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2024.12.23

「コープさっぽろ農業賞」の現地審査から授賞式までをご紹介!

▼ 目次

独自の視点で北海道の生産者さんを応援する「コープさっぽろ農業賞」。4年に1度開催し、先日第12回コープさっぽろ農業賞の受賞者が発表されました。
でも、農業賞ってそもそもどうやって応募して、どうやって受賞者が決まるの?と、疑問に思っている方もいるかもしれません。そこで今回は、審査の様子も取材してきましたよ。「いつか農業賞に応募したい!」と思っている方も、ぜひご覧ください!

「コープさっぽろ農業賞」とは?

コープさっぽろ農業賞は、“消費者の目線で優れた第一次産業の生産者を応援する”というコンセプトで2004年に創設。野菜や食肉、卵などの生産者さんを対象に、新たな食の価値づくりや循環型農業など、多くの人に知ってほしい取り組みをされている方や団体を表彰してきました。
コープさっぽろ農業賞は受賞だけにとどまらず、「畑でレストラン」や「ぶこつ野菜」「平飼い卵」の販売など、さまざまな事業に発展しているんですよ!

エントリーできる部門は4つあり、農業賞と名前はついているのですが、「交流」と「ビジネスモデル」は生産者さんじゃなくても応募できます。

<農業・漁業>
持続可能な農業・漁業を実践し情報開示できる栽培・飼育履歴および内容を備えている個人、企業及び団体・学校

<交流>
一次産業を通して地域交流を推進・貢献をしている個人、企業及び団体・学校

<新規就農>
就農して15年未満の生産者

<ビジネスモデル>
事業として六次化、農福連携などを推進している個人、企業及び団体・学校

農業賞の応募から受賞者決定までの流れは、
①応募用紙に記入し、エントリー
②書類審査
③現地審査
④受賞者決定
となっていて、応募締め切りから受賞者決定までは約10カ月ほどかけて審査員が書類や現地を訪れて細やかに審査をしていきます。

今回の記事では、現地審査の様子と授賞式の様子をご紹介していきます!

「コープさっぽろ農業賞」の現地審査にトツゲキ!

コープサイクル編集部が同行させてもらったのは、9月中旬に行われた栗山町の高校生農家・中仙道怜(なかせんどう・れん)さんの現地審査。中仙道さんは農業高校に通いながら農家として活躍する高校2年生です。

現地審査は、審査員やコープさっぽろの職員たちが現地を訪れ、生産者の思いを聞いたり、畑の様子を実際に見たりするというもの。

まずは、中仙道さんが用意した資料が審査員たちに配られ、自己紹介や農業、そして作物への思いなどをプレゼンします。小学6年生から農業に取り組み、祖父から借りた40aの畑で50品目300品種以上の野菜やメロンを育てているそう。

中仙道さんの熱い思いに触れ、メモを取る審査員のみなさん。

続いて、中仙道さんの畑に移動し、実際の畑の様子を見せていただきます。

ミニトマトや大根、こんにゃく芋、里芋など、さまざまな畑を案内していただき、その作物を育てることになった経緯や、栽培するにあたって工夫していることなどを、一つひとつ丁寧にお話しされていました。

中仙道さん

僕は北海道で、この栗山町で日本を代表するような農業経営者になり、地域を活性化させる新しい特産物を開発したいと考えています。それには、地域の人たちとつながり、農業を知るきっかけになり、そして地域がまとまって向上していく作物が必要です。今はその夢に向かって、どの野菜が1番マッチするのかを探し求めているところです。

50品目300品種以上の作物を育てるのは、中仙道さんが将来の農業や経営者として成長していくために、研究を重ねに重ねている結果なのですね!日々作物と向き合い続ける中で、中仙道さんはある作物に出会いました。

中仙道さん

栗山町に適している作物を探し続ける中で見つけたのが、この「大和ルージュ」という赤いスイートコーンです。これは奈良県の大和農園が開発した日本初の赤いスイートコーンなんですが、北海道では寒くて育てることはできないと言われていました。ただ、当時中学3年生だった僕は、どうしても大和ルージュをこの栗山町で栽培したいと思い、大和農園に連絡をして種を譲っていただいたんです。

そうして栽培したところ、なんと1年目で北海道で初めて大和ルージュの栽培を成功させた中仙道さん。当初は200本からスタートし、3年目の今年は3,500本と大きく収穫量を伸ばしました。

中仙道さん

僕が大和ルージュを栽培したいと思った理由は、おいしさはもちろんですが、一番はこの色です。太陽に当てると真っ赤な実がツヤツヤと宝石みたいに輝くんですよね。農業は3Kといわれるように、悪いイメージを持っている方が多い。でも、栗山町からこの輝くとうもろこしを多くの方に伝えることができれば、農業の可能性が広がって、新たに農業に取り組む人も増えていくと思っています。そして何よりも、お客様に届けて笑顔を増やしたいんです。

さまざまな肥料を試し、土や作物との相性などを研究していく中で、現在は有機質肥料をすべて自分で作り、肥料の分量のなども作物に合わせて計算して配合しているそう。中仙道さんの地域のために何かしたい、そして、日本の未来の農業をよりよくしていきたいという熱い思いは、審査員にもきっと伝わったのではないでしょうか。

中仙道さんが育てたカンロやスイカの試食も。栗山町を代表する作物にしていきたいと話していた、大和ルージュも試食させていただきました。

美しい見た目&やさしい甘みの絶品トウモロコシ!

