024年問題」などで物流業界が話題になっています。北海道ロジサービスの現状はいかがでしょうか?

高橋さん

労働時間の規制によって、特に地方での配送が難しくなっている会社もあるように感じています。そこに加えてコストの上昇も。人件費に燃料代、車両価格などが上がっていますから、厳しい状況ではありますね。

ですが、「問題」と言ってどうしようもないものとして扱うのではなく、やらなければいけないことなんだと私は捉えています。結局のところは、業務の効率化や働きやすい環境づくりというこれまで行ってきたことを、変わらず突き詰めていくことが大事ではないでしょうか。
従業員ひとりひとりの声も拾い上げながら、改善を重ねていきたいと思います。

―――今後の北海道ロジサービスはどのようになっていくのでしょう?

高橋さん

物流の世界では、ますます機械化・ロボット化や、AIの活用が進んでいくと言われているので、その最先端を研究していきたいですね。
1,800人いる従業員もだんだん年を取りますし、いずれは人手不足になるときがやってきます。移行できる業務はどんどん機械に移行して、人の負担を減らす。少ない人数でも回る仕組みをつくる。その分、人は創造性を働かせた業務をしていくことが大事になると思っています。

2024年4月から、シノプスさんという会社と提携して、「物流平準化」の取り組みを始めました。店舗での過剰在庫や不足を防ぐために、AIを活用して需要予測を行うというものです。うまく行けば商品発注が効率化され、入出荷やトラック配車も効率化できると期待しています。実はこれも、日本で初めての取り組みなんですよ。

―――ますます進化していく北海道ロジサービスが楽しみです!本日はありがとうございました。

人の想いと機械の力で商品は届く

商品を自宅まで届けてくれる宅配サービスは、私たちの生活を支えてくれるもの。トドックでは、アプリや注文用紙を通して頼んだ商品が、毎週決まった曜日に届きます。
配達員さんとは顔を合わせることができますが、その配送の過程はなかなか想像がつかないもの。しかし実際には、さらにたくさんの人の力と、機械なども活用した仕組みがあることがわかりました。

トドックを利用する人の数は毎年少しずつ増えています。その中には、買い物に出かけるのが難しいという高齢の方や、子育て中の方などもたくさんいます。多くの生活を支えることを考えれば、「商品を届ける」というこの仕組みを止めるわけにはいきません。

大きな機械の導入や、仕組みの改革も、日々の地道な努力という土台の上にあるもの。そのおおもとにあるのは、届ける相手と、働く従業員のことを想像しながら、より良い環境をつくりたいという想いなのかもしれません。
コープさっぽろはさまざまな取り組みを行う上で、「つなぐ」という合言葉を掲げています。トドックの裏側を調査した今回、商品と組合員さんをつないでいる、人の想いを知ることができました!

SDGsBOOKにも北海道ロジサービスのことが掲載されています!

コープさっぽろが年に1回発行している冊子『SDGsBOOK』。ここにはコープさっぽろの取り組みが詳しく紹介されています。以前は「CSRレポート」として発行されていましたが、近年の意識の高まりによって『SDGs BOOK』と名前を変えて発行するようになりました。

この度発行された2024年度版の中には「物流危機から暮らしを守る道を探して」と題して、経済産業省の相原さんとコープさっぽろの大見理事長による対談が掲載されています。物流業界が今どのような状況に置かれているのか、コープさっぽろはどのようにして暮らしを支えていくのかといったことが、語られていますよ。

ほかにもコープさっぽろが行っているSDGsに関わる取り組みがたくさん掲載されているので、ぜひこちらもご覧ください。

▼コープさっぽろのCSRレポート・SDGs BOOK
https://www.sapporo.coop/about/csr/

関連記事
カイモノのセンタク〜vol.6 「食べる幸せ」編〜”おいしいお店”のヒミツに迫る!
プロジェクト

カイモノのセンタク〜vol.6 「食べる幸せ」編〜”おいしいお店”のヒミツに迫る!

カイモノのセンタク〜vol.5 「食品表示」編〜パッケージで読み解く食べもののヒミツ
プロジェクト

カイモノのセンタク〜vol.5 「食品表示」編〜パッケージで読み解く食べもののヒミツ

トドックは安全安心も運んでいる!配達担当者の1日に密着してみた
プロジェクト

トドックは安全安心も運んでいる!配達担当者の1日に密着してみた