最後は審査員の方からの質問タイムも!

将来の夢は日本を代表する農業経営者になること。そのためにも、作物の一つひとつと向き合い、うまく育たない作物があれば、先輩の農家の方々に相談してアドバイスをいただいたり、農家さんのもとを訪れて勉強しているそう。そんな中で、相談している農家さんの多くがコープさっぽろ農業賞を受賞されていることを知り、自分も受賞して農業への思いを多くの人に伝えたいと考え、今回応募されたとお話ししていました。

中仙道さんは農業の魅力をInstagram(@sensuke831)を通して発信しています。これからの北海道の農業の未来は、きっと明るく希望あふれるものになる。そう感じさせてくれる現地審査でした。

「コープさっぽろ農業賞 授賞式・交流会」レポート

コープさっぽろ農業賞の応募開始から1年強が経った2024年11月22日、札幌パークホテルで「第12回コープさっぽろ農業賞 授賞式」が開催されました。会場には農業賞と交流賞、新規就農者賞、ビジネスモデル賞の各受賞者のほか、歴代の受賞者、行政など、数多くの方々が集まっていましたよ!

第12回コープさっぽろ農業賞の受賞者はこちらのみなさん。

【農業賞】

  • 北海道知事大賞:株式会社 大地のMEGUMI(大空町)
  • コープさっぽろ大賞:有限会社ベルセゾンファーム 折笠農場(幕別町)
  • 特別賞:株式会社 渡辺農場(新ひだか町)、鈴木牧場(広尾町)
  • 奨励賞:西川 直哉(和寒町)、札幌チーズ株式会社 石狩ひつじ牧場(石狩市)、
    北見市玉葱振興会 特別栽培部会(北見市)、高陽 憲基(千歳市)、落合農園(美深町)
  • 審査委員会特別賞:中仙道 怜(栗山町)

【交流賞】

  • 札幌市長賞:株式会社 そばの坂本(幌加内町)
  • 特別賞:株式会社 満寿屋商店(帯広市)
  • 優秀賞:一般社団法人Local Revolution(函館市)
  • 奨励賞:Mame Kitchen® Hokkaido(札幌市)

【新規就農者賞】

  • 最優秀賞:とくながファーム(千歳市)
  • 特別賞:VEGGIEHILLS(当別町)
  • 優秀賞:福尾ファーム(新篠津村)

【ビジネスモデル賞】

  • 最優秀賞:株式会社 谷口農場(旭川市)
  • 奨励賞:有限会社 中谷牧場(湧別町)

▼第12回コープさっぽろ農業賞の受賞者について、詳しくはこちらから
https://www.sapporo.coop/about/effort/food/award/2024/

さきほどご紹介した栗山町の中仙道さんは、見事「審査委員会特別賞」を受賞されました。

実はこの賞は、学生でありながら豊富な知識と探求心を持って立派な農業者として日々農業と向き合っている中仙道さんの、今後の活躍に期待を込めてぜひ表彰をしたいという審査員の声により、特別に設けることになったのだそうです。

中仙道さん

農業賞は経営者の方々が受賞する賞ではありますが、その中でも自分を表彰していただき、とてもうれしく思っています。いずれは農業経営者として事業を大きくして、またこの場に帰って来れるように頑張りたいです。

中仙道さんが作った野菜などの作物は、お母様が営む「中仙道農園パン工房 Riren」で販売しています。お母様にもお話しを聞いたところ、「すべて一人で責任を持って取り組んできて、その努力が実ったのだと思います」とお話しされていました。

受賞されたみなさん、本当におめでとうございます!

授賞式のあとは交流会です。

交流会はビュッフェ形式。なんと料理には、農業賞の受賞生産者さんの食材をふんだんに取り入れています。

会場では、交流賞・札幌市長賞を受賞された「株式会社 そばの坂本」の坂本さんによるそば打ちの実演も!みなさんおいしい料理を楽しみながら、交流を深められていました。

取材を終えて

ふだん料理をするときに何気なく使っている食材一つひとつに、生産者さんや、それを支える多くの方がいます。でも、私たち消費者はあまり意識をしたことがないかもしれません。今回、生産者の方のお話しを聞き、実際の畑に足を運び、そして授賞式で生産者のみなさんのこれまでの努力や思いを伺ったときに共通していたのは、未来へつなごうとしていること。地域を活性化させる持続可能な農業や、次世代の育成など、みなさん未来を見据えた取り組みをされていました。未来の日本の農業は、明るい!そう思わずにはいられない、取材でした。

次回のコープさっぽろ農業賞は、4年後の2028年に開催を予定しています。ぜひ、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

〈関連リンク〉
▼コープさっぽろ農業賞
https://www.sapporo.coop/about/effort/food/award/
▼幌加内高校は「そば打ち」が必修科目!? コープさっぽろ農業賞を受賞したユニークな取り組み
https://coopcycle.sapporo.coop/media/foodeducation/foodeducation_5572/
▼「コープさっぽろ農業賞交流会」レポート。生産者さんの情熱に思わず感動!
https://coopcycle.sapporo.coop/media/food/food_1453/

北海道で生きることを誇りと喜びに

コープさっぽろの取り組みは、組合員さんのご利用や参加によって「北海道の暮らしを豊かにすること」につながっています。取り組みは組合員さんならどなたでも参加でき、日常を通して気軽に参加できるものもあります。コープサイクルでたくさんご紹介していきますので、ぜひその他の記事もご覧ください。

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